新生活の始まり

 ボクと美優さんの共同生活は1週間という制限はなくなった。


 ボクと美優さんはまだ認めてもらってないが結婚することになった。


「薫さんおはよう」


「おはよう美優さん」


 2人だけの時は敬語をやめることにした。


「今日は朝から海に行くの?」


 ボクは少し筋肉痛があり心配だった。


「今日は夏休みっぽい事をするの」


 前までのザお嬢様って感じの喋り方も好きだけど今の喋り方も好きだなぁと思っていた。


「薫さん聞いてる?」


「ご、ごめん美優さんの事考えてた」


「ちゃんと聞いててくださいよ」


 美優さんは嬉しそうだった。


「今日はデパートに行ったりバーベキューをしたり川遊びをしたりするのよ」


「川遊び?!もし怪我でもしたらどうするの?」


 ボクは流石に危険じゃないかと思い言った。


「いいのよもう四星も継がないしわたしは私のしたい事をするの。あなたもついてきてくれるでしょ?」


「ボクはあなたの旦那でありメイドですよどんな事にでもついていきます」


 ボクは胸を張って言った。


「それじゃあ早速行きますよ」


 ボクたちは和田わださんの運転でまずデパートに行った。


 そのデパートは四星系列らしくとても大きく綺麗なところだった。


 和田さんは2人だけのデートにしてあげたいとボクに言い車に残った。


「まずは洋服を見に行きますよ。あなたの服あまりないでしょ?」


「確かにあまりないけどそんなに不便はしてないよ」


 実際それほど多くても悩むのに時間がかかったりするし組み合わせ次第で印象を変える事もできるからと思っていた。


「いいの私はあなたにもオシャレをして欲しいの」


「最高のコーディネートをお願いしますね」


 はたから見たらボクたちはどのように映っているのか気になったが今は美優さんと楽しむ事に集中した。


「これ良いわね…これもいい…こっちも似合うわね」


 美優さんは色々な服を手に取り悩んでいた。


「試着して美優さんが良いと思ったのを買おうよ」


「そうねじゃあこれとこれとこれと…」


 上下合わせて10着は渡された。


「じゃ、じゃあ着てくるね」


 ボクはまず上下別々に着て美優さんに見せ、次に美優さんが上下の服を指定したのを試着して上下6着買った。


「次はどこに行くの?」


 美優さんは少し悩んでいた。


「ゲーセンという所に行きたいわ」


 美優さんは目をキラキラさせていた。


「じゃあ行きましょう!」


 美優さんはスキップで先に行った。


 ボクは美優さんに内緒で見守っている長谷部さんに次はゲームセンターに行く事を伝え美優さんを追った。


「遅いわよ薫!」


「お、お待たせ美優!」


 目が合ったボクたちは顔を真っ赤にして俯いた。


「私たちこれから先夫婦になるのにこんな事で恥ずかしがっていたら毎日大変だね」


 美優さんは顔を真っ赤にして言ってくれた。ボクも勇気を出さなくちゃいけないと思い言った。


「じゃあ今日から練習していこうよ。まずはさんを付けないところから」


 顔から火が出るほど恥ずかしかったが言えた。


「分かったわ薫!」


 そう言うと美優はボクの手を握り歩き始めた。


 長谷部さんが後日この時の事を教えてくれたが周りの人たちは初々しいなと微笑んでいたそうだ。


 ボクたちは手を繋ぎながら歩いた。


「薫このクマのぬいぐるま可愛くない?」


「じゃあやってみようか」


 ボクは数回プレイしてみたが全然取れなかった。


「私もやってみる!」


 美優はとてもワクワクしていた。


 美優のクレーンゲームの才能はすさまじくものの3回でそのぬいぐるみをゲットしてしまった。


「みてみて!ゲットできた!」


 ぴょんぴょん跳ねながら嬉しそうに言ってきた。


「良かったね次は何する?」


「メダルゲームがしたいわ!」


「それじゃあメダルはどれぐらい買いますか?」


 ボクは1万枚!とか言わないか心配しながら聞いた。


「手始めに千円分でやらない?相場がわからないから違ってたら薫に任せるね」


 ボクは胸を撫で下ろした。


「千円は丁度いいぐらいかなすぐに終わる事もないしたくさん買ってるわけでもないから」


「それならよかった。ならさっそく買いに行こ!」


 ボクたちは千円分のメダルを買った。メダルは100枚出てきたのでボクと美優で50枚づつで勝負をした。ルールは1時間でどちらが多くできるかだ。


