青空ひなたは適応する

 見知らぬ天井だ…なんて、本当に使うとは思わなかった。


 あの時、公園で光に飲み込まれて気を失って、目を覚ましたら全然知らない家のベットに寝かせられていて、正直何が何だか分からないというのが今の私の感想だ。


 そうして数分、訳もわからずに辺りを見回していると、部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。


「は、はいっ!」


「あ、起きましたか。失礼しますね。」


「え、えと…は、はい」


 すると家主?なのか分からないが女性が入出してきた。


 めちゃくちゃ美人な大人の女性。私よりも薄い金髪、かなり大きな胸。こういうのをグラマスな体型とでも言うのだろうか。そして、あんまり日本では見慣れないドレスのような服を着て、高そうなアクセサリーをしている。


 外国人だろうか?


「何が起きたのか分からない、という顔をしてますね」


 ポカンと口を開いたままフリーズしていた私に、女性は笑みを浮かべてそう言う。


「ま、まぁ…何が何やら…」


「気を失う前の記憶はありますか?」


「え?…あぁ、えと…なんか、『救世主』がどうたらって声が聞こえて、その声がする方に走ってみたら公園があって、ぴかっー!って強い光に飲み込まれて…それで…」


 私の記憶はそこでとぎれている。つまりあの光で気を失って、それを助けてくれて、ここまで運んでくれたのがこの人という事だろうか。


「やっぱりあの娘の《運命》が発動したのね…」


 何も分からない私を放って、女性は手を顎下に置きながら何やら独り言を呟いて一人納得していた。


「失礼ですが、お名前は?」


「え、えと。青空ひなた…です」


「えっ!?!?」


 私の名前を聞いた美女は、元々大きい瞳を限界まで開いて、大層びっくりしてみせた。


「!?…えと、私の名前が何か?」


「そんな…まさか…ここまでとは…」


「えっと…」


 そして先と同じように、独り言と一人納得をする。置いてけぼりにされている私は何が何だか全く分からない。


「ひなたさん…あなたのお母様のお名前は…真夜まよる青空そら真夜まよるではありませんか?」


「え、ママの事知ってるんですか?」


「やっぱり!…もちろんですよ!あぁ、もう!これは早くにも伝えなければ!」


 そして今度は私のママの名前を言い当てられ、肯定した瞬間飛び上がるように喜び出す美女。


「あ、あの…私にも分かるように、現状とか教えて貰えると嬉しいんですけど…」


 私は流石に全くついていけない現状を放って置けなくなって、舞い上がっている美女に問う。


「はっ‥!私とした事が…そうですよね、いきなりに呼び出されたんですもの。混乱してますよね。」


「…へ?イセカイ?」


「…少し長くなってしまいますが、全て真実で重要な事なのでお聞きください。」


 そうして美女から聞いた内容の情報量を処理しきれずに、私はまた口を開けてフリーズするしかなかった。



 この場所が日本とかがある地球とは全く違う場所、異世界であるということ。


 そしてその異世界が危険な状況にあり、私はそれを救うための救世主として呼び出された事。その証が、左手にある蝶々に似た謎の模様らしい。


 正直この話達だけでも全く意味がわからない。


 けれどそれ以上に、私のママはかつてこの異世界を救った英雄だった事。それを聴いてめちゃくちゃ驚いた。


 そして、この美女がママの名前を知っていたり、日本を知っていたりした訳を納得した。


「まさか真夜とヒナの娘が救世主に選ばれるなんて…まさに運命ね。」


 美女は話を終えてもまだ昂る感情を抑えきれない様子で、笑みを浮かべている。


 それより私は美女の言葉に、気になる単語を見つける。


「…ヒナ?」


「あら、異世界の存在を教えてないからそうじゃ無いかと思ったけど…真夜、ヒナの事もやっぱり話してなかったのね。」

「ヒナ…本名はあかり陽奈ひなといいます。…ヒナはね、真夜の妻で、貴女のもう一人のお母さん。」


「…へ?」


 もう一人の…お母さん?


「ふふ、そうよね。最初は真夜も同じ反応をしてましたね。」


 もう何回目ともわからない私のフリーズに、美女は優しい笑みを浮かべる。


「男性は男性と、女性は女性とで婚姻を結び、子を成すのが一般的なんです。この世界はね。」


「…ふぇ!?」


「だからね、貴女のもう一人のお母さん。いるんですよ、この場所に。」


 とても信じられない話だった。まさになんでもありの異世界だ。


 けど、思い返してみると、ママは相手に対して『お父さん』やら『パパ』みたいな単語は一切使って無かった気がする。


 そう思うと、もう点と点が繋がっていって、信じざるをえなくなる。


 何より、会いたかったパパ…じゃなくて、もう一人のママに会えるのは素直に嬉しいし、あの超真面目で美人で高収入なのに、再婚話が全く無かったママが好きになった異世界の人…すごく気になる。


「その…びっくりしすぎて混乱してるんですけど…結構辻褄みたいなのがあってて…だから…うん。全部、信じます。」


「ふふ、ひなたさんは、雰囲気は完全にヒナ似だけど、その適応力は間違いなく真夜似ですね。」


 その言葉は、まだ見ぬもう一人のママの存在を近くに感じて、なんだかくすぐったかった。


「あ、あの!もう一人のママの事は分かりました!…けど、救世主って話の方はなんとなくしか理解できなかったんですけど…私は具体的に何をすれば…」


「そうですね。ヒナには後で連絡を入れておくとして…救世主の方のお話を進めましょうか。」


 もう一人のママはもう私の中では違和感なく私の母親の席に座っている。自分でも中々な適応力だとは思う。


 それより問題は救世主の方だ。


「まず、ひなたさんがこの世界に呼び出された理由は、先ほども話した通り、この世界に大きな危険が迫っているからです。」


「…危険」


「そう危険…それは侵略者プレデターの存在です。」


「…プレデター?」

 

「侵略者達は、この世界の秩序を力で壊し、支配しようとする者達のことです。その侵略者の正体は真夜がすでに解明してくれていますが」


「ママが…」


「はい。侵略者とは貴女達の世界、チキュウと呼ばれる場所から転生、あるいは転移してきた人間なんです。」


「え?地球人が、侵略者?」


「ええ。真夜によれば、その者達にはどうやら共通点があるらしいです。」


 まさか侵略者というやつが地球人だとは思わなかった。もっとある映画に出てくるようなグロテスクな生き物を想像していた。


「チキュウにはマンガやアニメといった娯楽があるんですよね?そしてその娯楽に、『イセカイテンセイ』という枠組みがあると。」


「え、あー。そーいえば流行ってますね…私はあんまり詳しく無いんですけど…」


「実は侵略者は、そのイセカイテンセイのマンガやアニメに強い憧れがある者達らしいのです。」


 なるほど。所謂ヲタクというやつだろうか。あまり詳しくは無いけど、最近は、ヲタクじゃなくてもアニメや漫画を見る時代だ。興味はなくとも耳には自動的に入って来る。


「…ただ、どうやらこの世界はそのイセカイテンセイの物語で出て来る異世界とは少し違うみたいで…主に、同姓同士で結ばれるところが。」


「…?」


「通常、転生したらその物語の主人公になり、物語も恋も思うがままになるそうですね。大きな力を持った男性の主人公に、女性が好意を持って大量に群がると。…ですが、前述の通りこの世界では異性に恋をするというのは、ほぼありえません。」


