病弱聖女は魔物から材料を入手する

 殲滅し終えたのでゆっくりと崖から降りる

 支援系魔法を掛けている為落ち着いていけば降りれる


「終わったな」

「思ったより楽でした。流石聖女様の魔法です」

「攻撃魔法も凄い」

「聖女の魔法なので」


 ……さて、魔物から


 短剣を取り出して目的の魔物を探す

 戦っている最中見つけていた魔物の死体を探す


 ……この辺に居なかったっけ? 違うっけ


 周りを見渡して探すが見つからない


「何を探しているんですか?」

「ある魔物の死体を」

「魔物の死体? それは何故?」

「あぁ研究か」

「はい、研究に欲しい材料がありまして」

「なるほど、着いてきた理由はそれか」

「それもあります」

「どの魔物ですか?」


 私は3人に説明する

 すると3人も協力して探してくれると言う

 研究に使える魔物の素材、アカリさんの話によるとその魔物の素材が研究所に来る事が珍しく他の研究者も欲しがるからこっちには滅多に来ないと言う

 それがあれば進展する可能性があると言っていた

 あくまで可能性だが試す価値がある


「ふむ、この辺で倒した筈ですが」

「何体か居た気がするがぐちゃぐちゃでよくわからんな」


 魔物の死体で血の海になっている

 遠慮なく切り刻んだり叩き潰していた


「見つけました」


 ニール騎士団長がそう言ってその魔物の体の一部を持ち上げる

 私はすぐに駆け寄り確認する

 間違いない目的の魔物


「ありがとうございます」

「いえいえ、聖女様の力になれて光栄です」


 短剣で軽く解体して身体の一部を綺麗に回収して持ってきていたバックに詰める


 ……これで良し、これだけあれば足りるはず


「その魔物か。倒した時必要なら送るぞ」

「あくまで今回は確認で必要になるか分かりません」

「そうか」

「研究とはなんの研究をしているんですか?」

「私が患ってる病の研究です」

「不治の病と言われているあれですか」

「ふむ? あの病の研究は止まったと聞いているが」


 私の話を聞いてベルラン騎士団長が首を傾げている


 ……止まった。まぁ実際止まりかけてたからほぼ間違いではないかな


 アカリさんが1人でやっていたが表向きにほぼ止まっていたと思われていてもおかしくない


「どういう事だ?」

「詳しくは無いがここ数年成果が無く予算もろくに落ちなくなり研究が閉じたと」

「たった1人だけ研究を続けていた方が居まして」

「たった1人で……我々も何かあれば協力しましょう。病の研究はいずれ多くの人を救う!」


 力強く胸を叩き言う

 頼もしく見える


「その時はお願いします」

「もう少し見て回るぞ。居なければ戻る」

「分かりました」

「分かった」


 魔物の捜索を再開する

 周囲を探すが見つからず街へ戻る

 全体の数に比べれば少ないが数を減らせたのは大きい

 街に戻ると迎撃の準備が進んでいる

 急いで準備をしているのが見える


 ……早い


 行く時は出来てなかった物が出来上がっている


「他の場所も行きますか?」

「いや、目的通り数は減らせたし報告する話もあるしな。迎撃の準備を整えてくれ」

「なら俺は戻る」

「では私も」


 ニール騎士団長とベルラン騎士団長がそう言って迎撃の準備に戻っていく


「王に報告しに行く予定だが行きたい場所はあるか?」

「であれば研究所に、新鮮なうちに保存して研究したいので」

「そうか、なら研究所寄るか」

「お願いします」


 レオナルドさんと一緒に研究所へ向かう

 街中などは危険があるので護衛が居ないと出歩けない

 研究所に通ってた時はエルリカが一緒に居た

 エルリカも少しは戦えると言っていた


「必要なら王に言えば金なら用意してくれると思うぞ」

「本当に困った時はお願いする予定ですが今は一先ず出来る範囲の研究をして探っているので」

「そうか」


 王様に頼んで金を貰う

 それは考えたが成果が出せなければ私の死後は打ち切られるだろう

 そうなったら研究が止まりかねない

 なら今は何でもいいから成果を出して研究を維持する事を目的にする


 研究所に着きレオナルドさんと別れて2階の奥の部屋に向かう

 相変わらず研究者達が様々な研究をしている

 通路を歩いていると目の前から人が飛んでくる


「え?」


 見間違いかと思い後ろを見ると白衣の人が倒れている

 見間違いでは無かった

 実際に目の前から人が飛んできていたのだ


「え?」


 私は状況が飲み込めない

 周りの研究者は何事も無いかのように研究をしている

 ゆっくりと脳内で整理すると初めてここに来た時の事を思い出す

 壁紙に吹き飛ばすと書いてあった

 あれは冗談じゃなかったのだ


 ……あっ、そうか


 倒れている人物は壁紙に書いてあった注意事項を破ったのだろう

 だから誰も反応をしない

 納得してそのまま部屋に向かう

 いつもの事ならじゃれ合いのような物だろう

 念の為に倒れた人にヒールを掛けてはおく

 当たり所によっては危ないから


 2階の奥の部屋に行くとアカリさんが研究をしていた


「アナスタシア、来たか。魔物の件で呼ばれたか」

「知っているんですね」

「既に知らない者は居ないと思う」

「そうでしたか。あっそれで」


 バックから手に入れた魔物の一部を取り出す


「それは!」

「先程、魔物を削る作戦をしました。その時にこの魔物が居たので倒した後に回収しました」

「成程、おぉ正しく欲しかった素材、この魔物は強かったはず」

「騎士団長3人と一緒に魔物と戦いました」

「騎士団長3人とか。成程納得だな」

「実験をしましょう」

「あぁ」


 まず腐らないように保存してから丁寧に扱い実験を行う

 実験の器具を使い時間をかけて実験をする

 この日は泊まり込み実験を行う。交代交代で仮眠を定期的に取って慎重に行う

 エルリカが2人分の食事を持ってきてくれる

 失敗してもまだ何回か分の余裕はあるが出来れば1回で成功させたい


 そして実験は終わる

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