一歩前進
共同生活4日目朝から
「今日から
「なんかもうプライベートビーチじゃ驚かなくなっちゃいました」
毎日毎食の豪華絢爛さどこに行くにも億劫になるほど広い豪邸そして遊びに宝石を使おうとする事を見てきたらあってもなにも不思議じゃないと思うのが普通だろうと思った。
「期待外れな反応ですわ」
美優さんは少し
「この豪邸、敷地の広さそして四星のお嬢様なら持っているだろうなと思ったんですよ」
「まあそうなのだけれども…」
「ボクには準備という準備がないのですがどうしたらいいですか?」
ボクは着替えもそんなに持ってきていなく水着なんてもってのほかだ。
「その点は大丈夫ですわ。
自分のメイドとは言え他人の手柄を自分がしたように言うのは感心できないがドヤ顔が可愛かったので許した。
手際良くメイドさんと執事さんが色々な準備をして朝のうちに出発した。
今回も今までと同じドライバーさんだった。
「ボクいつも同じドライバーさんにお世話になっているけど他のドライバーさんはいないって訳ではないでしょ?」
「ええいない訳ではないの今のドライバー
「そうなんですねいつも同じ人だから安心というか信頼してるって感じなんだよね。て言っても3回だけだけど」
ボクは照れながら言った。
「その気持ち分かりますわ。私も和田の運転と人柄は目を見張るのもがありますわ」
そんな話をしていたら和田さんの事が気になり目線を向けてみると耳が赤くなっていた。
「そういえばプライベートビーチってどこにあるんですか?」
「宮城県ですの。とても綺麗なビーチですわ夕焼けを近くの別荘から見ることができるんですけどその美しさといったら」
そう語る美優さんの顔はうっとりしていた。
車に乗ること約5時間宮城県の別荘に着いた。朝から出発したが昼過ぎだ。
「あんまり時間はありませんが少しだけでも海に入りに行きますわよ」
そう言われボクは水着に着替える事を
美優さんはもう少し時間がかかるらしくボクは砂浜で待っていた。
「薫さん!お待たせしましたわ」
小走りでボクのところに小走りで来る美優さんの笑顔は天使の様だった。
「どうかしら似合ってますか?」
「天使様が地上に降り立ったのかと思うぐらい綺麗ですよ!」
ボクは胸の高鳴りをそのまま言葉に落とし込んだ。
「私の美しさは天使以上ですわ」
美優さんは少し照れながらも自慢げに言った。
「さあ泳ぎますわよ!」
「はい!」
ボクたちは陽が沈むまで目一杯遊んだ。
「車の中で言った通り夕焼けがとても綺麗でしょう?」
「美優さんには劣りますね」
ボクは照れ隠しに笑いながら言った。
美優さんはボクのすぐ隣まで近づきボクの頬にキスをした。
「私あなたと会えて本当に幸せですの。今まで歳の近い友人もいなければ、恋人もいなくて1人でずっと寂しい思いをしてきましたの。でも今は薫さんがこうして隣にいてくださる一緒に遊んでくださるそれが嬉しいのです。ずっと近くにいて欲しいのです」
美優さんの顔は真っ赤だった。夕焼けのせいではない事は火を見るより明らかだ。
「ボクも美優さんとこうしていられる事はとても楽しいし嬉しいそして幸せです。少し前にどうしたら美優さんの隣にずっといられるのかを考えていました。そしてボクは1つの結論に辿り着いたのです。ボクをあなたのメイドにしてくれませんか?」
ボクは真剣な面持ちで言った。
「当たり前ですわ!もとよりあなたは私のメイドですの。私の隣に一生いなさい!」
美優さんは屋敷の主人に相応しい表情をしていた。
「でもこの1週間はこの関係でいさせてください」
ボクは冷静に言った。
「1週間じゃなくてメイドとしてもこの関係でいいですわ。メイドという役職を与える事であなたは名実ともに私の隣にいられるんですから」
「美優さんって本当に優しいですよね」
ボクはニコッと笑いながら言った。
その顔を見て美優さんも笑ってくれた。
長谷部さんがボクたちを呼びに来た。
「お嬢様、薫様夕食の準備が出来ました。はやくお戻りください」
「はーい」
ボクと美優さんは子供のように返事をした。
ボクたち2人は長谷部さんの前では子供に戻ってしまうらしい。
夕食は一風変わったそうめんだった。夏野菜が添えられており冷やし中華らしさを感じた。
長谷部さんにボクがメイドになる事を美優さんが話した。長谷部さんは嬉しそうに笑いながら言った。
「メイドと結婚する主人なんて初耳ですわ」
ボクは混乱して何も考えられなくなった。
「長谷部なんでその事言うのよ!」
美優さんは顔を真っ赤にしながら怒った。
「先程話していたのがその件だと思いまして…」
長谷部さんは申し訳なさそうに言った。
美優さんは自室に
「美優さん機嫌直してくださいよ」
問いかけても返事は帰ってこない。
「薫様今回は
長谷部さんは美優さんの部屋に入った。
ボクは何もする事がないのでビーチに行き夜風にあたっていた。
月明かりが海の綺麗さを引き立たせていた。
「綺麗だなー」
ボーッとしながら
「だから綺麗だと言ったでしょう?」
聞き覚えのある美優さんの声だ。
「仲直りはできましたか?」
「長谷部は
「それならよかったです」
ボクは安堵の表情を浮かべた。
「あの…先程の事なのだけれども…」
美優さんは
「ボクも美優さんの事好きですよ」
「そうなんですの?!」
美優さんは心底驚いていた。
「同じ時間を過ごしてボクも美優さんも共に幸せだった。そして互いにずっと隣にいたいと思えるのは運命だと思いませんか?少なくともボクは思います。でも美優さんは四星を継ぐかも知れないとても凄い人です。悔しいですがその隣にいるのはボクより他の方の方が良いと考えてしまうのです…」
ボクは美優さんの顔を見れなくなっていた。
「なら
美優さんのその言葉にボクは泣いてしまった。
「美優さんの旦那さんになる事も良いのですが、ボクは女装が好きなのでメイドになりたいです…」
申し訳なさそうに泣きながら言った。
「あははは!あなたは私の見込んだ通りですわ!なら私の旦那でありながらメイドになればいいじゃない」
そんな言葉を聞いていたらボクの涙は甘くなっていた。
「そんな事いいんですか?」
「私が許しますわ!あなた以外に私の夫は勤まらないと考えておりますので」
美優さんは今自分が言っていることを恥ずかしい事と思ったのかさっきまでの威勢はどこかに消えていた。
「不束者ですがよろしくお願いしてもいいですか?」
「こ、こちらこそ…不束者ですがよろしくお願いします」
ボクと美優さんはめでたく結ばれた。
よく考えてみたらお嬢様が一目惚れした相手にメイドになる事を強制させて、それなのに結局メイドではなく夫にして、でも夫は女装が好きだからメイドになりたい。
世界でこの2人ほど意味不明な人生を送っている人はいないだろう。でもこれから先2人の人生が幸せなのは確約されているのだ。
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