「っ‥」


「しかし、転生してきた者達には特殊な力が宿るのはどうやらマンガやアニメと同じようでして…」


「…それってまさか」


「…はい。転生者達はその特殊な能力を使って、力で異性を…そして、転生者同士で集団になって、好き放題…」


 嫌な予感が当たってしまって、冷や汗が流れ出る。


 正直、現実とフィクションの違いに耐えられなくなった人間が侵略者になっただけ、それならば話し合いで平和に解決できるんじゃないか?と思っていた。


 けど、目の前の女性が言い淀んだ先を想像して、あまりにも生々しくて、吐き気を覚える。


「転生者達の能力は、私たちの世界では中々お目にかかれない強力なものばかりで…普通の人間では歯が立ちません。そこで私の能力を使って呼び出した救世主…それが真夜だったのです。…そして今回貴女を呼び出したのは、恐らく私の娘です。」


「娘さん?」


「私の娘は、少し前から侵略者に狙われていて…それで追い詰められて貴女を呼び出したようです。貴女が聞いた声は私の娘のものでしょう」


 もう脅威はすぐそこまで迫っているらしい。


「私はどうすれば…」


「恐らく貴女にも真夜みたいに特殊な能力が備わっているはずです。侵略者をも凌駕する強力な物が。」


「私に…」


 本当にそんな力が私にあるのだろうか。


 人助けはしたい。けど、相手が人で、しかも戦わなきゃいけないだなんて…正直かなり怖い。それに不安が大きい。


「勝手ながら、貴女の身体を少し調べさせてもらいました。そしたら一つだけ、《限定召喚》という魔法を使えることがわかりました。」


「限定召喚?」


「私も詳しい事は分かりませんが、《召喚サモン》と呼ばれる下級魔法の上位の存在だと想像します。お身体に異常がなければ、さっそく試してみましょうか。」


「は、はい…あ、今更なんですけど、お姉さんのお名前って聞いても?」


「名乗っていませんでしたか!?…すみません、色々な奇跡が起きてつい…」


 気が動転していたのはお互い様だ。この一瞬で色々なことが起きたんだから自己紹介が後回しになっても仕方ないだろう。


「私はユリエラと言います。家族関係を簡単に、妻はアリア、娘はユリアです。どうぞお好きにお呼びください」


 にっこりと笑ってお辞儀するユリエラさん。

 

 やっぱり彼女の結婚相手は女性だったけど、不思議とそこに強い違和感は無かった。


「あ、そうそう。ひなたさんを呼び出した私の娘だけどね、ひなたさんの実の妹の婚約者だから。ひなたさん…いや、ひなたちゃんはユリアの義理の姉になる予定です。」


 実の妹、義理の妹、婚約、義理の姉…


 うん、ただでさえもう一人のママがいたことで驚いたのに…もう情報量が多すぎてツッコむ気力も湧かなかった。



「《召喚》というのは、あらゆる空間や時空から、あらゆる種族の生命体を呼び出し、己の使い魔にする、という魔法です。」


「ただ、色々誓約がありまして。要約すると、自分より弱い存在しか召喚できないのです。基本的に小動物が多いですね。…つまり、戦闘面において実用性は皆無。」


「そんな下級魔法である召喚の手順が、限定召喚という謎の能力に通用するのか分かりませんが…今から私が言う通りにしてみてください。」


 魔法というフィクションの世界でしか見たことがない物を今から私は使うらしい。


 いよいよ異世界の風を強く感じる。


「利き手を前に出して…そう。手のひらを地面に向けるように。そしたら私の言葉を復唱してみてください」


「『我が命に従い ここに来たれり 限定召喚』」


 私はユリエラさんが言った言葉を復唱する。


「う、うわ!?何!?」


 すると、地面に光り輝く五つの魔法陣?みたいな物が浮かび上がり、何か強大な力みたいなのを感じて震え上がる。


「これは…!?」


 ユリエラさんも大方私と同じ反応をする。


 そして光が静まると、魔法陣のあった場所に人影が5つある事に気づく。


 …人?


