蟲毒(マンドラゴラVer)
ぽん、とイロニムが手を叩いた。
「別にコガネのレベルじゃなくても、経験値が入るかどうか確認できればいいんだよね? マンドラゴラ同士を戦わせてレベルが上がるか見たらいいんじゃないかな」
「天才かよ」
もしかしてナミミ様が居なくなってINT上がった?
「あ、でもイロニム。マンドラゴラのレベルって分かるもんなの?」
「私、植物相手なら鑑定魔法が使えるよ! 薬師だから!」
「まじかよ。頼むわ」
優秀である。もしかしてナミミ様がデバフ過ぎたのでは疑惑あるな。
とはいえ森の中で大穴掘ってそこに、となると迷惑すぎるので、拠点で実験できる範囲でやることにした。
拠点に戻ってから準備を始める。
穴を掘ってから、土に埋まれないように大き目の壺を魔法で補強した上で、その中にマンドラゴラを5体ほど入れる。
さああとは殺し合えー、と……うん。普通に5匹でダラダラし始めたわ。肩組んでる。口がないから喋らないけど、「よぉ兄弟。元気してるか?」「ハハハ、ここ日が入んねぇし土もねぇからどうしようもねぇぜ」って感じで平和だ。
「失敗だねぇ。ゴメン、普通に争わない可能性を見逃してたよ」
「……さすがに魔物捕まえてマンドラゴラ倒させてレベル上げさせる訳にもいかないしなぁ」
「うーん、近所の子供にバイトしてマンドラゴラ〆てもらう……と、今度はこれだけの生きてるマンドラゴラをどこで用意した、って話になっちゃうね」
そういうのは第三勢力として独立してから、仲間にやってもらう形になるだろう。
ただし仲間は戦闘しまくってるバニーなので、今更マンドラゴラの経験値でレベルが上がるかどうかといえば別である。
「……マンドラゴラより、鍛錬で入る経験値でレベルが上がりそうだね」
「え、鍛錬でも経験値って入るのか?」
「入るよ。あれ、コガネって鍛錬したことないの?」
「レベル上げのための鍛錬はしたことないなぁ。ナミとのレベル上げもいきなりスライム倒しに行ったし」
うーん、鍛錬でも経験値入るんだったのか。それだとますますマンドラゴラの経験値があるのかどうかの検証ができないじゃないか。
と、思っていたのだが。
翌朝、マンドラゴラの壺にほんの少しだけ光が差し込んだようで。その光を奪い合うように乱闘が起きていた。そして勝利した1体が他のマンドラゴラの残骸を土のようにしてくつろいでいた。
さりげなく残虐の極みだな。人間だったら血液風呂に入りながらワイン飲むような感じだぞ……
「お、レベル2に上がってるよこの子」
「おお。マンドラゴラのレベリングは有効ってことか?」
「かもね。……でも、昨日は最初の状態のを100体倒してもレベルあがらなかったんだよね? 最初からレベル2のは出せる?」
「よし、やってみよう。……ニンジン召喚! レベル2マンドラゴラ!」
追加で壺の中にマンドラゴラを出す。イロニム鑑定でちゃんとレベル2であるようだ。そしてマンドラゴラ同士が睨み合う。……目がないけど、言葉にするなら「お、お前は……俺!?」「なんで俺がもう一人……!」という感じがある。同じ個体が増えた感あるな……
……あ、やべ。これ一度確認したレベルのマンドラゴラじゃないと出せなくなったかも。最初からそうだったかもだけど。
こうなるとマンドラゴラのレベリングも続けたほうがいいな。マンドラゴラを兵隊にするにしても、レベルは高い方が良い……いやこいつら俺の言う事聞きそうにないわ。せいぜい囮に使える程度か。
だとしてもレベルが選べるに越したことはない、か。
ちなみに新しく出したマンドラゴラが、半分埋まったままのマンドラゴラを踏みつけて倒していたので、さらに同じ個体を3体ほど入れて戦わせておいた。
その後生き残ったマンドラゴラはレベル3になっていたので、多分レベリングは有効な模様。
この調子で、差し当たってはレベル10のマンドラゴラを目指してみようかな。
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