4.マイグレーション 〜現実世界に入れ替わり現象を設定してみた〜/気の言
https://kakuyomu.jp/works/16817330668187679404
【私がこの作品を手に取った理由】
ジャンルはミステリーとなります。なんといってもキャッチコピーの「読む順番で物語の印象が180°変わる」が唯一無二であり、興味を惹かれました。以前からフォローしていたのですが、ミステリー素人の自分には敷居を高く感じるところもあり、読むのを後回しにしていました。今回、せっかくの機会ですので拝読することにしました。
【私がこの作品から読み取ったあらすじ】
冒頭に書いたとおり、この小説は「読む順番で物語の印象が180°変わる」少々特殊な構成をしており、読み方は作者さんによって何パターンか定められているのですが、私は『Observe1』を選択し、『Tierシリーズ』から読むことにしました。このため、以下のあらすじは『Tierシリーズ』のものとなります。
・マイグレーターという他人と体を入れ替えることができる人間がいて、力の使い方によっては入れ替え対象とした人の意識を消失させることもでき、そうしてできた遺体は外傷も脳出血もなく、何の予兆もなしにある日突然に起こるように見えることから突発性脳死現象と呼ばれた。
・日本政府は真相を世間に公表することはせず、秘密裏に警視庁公安部に名目上の対策室を作り、伊瀬祐介はある事がきっかけで特別捜査官として配属されることになる。
・早速の事件があり、同僚のマイグレーターの力を頼りつつ、力を悪用するマイグレーターの捜査を開始し、解決。元凶たる八雲加琉麻と邂逅する。
時系列で一区切りとなるTier22まで読み、以降のレビューはそれを前提としたものとなります。
【私がこの作品に感じた良い点】
今回読んだのは、突発性脳死現象の捜査を巡るサスペンス的な導入の『Tierシリーズ』でしたが、選ばなかった『Layerシリーズ』は高校生の男女の体が入れ替わってしまうラブコメ的な導入になっています。これだけでも物語の印象は違いますが、作者さんによって定められた読み方を見ると、読む順番以外に読ませる話も微妙に異なっており、色々と仕掛けがされているようです。ネット媒体ならではの表現方法を作品に取り入れようという姿勢は評価されるべきに思います。
マイグレーターはいつ誰に入れ替わっているとも分からず、その力の性質や捕まえることの難しさから、悪質な犯罪をいともたやすく成功させることができる恐ろしさがあるということを、このエピソードで十分読者に分からせることができていると思いました。文章だと入れ替わりが今現在どうなっているのか、ちょっと混乱することもあったのですが、事件の最後に入れ替わりの概要をさらっと書いていただいており、ついていけていない読者(私)への配慮されていることも良かったです。
マイグレーターを生んだ元凶である八雲加琉麻という大きな敵と邂逅してから、過去の話に移るという引きも良いと思いました。
【私がこの作品に感じた悪い点】
あまり無いのですが、強いて言うのであれば、一人称小説でありながら視点の変更が結構な頻度であることでしょうか。読んでいて「僕」って誰? 「俺」って誰? と思うことがありました。特に序盤はころころ変わってしまうので、なかなか物語に没入できていなかったです。
これなら三人称小説とする方が良いような気もしますが、あえて一人称小説としている可能性があるのではないかと思いました。この作品のジャンルはミステリーであり、それすらも作者さんの思惑のうちだったらと思ったのです。
「僕」とか「俺」と地の文にあれば読者は安心してしまいますが、第一話ではマイグレーターがしれっと一般人のふりをして、「僕」とか言っていました。信頼できない語り手というやつですね。そんな叙述トリックを使って、あの時のあいつはマイグレーターだったのか! みたいな展開が今後あるのではないかと推察します。
全然違っていてちょっと恥ずかしい、みたいなこともあるかもしれませんが、そのような想像が膨らんでしまう時点で面白いです。……なら全然悪い点じゃないですね。
【カクヨムに公式に投稿する場合のレビュー内容】
・ひとこと紹介
あらすじ熟読必須。練りに練られた設定。
・レビュー本文
「読む順番で物語の印象が180°変わる」
記憶を消して、もう一度読みたい。そんな作品です。
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レビューは以上となります。全く個人の感想なのですが、このレビューを見られた作者さんは【カクヨムに公式に投稿する場合のレビュー内容】を公式に投稿してよいものか、ご意見をいただければ幸いです。ちなみに私がレビューする時の星は必ず★★★です。
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