 ユリエラさんの話だと、小動物が多いって話だったはず。


 目が慣れてきて、私の目はハッキリと5人の人間を捉える。


「女の子…?」


 見た目は多種多様だけど、5人とも人間の女の子らしい。


「…これは…召喚魔法?」


 そして5人は私と同じように状況が理解できていないらしく、困惑しているらしい。


「貴女がわたくしと、この者達を召喚したのですか?」


「え、えと…は、はいっ!!!」


 そんな中で、表情ひとつ変えずに問うてきたのは、怖いくらいの美女だった。


 艶々の黒髪を、顎のラインで綺麗に整えてあって、その冷たく感じる真っ黒な瞳を収める目は長いまつ毛で縁取られている。肌は雪のように白く綺麗で、モデルよりも美しい体型をしている。


 お洋服屋さんでよく見るありえないくらい小顔でスタイルのいいマネキンがあるでしょ?彼女はまさにそれ。


 それでいて特徴的なのは、着ている洋服だ。なぜかメイド服だった。


「…嘘。ティアラを召喚するなんて。ありえない。」


 次に発言したのは、かなり小柄な女の子。小学生くらいだろうか。


 真っ白な髪をボブカットに近い髪型にしているけれど、特徴的なのは前髪。目元を完全に隠してしまっている。合間に見える肌がすごく綺麗だから、きっとすごく可愛い子なんだと思う。


「こいつらは知らないけど、このアタシを召喚した?バカじゃないの?ありえるわけないじゃない。」


 すこし口の悪いらしい女の子は、大きな胸を持ち上げるように腕を組んで、私を睨んでいた。


 派手なピンク色の長髪をツインテールに纏めていて、釣り上がった目と眉間に寄ったまゆが強気な印象を与える。そして特徴的なのは耳。私達よりも大きくて、細長く伸びている。この娘もかなりの美少女である。


「私が誰なのか知っての発言かしら?だとしたら大した命知らずねアナタ。」


 同じように睨んできたのは、目にハイライトが一切ない、メイドの子とは別の恐ろしさを感じる美しい女性。


 パッと見、5人の中で一番大きな胸を持っていて、大人の危ない色気を漂わせている。


 群青色の綺麗な髪はストレートに伸びていて、帽子やローブ?なんかはアニメとかでみるような魔女そのものの格好をしていた。ただ、洋服は胸とくびれがとても強調されていて、あまりにも目のやり場に困る。


 私がそんな風に、突如現れた5人の観察をしている時だった。


「…あら、どうして止めますの?」


 ─ガキンッ!!!!!!!!!!


 金属と金属がぶつかり合う大きな音が聞こえて、その次に、幼く可愛らしい女の子の声が聞こえて、ようやっと視界の情報が脳に伝わる。


 私は、ナイフ?のような刃物を持ったメイド服の女の子に片手でお姫様抱っこの形で抱かれていて、メイドの子はもう片方の手で、一番幼い見た目の少女が振り下ろした大きなチェーンソー?を受け止めていた。


 あまりの速さに何が起きたのか全く理解できなかった。

 

「もし仮にこれが本当に召喚だった場合、主を殺せば呼び出されたわたくし達は道連れになります。」


「ふふ。このワタクシを召喚できるお方がいらっしゃるなんて、天地がひっくり返ってもありえませんの。」


「万が一があります。あなたの安易な行動に命を左右されるなんて御免です。」


 刃をぶつけ合いながら会話をする二人。


 金髪ストレートの幼女、可愛らしいお人形みたいで、ゴスロリがあまりにも似合っている事から、立派なお城に住むお嬢様にも見える。


 話の内容的に、そんな女の子に私は殺されそうになっていたらしい。メイド服の子がいなかったら、私はどうなっていたのだろう。


 その小さな身体に似つかわぬ、大きなチェーンソーを振り回す姿を見て、ようやく冷や汗が出てくる。


「ちっ…めんどうですわね。」


 いくらか刃を交えた後、メイド服の子の説得に渋々納得したようで、ゴスロリの幼女は持っていた大きなチェーンソーを身体の中に取り込むように仕舞った。仕舞い方まで理解不能だった。


