研究施設編

プロローグ はじまり、はじまり

 誰しもが憧れるであろう物“魔術”、俺はこれに他者から異常と言われるまでに執着していた。

 よく絵本や童話などで広く知られている魔術だが存在していた。この世界では、当たり前に、人は魔術により生活をして、生計を立て、研究をする。そんな世界だった、その“みんな”が魔術を支えている中で、俺だけ、俺だけが使う事ができなかった、誰よりもそれを欲しているのに、求めているのに、神に祈ることだってあった。ある意味俺が魔術を使えるようになるのは神頼みでしかなし得ないことなのかもしれないから。

 そんな神は俺の願いに応えなどしてくれるはずもなく、俺は魔術が使えないままでいた。神に頼らずに魔術を使う方法はいくらでも試した。錬金術、呪術、死霊術、魔導工学、医術、人体錬成学、あらゆるものに手を出し、ことごとく失敗し続けた。

 どうやら魔術を使うための体内の回路が大部分で欠損しているらしく、直すことは不可能だった。ある時は魔導書に手を出し、ある時は奇跡のポーションに手を出した。でも結果は変わらなかった。手を出し、挫折し、手を出し、挫折しを繰り返しているうちに、どうやら体を壊してしまったらしい、老化というものは凄まじく恐ろしく、人を蝕んでいく病気や寄生虫のようで、60になる頃、博士という称号を持ったまま皮肉にも老衰で死んでしまったらしい。


「あぁ、結局魔術は何も得られなかった。神なんて、居なかった。」


☆★☆★☆★☆★☆


「おぎゃー、おぎゃー」


 前が見えない、なにかぼやけている。

 目が覚めると、おそらく光があるんだろうというくらいの明るさが目に届いてきた、ただ、目が発達していないのか、もしくは逝っているのかは分からないが、前が殆んどぼやけている。見えるのはギリシルエットだけで、それ以外は殆んど明るいなー、ぐらいしか情報が入ってきていないという余りにも視野が、情報が少なすぎた。ただその少ない情報の中で唯一確かな情報なのが、私は、私の居た場所とは別の場所にあるということだけだった。



 なにか運ばれる感覚がする、振動でわかる、私は運ばれているのだ、と。

 どうやら到着したらしい、目では分かんないが、大体は察せる。

 なにか行われている、というのだけは分かる、分かっている、理解している。



「おぎゃー、おぎゃー、おぎゃーおぎゃーーーーー————」


 突然だった、頭に大量の情報が流れ込んでくる、入り込んでくる、これ、をどう、にか..しなければ。痛い、痛い、ズキズキする、痛い、痛い、助けて、痛い、痛い、痛い。痛い、痛い痛い痛い痛い痛い、イタイイタイイタイイタイイタイいたい。



 あの激しい、脳が割れるような痛みは無くなった、それと同時に頭に刻まれたというのが分かる。ナニが?って、知識がだ。

 どうやらこの世界は、地球と言うらしい。私の住んでいた世界のような場所とは違い、科学が発展した場所だと言うこと。ここには数年前からダンジョンというものが出来ていて、人々はその資源に貪欲だということ。この世界は元いた世界とは違い世界共通言語がなく、言語体系がバラバラだということ。人々が争い合っているということ。魔術言語のこと、魔術のこと、魔術の知識、魔術の呪文のこと。

 その時私には歴史、経済、地理、地政、数学、機械工学、幾何学、言語学、教育学、科学、化学、天体物理学、医学、薬学、生物学、民俗学など様々な知識が刻まれた、中でも一番入念に刻まれたのが、魔術言語、魔術、呪文、魔法陣、魔女だった。



 魔術は魔力の魔法陣を伝い呪文を詠唱することによって発動する超自然的現象。

 魔術言語は魔術を起こす時に詠唱する呪文の言語。

 呪文は魔術を起こすために、魔法言語を用いて発動を促すもの。

 魔法陣は魔術の発動を補助する物、なくても発動はできる。

 魔女とは、人間のステータスの一部、顔面と精神力が限界値を誇る物にのみ昇華できる種族、魔術を自由自在に操れるという。



 私には大量の知識が入れ込まれた、刻まれた、刻まれたのだ、感覚でも分かる、これらの知識は絶対に忘れられないだろうと。忘れても、感覚で覚えているのだろうと。

 そして刻まれてしまった、魔術の知識が、“ありとあらゆる魔術の知識”を知ってしまったのだ。


————————————————————

はい、これで第一話プロローグの終了となります。この物語は魔術に生涯を捧げた男が◼️◼️してしまったと言うところからはじまる物語です。

長続きするかはわかりませんがどうか読んでいただけると幸いです。

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