5.サクラに狂わされる/野々宮 可憐

https://kakuyomu.jp/works/16818093078627419717

※短編のため、先に作品を読んでいただくことを強く推奨します。


【私がこの作品を手に取った理由】

 ジャンルは現代ドラマとなります。桜の樹の下に「何かを埋めた」「女の子が横たわっていた」とあれば、死体のように思ってしまうのですが、桜という日本人にとって特別な意味を持つ植物を関連付けていることで、そんな安直な話にはならないだろうなと思い、興味を惹かれました。


【私がこの作品から読み取ったあらすじ】

 この小説は4000文字程度の短編であり、ネタバレ防止の観点から、作者さんのあらすじを引用とします。以下、引用です。


 高校二年生の春、良太は桜の樹の下を掘った。何かを埋めたという記憶だけを頼りに掘り進めると、良太の理想の女の子が横たわっていた姿で発掘されたのだった。

 女の子の正体とは?


【私がこの作品に感じた良い点】

 良太から女の子への感情は短い物語の中で刻々と変わっていきます。理想の女の子に対する単なる好奇から、自分のことを何もかも知っている得体の知れない存在への恐れへと。

 なぜ恐れてしまうのか。本当の自分を出すことは許されないことだと、周りから抑圧し続けられ、いつしか自分自身もそう思うようになってしまっていたのでしょう。

 良太の半生がどのようなものであったか詳細には語られません。しかし作中に出てきたずんだ団子とみたらし団子の話のように、「よく食べる」と「好き」は違うことなのに「よく食べる」ことによって「好き」であるように見せてきた、そんな半生なのであったと思います。

 何を恐れる必要があるのか。良太は理想の女の子から気づかされます。そこからは一瞬で世界が色づくかのような圧巻の表現。人を狂わせるほど美しい桜が咲き誇る情景が目に浮かぶようでした。


【私がこの作品に感じた悪い点】

 これで完成していると思うため、特にありません。でも一つだけ。理想の女の子が一度、公園まで良太を連れ立った理由がよく分かりませんでした。全く違っていたらすみませんが、良太自身に理想を埋めた桜を選ばせる、本当の自分と向き合うことを選ばせる狙いなのだと思うのですが、良太は「花を見るだけならあそこで良くない?」という何気ない選択だったように思われ、少し弱さがあるかもしれません。


【カクヨムに公式に投稿する場合のレビュー内容】

・ひとこと紹介

 正しく生きるということ。その正しさは誰が決めたの?

・レビュー本文

 上記の【私がこの作品に感じた良い点】を投稿します。ネタバレを含むとします。


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 レビューは以上となります。全く個人の感想なのですが、このレビューを見られた作者さんは【カクヨムに公式に投稿する場合のレビュー内容】を公式に投稿してよいものか、ご意見をいただければ幸いです。ちなみに私がレビューする時の星は必ず★★★です。

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