「仮ですが、ご主人様。」


「は、はい」


 静かさを取り戻した時、メイド服の子が私を見つめて話しかけてくる。


 私は初めて晒された命の危機に、喉が緊張して変な声が出る。が、メイド服の子は感情が表情に出にくいのか、出会った時からずっと同じ真顔で気にもしていないらしい。


「主に無礼を働く事、お許しください」


「え?」


 そして、淡々と発せられる言葉と共に、私は違和感を覚える。


 なんか…急に肌寒い?それに、メイド服の子の手の感触が肌にすごくハッキリと伝わる。


 さっきからずっとこの子に抱かれたいるんだけど、明らかに触れている部分の感触が違う。


 そう不思議に思って、手を置かれている部分を確認しようと視線を女の子から自分の身体に移す。


「きゃ、きゃぁっ!?え!?」


 …私は全裸だった。私の肌色がおしげもなく晒されていた。


 何が起きたのか全くわからなかった。本当に。気がついたら全裸。ありえない。


 あまりの恥ずかしさに、私は自分の身体を隠すようにメイド服の子に抱きついた。


「ちょ、やめっ…!?あんっ…」


 …嘘でしょ!?


 どうしたことか。何故かメイド服の女の子は恥ずかしさで今にも死にそうな私の胸を直で鷲掴みにしてきた。


 生まれて初めての経験に、恥ずかしい声が出た。更に、この世界では女の子同士で恋愛をするという文化を思い出して、色々な想像が一瞬で頭を巡る。


「…本物の呪印。」


 しかし、こんな状況でも相も変わらず平坦な声で言葉を発するメイド服の子。


 どうやら私の想像していたナニカとは全然違った。もう自分でも分かるくらいに全身が真っ赤になっている。


「…嘘、ですの」


 メイド服の子が私の胸を掴み見て、発した言葉に目を見開いて固まるゴスロリの子。


 正直私は恥ずかしさで状況を理解できていない。


「…申し訳ございませんでしたご主人様。貴女は紛れもなくわたくし、ひいてはわたくし達のご主人様のようです。」


 メイド服の子は、何か納得したのかそう言って全裸の私を下ろそうとする。


「ちょ、だ、だめ!今下ろしたら見えちゃうから!」


 私は必死に抱きついて、せめて前は見えないようにメイド服の子で身体を隠す。


「特殊な素材で作られていたので、少し違いがあるかもしれませんが…こちらを。…お気に召さないようでしたら、如何様にも罰して下さい。」


「い、いいから!それでいいから!…うぅ。恥ずかしい。」


 メイド服の子がそう言って出してきた服は、見た目上私の着ていた物と差異はない。というかまんま同じ。でも口ぶりからして、この子が用意した別の服なのだろう。もうそういった魔法みたいな物にはツッこまない。


 私はその服と下着をいそいそと着用する。


「…ありえない。」


 白髪の子が呟く。


 服を着て他の子を見ると、視線だけで殺されそうな程睨まれていて身震いをする。


「あ、あの!発言を許してもらえませんか。」


 沈黙が流れた後、ユリエラさんが声を上げる。


「アナタは?…その魔力聖女よね?」


 それに応えたのは、魔女さん。


「まぁ、ええ。今はこの子の保護者みたいなものです。私の事より、この子の事情を説明した方が話はスムーズに進むと思うのですが、如何でしょうか。」


「…そうですね。一度、話を聞いてまとめる必要がありそうです。」


 ユリエラさんの言葉に、少しだけ場の空気が緩み、メイドの子が冷静に場をまとめてくれる。


 正直このメイドさんだけが、5人の中で唯一中立の立場にいてくれて、頼りだ。他の4人があまりにも怖すぎる。まぁ、メイドさんには服を脱がされて胸を鷲掴みにされたけど…


 ユリエラさんが話をしている間、私の中の生存本能みたいな物が働いたのか気づけばずっとそのメイドさんにぴったりとくっついていた。

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