病弱聖女は計画を立てる
魔物の情報を書き記した紙を見る
討伐対象とした3体のうち最も近い位置に居る1体に狙いを決める
魔物の名はエルダーグリフォン、グリフォンの中で最も長い時間を生きた者
昔に受けた傷跡が残る狡猾な魔物
人とも戦い慣れているようで手強い
南にある山の頂上を縄張りにしている、ここ数十年人が襲われたという話は聞かない
「不意打ちで仕留める」
盗賊団のリーダーから受け取った魔導具、隠匿のマントで接近して聖女の洗礼で仕留める
エルダーグリフォンは飛行するが普段は地上に居ると書かれていた
なら接近は出来る
後は南の山にどうやって向かうか
私の立場上勝手に行ったら大問題になる
かと言って許可は降りないだろう
そこが問題、無理やり行くにもそれ相応の理由が無いと止められる
……まだ時間はあると思うからまだ隙を探すかな
悪化していてもまだ動きに支障は大きく出ていない
ならチャンスを伺う
「チャンスは絶対に逃さない」
訓練をして魔物を調べてチャンスを伺う
確実に力がついてきている
1人でも勝てる可能性が高くなっていく
「順調だね」
小さな玉を10個維持出来るようになってきた
形も結構綺麗になっていってる
「なんか慣れてきたのかな?」
最初に比べて余裕が出来てくる
慣れてきたのだろう
11個目を作ろうとしても爆散するのは新しい物だけで10個は無事
訓練を終えていつも通り本を読み漁る
魔物については大体調べた、なのでまだ読んでいない聖女に関する本や魔力、魔法について読んでいく
読むのは特段早くないが覚えるのは得意
……この内容はさっき見た
同じ内容が書いてある事もありその場合は途中で辞めて次の本を読む
無駄に時間を使う気は無い
魔力操作の訓練をしながら本を読む
「へぇ、色んな魔法があるんだね」
「多種多様です。同じ魔法でも人によって使い方が変わってきますから」
「そうなんだ」
「はい、例えばですが防御魔法の障壁を足場にして空中戦闘をする人も居ます」
「シールドを足場……へぇ」
……それは良い事聞いた
私にも使える戦法、これから戦おうとしている魔物はエルダーグリフォン、もし倒し損ねた場合空中に逃げる可能性もある
その時に使えれば空中で相手の有利を減らせる
シールドを出して触れる
シールドは魔法以外にも拳や石など魔法以外による攻撃も防げる
自分の意思で動かさない限りその場に留まり続ける
……別の使い方……聖女の魔法にもあるかな別の使い方
魔法にあると言う事は聖女の魔法も例外では無いだろう
まだ勝てるかは確実じゃない
……ただ付け焼き刃
練習する時間があるか分からない
だから考えるだけで終わるだろう
夜深くなり本を読むのを辞めて自室に行って眠りにつく
別の使い方を考えるだけ考えて訓練をして本を読み偶に研究室に顔出す
特に問題は起きずに偶に治療をやる程度で時間が過ぎていく
順調に力をつけてきた頃に問題が発生する
それも最悪な
「う……がっは……はぁ……」
魔力の操作訓練中に血を吐く
今まで以上の吐血
平然を保てない程の苦しさも来る
……悪化した? 今まで予兆は無かったのに
「お姉ちゃん!」
「アナスタシア様!」
暫くの間、血を吐く事も無かった
だからまだ大丈夫だと踏んでいた
だがそう甘くはなかったようだ
私は吐血した血が地面に溜まっていく景色を最後に私は意識を失う
次に目を覚ましたのは1日後だった
エルリカが私の目覚めに気づいてすぐに部屋を出ていく
……あぁ倒れたんだ
私は記憶を探り思い出す
血を吐いて倒れた事、それもヒナとエルリカの前で
これはもう悪化を隠しようがない
意識を失っている間に医者が検査も済ませているだろう
「間に合わなかったか」
もう少し訓練してから挑む予定だった
ドタバタと足音がする
複数の足音だ
扉が大きく音を立てて開かれる
王様とレオナルドさんが入ってくる
「目覚めたか!」
「お騒がせしました」
「症状が悪化していたのか……いつからだ」
「……吐血なら少し前から少しだけ、ただ前からあったのでいつものかなくらいにしか思ってませんでした」
実際前から吐血自体はあった
本当に少しだったが
「成程、確か魔法と薬で抑えてるんだよな? 症状が抑えられなくなったのか?」
「いえ、普段は抑えられているんですが……何故でしょう」
「確か魔力操作の訓練中だったよな?」
「はい」
「エルリカ訓練中になにかあったか?」
「いえ、普段通りで特に何もありませんでした。使っていた魔力も多くありませんでしたし」
「そうか……まぁ検査結果を待つしかないな。アナスタシア暫く安静にしろ」
「は、はい」
……バレたら不味いけど訓練はしないと……本は読めるよね
安静にしろと言われてもする気は無い
バレない範囲でやれる事はやる
本なら別に問題無く読めるだろう
「すみません、聖女の役目があるのに」
聖女の役目が出来なくなるのが大きい
これでは力を得る前と変わらない
折角動けるようになって聖女の魔法も多く使えるようになったのに
これでは力を得た意味が無い
このままでは私は何も残せない
「ここ最近は大きな騒動は起きていない。心配するな」
「ヒナ様も居るしな。突然の事で身体が慣れてなかったのだろう。休んでおけ」
「はい」
その後軽く話をして2人は立ち去る
「安静にですよ」
2人が立ち去った後にエルリカに念を押さえる
「暫くは安静にするよ」
「このくらいの吐血はあったんですか?」
「無かったよ。本当に最近は無かったから落ち着いたんだと思ってたんだけど」
「そうですか……」
「少し安静にして少しでも症状を押さえる」
戦闘中に吐血して倒れるなんて事になれば確実に死ぬだろう
そうなったら不味い、倒れるにしても戻ってからか戦闘後安全な状態で無いとならない
素材を回収して戻らないと討伐の意味が無い
数日医者の指示に基本的に従って人が居ない時に隠れて少し訓練をする程度で押さえる
それ以外の時は本を読む
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます