仲間(誘拐犯)との再会



 そして俺達は前線へとやってきた。


「待ってましたわコガネ!」

「え、おぐぅ!?」


 洞窟らしき場所に移動したとたんに、横から大イノシシのような質量が襲い掛かってきて俺を突き飛ば――いや、抱きついてるので飛んではないな。抱きかれた。

 その衝撃で朝食ったニンジンを吐きそうになったが、なんとか堪える。


「ちょっとアラクナ! コガネに乱暴しないで!?」

「そんなことよりキントキ! キントキを早く出してくださいましっ、わたくし、手持ちのキントキがもう尽きてしまったのですわ!」

「おぐっふ……」


 とりあえず俺は『ニンジン召喚』を使ってキントキを3本出し、アラクナの口におもむろに突っ込んだ。


「んんーーー!! もぐもぐもぐ! もぐ!」

「食べながらしゃべらないでよアラクナ。あとコガネを放して」

「もぐ」


 俺はアラクナさんの腕から解放された。


「……げほ。ニンジン半年分、渡してませんでしたっけ?」

「ご存じないかもしれませんが、183本って1日に30本ほど食べたら6日で終わってしまうんですわよ?」


 1日1本って言ったじゃんよぅ。ドカ食いしてんなぁ……


「だって! あんなに可愛らしいサイズのキントキが! あんな山盛りにあったら! もう無限に食べても尽きない気がしたんですのよ!」

「実際は有限なので好き放題食べてたら消え失せた、と」


 こりゃオーガバニーズも食べきってておかしくないな。……ナミミ様の提示した数年分のキントキもあっという間に無くなりそうだ。

 操りやすい駒ができたなぁと喜ぶべきか……?


「でも一年分は365本。それは変わらないレートなので」

「くっ、確かにお店での販売中は1日に1本でしたものね……!」


 ぐぬぬ、と拳を握りしめるアラクナさん。


「ところで黒バニー達はどうなりました?」

「ちゃんと2羽とも前線のムーンフォール兵士に向けて放り投げておきましたので、きちんと回収されているでしょうよ」


 ゆっくり時間かけて前線まで運んであげたのよ、と得意げに胸を張るアラクナさん。


「まぁ、後ほど残りの半年分を渡しますね」

「ふふっ、よろしくてよ。少しくらい待って差し上げますわ」

「さっき待てずに突撃してきたくせに……私がとっさに防御魔法かけなかったらコガネ潰れてたよ?」

「だ、だってキントキが足りなくなってしまったんですもの。仕方ないですよね?」


 あ、防御魔法かけてくれてたんだ。ありがとイロニム! ガチで助かったよ、さすが俺の恋人ナミミ様愛人イイヒトだぜ!


「あ、でもコガネのHPが満タンじゃなかったら美味しいキントキが出せる保証がないんでしたわね! よくやりましたわイロニム。おかげで美味しいキントキが食べられました、褒めてあげます」


 あ、そういえばそんな風に言ってあったっけな。ちょっと忘れてた。


 尚、その後やっぱりアラクナさんの手下のオーガバニーズもキントキ食べ尽くしていたので、前線基地での最初の仕事として、まずは追加のキントキを出すことになったのだがそれはそれ。


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