冒険者の仕立て屋さん『外見偏差値カンストオーバーの彼女は、今日も愛の言葉を真に受けてくれない』爺さんの未練のために、異世界で一番の名店「コンビニ」に。いつか、行けたら良いな。
第16話 小説投稿サイト【ギャグ回】2512文字
第16話 小説投稿サイト【ギャグ回】2512文字
さあ今日も楽しいお夕食の時間よー! お偉さんと難しい話をたくさんしてきて、みんな暗いか真剣な顔しちゃってるし、こう言うときこそ説法で心を和ませなくっちゃ☆
「トゥイトゥ、エディン ヤイオ ティウディンドゥ?」
「あはは……沢山お話したから、少し疲れたんだよ、タロッキちゃん」
姫ったらまたタロッキちゃんに、心配そうに抱き抱えられてるわ。変装用の金髪カツラまでズレちゃって、お疲れさんね☆
幸い今日はララン副頭目さんも寮に泊まってくれるし、明日からは強行軍だから、切り替えて行かなきゃ。
「説法をしよう」
「……そうだな。根を詰めたし、少し頭を切り替えて休もう」
さっすがアタシの相棒。何か言いたげな姫を遮って、アタシの意を完璧に汲んでくれたわ。頼りになるぅ〜!
「疲れたし、何か面白いネタでお願いね?」
「うむ。ならば、小説投稿サイトを知っているか?」
「小説ならよく書きますけど……?」
「投稿ってアレでしょう。例えば新聞の執筆した原稿、または原稿を印刷局に送ることでしょ?」
「じゃあサイトって、なんだ?」
「エ ワイルーンワティウイム イフ トゥオルティウプルン バンブ プエグンス イム ティアン ウムティンディムンティ? (インターネット上にある複数のwebページが、集合したものでしょ?)」
おや? 言葉の意味はわからないけど、タロッキちゃんが何か答えてくれたわね。ふむ。こっちの言ってる事が分かるのかしら?
「タロッキちゃん。何か知ってるの?」
「トゥイトゥ、バエウティ!」
「なんだって?」
「お姉さん待ってって、意味だと思うけど……」
タロッキちゃんは少し考えたあと、マナギの作業部屋に飛び込んで、何も書かれていない紙を2枚とペンを持ってきた。
紙を8つに切り分けると、それぞれ読めない文字や、簡単な絵を描き込み始めた。
それをお盆の上に並べて、アタシたちに見えるように、1枚1枚切り替えて見せてくれた。
「ティアウス ウス ウティ!!」
「…………遊んでるのか?」
「いや……これを、デンパと水鏡で行うのが、サイト。つまりは一纏めの決まった変化交信パターンと、説法を受けた」
「……
「スウトゥウルエディ!!」
タロッキちゃんはラランさんの1言に、拍手をして何度も頷いて見せたわ。なるほど。この子リインカーか、リインカー相当の加護を持つ人物のようね。こちらの言っていることも、おおよそ理解してるわ。
「マナギ」
「ああ、地頭が良いだけかと思ったが……タロッキ。お前は、リインカー。異世界転生者なのか?」
「リ、インカー?」
あら可愛らしく小首をかしげちゃって、かんわいぃい☆ ふむ。どうやら彼女の語源にリインカーという単語は無いようね。単に言葉が違うから、わからないというのもあるかも知れないけど。
「で、小説をサイトとやらで交信して、どうするんです?」
「向こうでは掲示大板のように、誰でも見られるらしい」
「え、水鏡ですよね。すっご。ああでもそれができれば盗難もないのか……」
「ウティス エム ルワドゥ ティアイオグア……(水鏡じゃなくてたぶん液晶なんだけどな〜……)」
姫は感心したように、顎に手を当てて考えちゃってる。きゃんわ良い☆ 彼女のこう言う姿を見れるのも、約得よねー!
「うむ。文学を信仰する者たちは、これらを聖霊の働きとして、称え祈る一派も存在する」
「ウティス フエディ エバエヤ!!? (ここにきて遠くなった!!?)」
「本当ですか〜、な〜んか、胡散臭いですねぇ……」
「あーでも、団で小耳に挟んだ事あるわ。魔術師ギルドのお爺さまたちや、医療教会の人たちも研究してるって」
「うむ。実際に奇跡や魔法を賜ったと聞く」
「なら、祈らないか?」
「なにをです?」
「何でも良いさ。祈れば届くかも知れないぜ?」
「分かった。祈りの言葉なら知っている」
専用の祈祷詠唱があるのよねん。何か釈然としない顔でタロッキちゃんと姫もみてるけど、黙って目を瞑ってくれた。ふっふっふっ、薄目で覗くのは、神官の必須技能よん。
「大いなるカックヨー厶神よ。成し遂げさせし始まりの神、ナ・ロウよ。新しき頁の神よ。そして、我らを見守りし聖霊たちよ。恩御魂に
「ティアエティ バエヤ!!?(そっちぃ!!?)」
マナギは真剣に祈ってるわね。タロッキちゃんも何か驚いたようだけど、真似して祈ってる。可愛い☆ 副頭目は、普通に祈ってるわね。姫は……あーわかりやすいわね。マナギの方向いて祈ってるんだもの。
さて、「私」も真剣に祈ろう。
神様がなんでいるのか。そんな答えは1つだろう。
疑う事を、乗り越えさせるためだ。
誘惑という事実を考え、抗うためだ。
故に、神は試練を思し召しなさる。
ニンゲンだけが、福音を感じるのだから。
「マナギさんは、何を祈りました?」
「サイトってのが、いつか作れれば良いなって」
「私はクックとみんなの健康を、レーナちゃんは?」
「え……た、タロッキちゃんが、無事故郷に帰れますようにって。うん」
「この部屋だと、東列島の地図がお気に入りみたいだものね……」
「うー……ウ フンール ルウクン スイトゥンティアウムグ ウス ドゥンフウムウティンルヤ バディイムグぅ〜!! (うー……よくわかんないけど、何か決定的に間違ってる気がするぅ〜!!)」
「クリスは?」
「秘密だ」
「…………ダンマリ」
「5年物」
「むぅー!」
姫ったらむくれてキャンワイイ!! マジこの為に生きてるわぁああ。……みんなとグリンちゃんが、ずっと幸せでいるなら、アタシは何度だって、いつだって祈っているわ。
そして、姫に……いえ、止めましょう。
これを祈るのは、彼女ともう会えなくなる時であるべきだから。
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