7.愛を生かすための呪い/藤崎 柚葉

https://kakuyomu.jp/works/16817330655659077722


【私がこの作品を手に取った理由】

 ジャンルは現代ファンタジーとなります。「愛」という言葉を皆さんはどう思いますか? プラスのイメージにとられる人が多くいるかもしれません。しかし嫉妬や束縛といったマイナスのイメージも付きまといます。タイトルには「呪い」という「愛」の負の側面を連想させる言葉があり、「愛」という言葉の本質に迫る作品になっているのではないかと思い、この興味を惹かれました。


【私がこの作品から読み取ったあらすじ】

・廉斗は恋人である沙奈に対して、愛を伝えることができない。精神的なものではなく、何か超常的な力で制限されているようで、これが呪いなのだと分かる。沙奈に愛を伝えようと、廉斗はあの手この手で奮闘するが、どうしてもできない。

・そんな中、沙奈が新型ウイルス感染症に罹患してしまう。入院して心の距離が遠くなってしまい、愛を表現することもままならない廉斗は無力感にさいなまれる。その原因は三年前に廉斗が塾の迎えに母親を来させたことで、母親が事故死してしまったことに関係がある。結果論にすぎないが、妹は強く廉斗を恨むようになった。これが呪いの原因と廉斗は考えている。

・廉斗は沙奈との関係を解消しようと考える。そう考えた時、親友である恭平から電話がかかってきた。恭平は沙奈を好きだった。だからこそ、二人の思いを感じ取り自ら身を引いていた。沙奈との関係を解消しようと考えていた廉斗を、恭平は「呪いなんかに負けるなよ」と元気づけた。しかし、今後よからぬ行動を起こしそうである。

・その後、姉の成海が東京からひとりやって来て、様々な事実が明らかになっていく。


 現時点で公開されている27話中、15話まで読み、以降のレビューはそれを前提としたものとなります。


【私がこの作品に感じた良い点】

 縦読み推奨というだけあって、読み応えがとにかくすごいです。ただ、愛と呪いをテーマとするだけあって内容が重く、その表現力の高さも相まって序盤は本当に自分まで苦しくなってくる錯覚を覚えてしまいそうなほどでした。十話、十一話まで読み進めることで、ようやく少し救われたという思いが出てきます。この反動は少し癖になりそうです。

 この話をターニングポイントとして、呪いの謎も少しずつ明らかになってきそうで、これ以降に周辺の人物も動き出し、物語が一気に進みそうな印象になっています。心の機微を感じるだけでなく、呪いの謎を追うというサスペンス的な色もここではっきりと出てきます。


【私がこの作品に感じた悪い点】

 この作品も素晴らしく、悪い点なんて全然ないです。相当に完成度を高められているのか、少し細かく見ても文章的にまずそうな部分、展開や会話の流れがおかしいところは感じられませんでした。十話、十一話で判明した事実にあれ? そうなのと思って三話まで戻ってみたのですが、確かに廉斗はどうとでも取れるような言い方しかしていません。私も見事に勘違いさせられてしまいました。

 悪い点で強いていうのであればということですが、カタルシスが得られるまで、ちょっと長いかもということです。本当に十話、十一話まで読めれば、のめり込める作品だと思うのですが、ライトな読者だと途中で脱落する人も多いかもしれません。

 一方で、この重さがいいんだよって人は実際かなりいるとは思います。ターゲットをそこに考えているのであれば、これも全く悪い点になっていません。むしろ美点にすらなってきます。


 やはりこの作品は十話、十一話まで読むことを是が非でも推奨しておきたく、以下のレビュー内容で少しでもそのきっかけになればと思います。


【カクヨムに公式に投稿する場合のレビュー内容】

・ひとこと紹介

 ままならない思いは、こんなにも苦しい。全ては真実の愛のため。

・レビュー本文

 上記の【私がこの作品に感じた良い点】


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 レビューは以上となります。全く個人の感想なのですが、このレビューを見られた作者さんは【カクヨムに公式に投稿する場合のレビュー内容】を公式に投稿してよいものか、ご意見をいただければ幸いです。ちなみに私がレビューする時の星は必ず★★★です。

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