病弱聖女は先手を打つ為に森へ行く
今日も研究所に行こうと考えていた所王様に呼ばれ王の部屋に行く
私以外にもレオナルドさんとアルトが呼ばれていた
「来たか」
椅子に座るよう促され座ると王様が話を始める
久しぶりに呼び出された、何かあったのだろう
もしかしたら教会の件で動きがあったのかもと思い言葉を待つ
「近々魔物の襲撃がある」
「襲撃!? それはこの国にという事ですか?」
「あぁ、近くの森に魔物の大群が居る事が確認された早ければ3日後には攻め込んでくるそうだ」
「3日後……」
3日は早すぎる
襲撃に備えて今から準備して間に合うか分からない
「今君達は謹慎中だが緊急事態故に協力を願う」
少しでも多い戦力が欲しいのだろう
特に強いレオナルドさんと私の聖女の力は役に立つ
「分かりました」
「準備は?」
「既に始めて貰っているが……間に合うか分からない。国中で一般人もかき集めて総動員して揃えて貰っている」
人を集めるのはいいが迎撃用の武器などの調達が間に合わない
間に合わないと戦いが厳しくなる
物資不足は負けの原因になる
「規模は分かりますか?」
「確認が取れているだけで数千の大群だ。魔物の強さを考えなければ最悪万居るかもな」
「数千……」
城壁内の戦える全員をかき集めても恐らく全然足りない
攻め落とされたらこの国は滅ぶ
城壁を突破されれば甚大な被害が出るのは目に見えている
それは阻止したい
「多いな」
「騎士や兵士の総数は約800です」
大きい国だが魔物との戦いで年に何十人と死んでいる為、総数はそこまで多くない
教育機関がありそこの生徒を含めればもっと増えるだろうが彼等は戦闘経験はほぼ無い
戦場の経験が少ない新人も多い
「戦える人間全員合わせても1100くらいだな」
「レオ、何か策は無いか?」
「魔物が襲撃する前に削るしかないな」
「騎士を編成するか?」
「いや、私と騎士団長数人だけで行く。今戦力を減らす訳には行かないからな」
「そうか」
「その間アルト護衛出来るな」
「は、はい! 任せてください」
「いえ、私も行きます!」
私はそう進言する
私は支援系魔法も攻撃系魔法も使える、いざと言う時の回復防御も可能、対魔物なら聖女の力はかなり役に立つ
魔力は殆ど使っていないから余裕がある
それ以外に研究に使える材料を手に入れられるかもしれない
これは良いチャンス
「危険だぞ」
「知っています。ただ私は役に立ちます」
「……分かった。行くぞ」
「はい」
「アルト、お前は迎撃の準備に加われ」
「はい!」
「では任せたぞ」
王の部屋を出てアルトと別れレオナルドさんと一緒に城門付近に向かう
騎士団長も例外無く駆り出されている
そのくらいの一大事
城門の前に着く、そして騎士団長の1人を見つける
護衛騎士を選ぶ時に居た1人だ、第2騎士団の団長
兵士や騎士に指示を出している
「レオナルド、貴方も駆り出されましたか」
「緊急だからな。それで魔物に攻撃を仕掛ける」
「襲撃される前に削ると、貴方1人で?」
「いや騎士団長数人連れていく。力を貸せ」
「戦力としては妥当ですが全員今忙しいです」
皆大急ぎで準備をしている
指示を出している騎士団長もその分忙しいのだろう
……まぁ忙しいよね
王様の話では一般人も駆り出して準備をしていると言っていた
騎士や兵士は最悪徹夜で作業も有り得るだろう、戦う彼等には休んで欲しいがそうは言ってられないのかもしれない
「それは副団長に任せればいい。こちらの方が重要だ」
「はぁ、分かりました。引き継ぎをしてきます。他の団長もこの付近に居る筈です」
「そうか」
一先ず第2騎士団長と別れて別の騎士団長を探す
「近くには居ないな休憩中か別の区域に居るのか」
「居ませんね」
周りを見渡す
騎士や兵士は見つかるが団長の姿は見えない
第2騎士団長が居たから別の場所で仕事をしているのだろうか
……別の場所に行かないとかな
「おい」
レオナルドさんは近くに居た騎士に話しかける
ここで仕事しているのなら騎士団長達の居場所を知っていてもおかしくない
「リヌワール団長どうしましたか?」
「騎士団長を探しているんだが知っているか?」
「ええっと、確かニール騎士団長とベルラン騎士団長なら近くに居るはずです。他の騎士団長の方々は分かりませんが」
ニールとは第2騎士団長の事でベルランは第3騎士団長の名字
「ニコラスも居るのか、分かった。止めて済まなかったな」
「いえ、力になれて光栄です」
ベルラン騎士団長を探す
周りを見ていると他の騎士に紛れて準備しているベルラン騎士団長を見つける
図体が大きく見つけやすい
「見つけました」
「あぁ、そこか。指示出しではないのか」
「混じって準備してますね」
ベルラン騎士団長の元に行く
丁度荷物を運び終えて近くの騎士と話している
話し掛ける良いタイミング
「これでここは足ります。ベルラン騎士団長のお陰で想定より早く荷物運びが終わりました。ありがとうございます」
「構わんよ。次の物資を運びに行くとするか。次は何処かね」
「次は……」
「ニコラス」
「うん? おぉ、どうしたレオナルド謹慎中だろ」
ベルラン騎士団長は豪快に笑いバンバンと背中を強く叩く
「緊急事態だからな、それで魔物を削りに行く。力を貸せ」
「ふむ、よし分かった。後は任せるぞ」
「はい!」
「それでメンバーは?」
「シルヴァンとお前と私、後アナスタシアだな。3人居れば充分か」
「アナスタシア……おぉ、最近噂の聖女様か」
私の方を見る
私は若干下がる、知らぬ騎士にはまだ抵抗がある
「最近噂か」
「魔物を殲滅しただとか教会に殴り込みに行っただとか最強の騎士を護衛にしたとか」
全部ちゃんと私がやった事
内容的に良い噂では無いだろうが
「全て正しいな。しっかりと実力はある」
「ふむ、信じ難いな。そう簡単に変わる物なのか」
騎士団長となれば過去の私の事を知っているだろう
そうなれば怪しむのも当たり前
「それは見れば分かる」
「ふむ、まぁ良い分かった」
城門で待っていると引き継ぎが終わったニール騎士団長が合流する
「魔物が発見されたのは東森の中です」
「あそこなら確かに大量の魔物が居ても見つけられないか」
私が捨てられた森、私が捨てられた場所が森のどの位置か分からないがあの森は広かった
魔物が潜むには丁度良い場所
「ふむ、では行くか。善は急げと言う奴だな」
「見つけ次第殲滅だ」
「では行きましょう」
城門から東の森へ向かう
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