ハサミVSナミミ連合(ナミミ視点)


 ムーンフォール領主、ハサミ・ムーンフォール。

 辺境にて最前線のムーンフォールで鍛え上げられた、バニムーン国において最強の赤バニーガールと言っても過言ではない一人。


 前線の森の中、対峙するはその嫡子ナミミ・ムーンフォール、及び、ナミミの率いる3人のバニーガール。青バニーのサナチ・ルナライズ、赤バニーのセワンとツーシ。


 ナミミ達がハルバードや剣、杖等の武器を手にしているのに対し、ハサミは得意武器の大鋏おおばさみを使わずの徒手空拳だ。それはつまり、教育だという意思表示に他ならない。


「……というかセワン? なぜお前がそちらに居る?」

「ハサミ様。正直自分は抜け駆けしたこいつらを殴ってやりたい気持ちでいっぱいっす……けど、けど! 協力したらナミミ様が自分も混ぜてコガネさんとぴょんぴょんさせてくれるって言うからぁ!! 断る理由がなかったんっすぅ!!」

「なるほど買収されたか……」


 こめかみを抑えつつ眉間にしわを寄せるハサミ。


「しかし自らのベターハーフを対価にするとは、失望したぞナミミ!」

「すみません、私は目覚めてしまったのです……NTRネトラセに……!」

「おい待てそれは……ツーシ、貴様か?」

「なんのことやら」


 そっと目を逸らすツーシを見逃さず咎める。


「よかろう。娘に変なことを教えた落とし前を付けさせてやろう」

「ひぃ……し、しかし4対1では、さすがのハサミ様も」

「4対1? 既に3対1だぞ」


 見るとサナチが頭に大きなたんこぶを作って地面に這いつくばっていた。


「きゅぅ……」

「サナチ!?」

「既に戦いは始まっているのだぞ、油断が過ぎる」


 最強のバニーが、油断もなく叩きのめしてくる。弱いところ、崩せるところからサッサと崩して数を減らすのは1対多のセオリーだ。


 ハサミは腰を少し落としつつ、手を頭よりやや高い位置に持ってくる。

 ウサギの耳を模した拳を掲げるバニー拳。ハサミの得意な構えだ。頭上に掲げた手は、高速で手刀が降り注ぐ攻撃性と共に、攻撃を手で弾き飛ばすこともできる防御力を両立している。



「各々、自由に攻撃! 下手にフォーメーションを使うと読まれます!」

「うむ、賢明だ。私が教えた連携は、弱点も当然熟知しているからな……そこだ」

「ふぎゃっ!」


 セワンがちょいと出された足に転ばされた。盛大に転がって大木にゴチンとぶつかって止まる。

 同時に襲い掛かっていたツーシも、ハサミに捕まり喉笛を掴まれて持ち上げられていた。


「うむ、訓練の成果が良く出ている。――そう、とっさに出てしまう程にな」

「あぐっ……!」


 そのままブンと投げつけられるツーシ。首に手の跡を付けられたツーシはセワンの上にぐしゃっと落ちた。


 あっという間に、数の有利を潰されてしまった。


「さぁ、母はお前に現実を教えてやらねばならぬ。かかってこい」

「余裕を見せつけてくれますね……!」

「油断はしないが、余裕があるのは事実だからな」


 改めてバニー拳の構えをとり、くいくいと手でナミミを招く。それはまるで、バニー耳が折れてぴこぴこ動くかのような可愛らしい動きだったが、隙は一切見当たらなかった。




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