第二話 研究施設の訓練

 あれからいくつ時間がたっただろうか、私は意外にも暇な時間を過ごしていた。

 ただ驚いたのは子供の体の成長スピードと、吸収スピードだ。子供というのは物覚えがよくて、知識でしかなかったものを理解にまで至らしめてくれた。一つ言っておくべきことは、知っていると理解しているは全く別のものだということだ。そして私はただ知っていると言うだけではなくて、理解しているにまで昇華させていたのだ。

 私が生まれたこの研究施設には私以外の子供がいた、この施設の子どもたちは全員年相応の精神力をしているが、全員共通に知識を得ていた。というのも私もその子たちの1人と仲よかったからだ、必然ではあったのだが。


「1240番、1207番、1256番、1204番、1235番、1277番、時間だ、訓練場にいく。」


 私が呼ばれた、私と言うのは1207番のことだ、ここの子供たちは全員番号付けされている。そして、優秀なものだけが生き残っていくのだ。初めは100人余りいた私の同期たちだが今では6人余りしか居ない、それもそうだ、優秀ではないと判断された子供たちは日に日に減っていっているのだから。

 私は教員についていく、子供の足で15分ほどの道を抜けると、射撃場があった。

 子供たちはそれぞれ銃を取っていき、私も取る、私が選んだのはピストルだった、反動が軽く、子供でも扱えそうというイメージがつきそうな“あれ”である。各々が武器を取り終わったころ教員からの言葉があった。


「全員武器を取り終わったか、では最初は肩慣らしだ、的に当てろ。」


 そこからは大量の音が鳴り響いた、乾いた薬莢の音や重厚な音、軽い音など様々だった。かく言う私も打たないと怒られるのでがむしゃらに打つ、だが下手に打っているのではないので全て的に当たる、全弾命中と言うやつだ。動いている的にも当たるが命中する。人を模した的、異形を模したまと、全ての急所と呼ばれる場所に当たると高い笛の音が鳴り響いた。


「全員終了、本番だついてこい」


 全員が各々の装備を準備して、教員についていく、暫く歩いたころ、ドアをが開き、ついた場所は森の中だった。


「今から全員に実戦訓練をしてもらう、この森の中には異形が潜んでいる、その異形どもを1人12体殺したら上がっていい」


「タイムリミットは今から4時間だ、簡単だろ?」


 教員がそういうと空中にあるスクリーンのような物ならタイマーが表示されていた、時間は少しずつ減っていてもう訓練が始まっている事がわかる。

 私はピストルを片手に持ち、唱える


「%%#£^?」


 肉体の保護という魔術だ、これである程度攻撃を受けても無傷を保てるようになった。


「^€£%#!」


 俊敏の加護をつけ、森の木のみをジャンプして異形を探す。



「みつけた、<%=#!」


 異形が何かの圧力にあったかのようにぐしゃりと潰れた。

 それからは単純作業だけだった、異形を見つけたら


「<%=#!」


異形を見つけたら


「<%=#!」


異形を見つけたら


「<%=#!」




 そして気づいた頃にはもう12体を倒してしまっていた。


「結局、肉体の保護を使うまでもなかった、」


その言葉に尽きる、


「お前は…1207番か、早かったな」


暫く時間を置いて、


「今日の訓練はこれで終わりだ、訓練場を使いたければ自由に使っていい、あとは自由にしとけ」


彼の言葉を聞いた後、私は一人で訓練場にいく、


—パン、パン、パン、パン


—バンバンバンバンバンバン


 銃を切り替えながら、的に次々と命中させていく、訓練場を使っている時、私は一度たりとも外したことはない、けどなまらないように、にぶらないように、私は打ち続ける、外すことの無い弾丸を当て続ける。

 その後はナイフ術や剣、槍、刀、棒様々なものを鍛え続けた、でもほんとは剣や槍、刀などは使うことはないだろう、この発展した現代において、使うとしてもダンジョンの中のみだからだ、使うことがあるとしても棒かナイフなどが関の山と言うところだ、そもそも私には魔術がある、それらに頼ることはないに等しい、ピストルは護身用、ナイフや棒術はそれの弾が切れた時の護身用、つまりは護身の護身なのだ。

 だからといって手を抜くことはないのだけれど、打って、投げて、叩く、それだけの練習である。人型の人形の脇を、股を、首の横を切って切って切って切る、それを続けているうちに、消灯までの時間が過ぎたのだ。

 こんなことをするのも、全ては魔女になるため、魔女の力を得るためなのでしかないのだから。


「あと少しの辛抱だ、」


少女は小さくつぶやいた

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