 ボクは堅実に手持ち枚数を増やしていくために比較的簡単な物を選んだ。


 美優は当たれば大量にメダルを貰えるがその反面1度の挑戦難易度が高い物を選んだ。


 結果はボクが84枚。美優が600枚ボクは運でさえ美優に勝てなかったのだ。


「私だって運が良かっただけよ」


「運も実力のうちか…」


 その後はメダルを小さい子たちにあげてボクたちは川遊びとバーベキューをする川に行った。


 その川はとても水が透き通っていて川底まで見えていた。


「薫はやく泳ぐよ!」


 美優はいつ着替えたのかもわからないほどはやく水着姿になっていた。


「ボク着替えるんで先に泳いでおいてください」


 ボクは急いで水着に着替えた。


「お待たせー」


 ボクは息をあげながら美優のところに向かった。


「遅いよほらはやく!」


「ちょっと待って…」


 ボクは落ち着きながらゆっくり息を整えた。


 美優は待ちきれず先に泳いでいた。


「薫とっても気持ちいいよ!」


「準備運動した?」


 ボクは足がつったりしたら…という懸念点があった。


「さっきしたから大丈夫よ。それにうちのメイド、執事たちは優秀だから心配無用よ」


 いやダメだろと心の中で思ったが長谷部さんからここの水深は深くても1mは無いと言われたがやはり心配だ。


「薫も泳ごうよ!」


「今から行くよ」


 ボクは万が一があるかもしれないから長谷部さんには川のすぐ近くでずっと見守ってもらうことにした。


 ボクたちは一緒に川を泳いだり水切りをしたり泳いでいる魚を取ったり川を満喫した。


 遊んでいるとすっかりお昼の時間だ。


「お嬢様!薫様!昼食(バーベキュー)の下準備が終わりましたよ!」


 メイドさんが大きな声で呼んでくれた。


「今行きます!」


 ボクたちも大きな声で返事をした。


 ボクはとても豪華なバーベキューになるんじゃないかと思っていたがその予想はいい意味で裏切られた。


 夏野菜に海鮮、魚、フランクフルトに串焼きそして少し高そうな牛ステーキ、その他のお肉これだよこれと言いそうになる程のバーベキューだ。


 美優はまず夏野菜を堪能し、海鮮、魚、串焼きと脂っこいものは最後に持ってくるように食べていた。


 ボクは好きなお肉を食べ串焼きを食べ魚を食べと全く計画性のない食べ方をした。


 これで今日の予定は全て終わった。


「お嬢様、薫様この後はどのようにいたしますか?」


「そうね昨日も今日もかなり遊んだからさすがに疲労が溜まっているから別荘でゆっくり過ごしましょう」


 ボクの疲労も限界だったのでとてもありがたい提案だった。


「わかりました。片付けをいたしますので終わるまでの間少々お待ちください」


 ボクたちは少しだけ話す事にした。


「ねぇ薫…」


「何?」


「結婚式いつにする?」


 ボクは飲んでいた水を大いに噴き出した。


「急にど、どうしたの?」


 ボクはむせながらも聞いた。


「だって結婚するんだからいつかは結婚式もしたいなって」


 ボクは少し冷静になるまで考えて答えを出した。


「結婚式はもちろんやろう。でもきちんと美優のお父さんやお兄さんにも報告をきちんとして了承を得て、一応ボクが美優のメイドって事も伝えてから挙式しよう」


 ボクは必要そうな事を全て言った。


「そうね色々話さなくちゃいけない事があるから1つ1つきちんと説明してからだね」


 そんな話をしていたら帰りの準備ができボクたちは別荘に帰った。


 ボクは昨日と今日の疲れから車の中で寝てしまっていた。


「薫起きてる?」


 美優がそう言うがボクは起きていないので無反応だ。


「チュッ」


 美優はボクの口にキスをしたのだ。ボクは寝ている時にファーストキスを奪われたのだ。


 美優は自分の行いに恥ずかしさを感じたのか、キスに恥じらいを感じたのかわからないが顔を真っ赤にした。


 別荘に着き、ボクは自室から海を眺めていた。夕日が沈んでいくさまは昨日と同じで綺麗だった。


 これから先一生この楽しい生活を続けられる事に感謝をした。新生活1日目が終わろうとしていたところに美優が来た。


「薫!星を見に行きましょう!」


 ボクの幸せで楽しい新生活はまだ始まったばかりだ。明日は初めてのメイドになってみようかな。




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