そしてそれから。


 で、その後は満月の夜だったわけだが。俺はイロニムを連れて約束通りアラクナさん達のところに戻ったわけだが。

 日が落ちて、アラクナさん達すっかり満月ってたわけだが。あ、ルナティック症候群って言うんだっけ? うん。まぁそれ。


 せめてお手柔らかにとお願いしたんだが……


 ……死ぬかと思った! 死ぬかと思った!!

 ムーンフォールの共用ヒバニンの気持ちが少しわかったよ……


 その、見た目に合わせた重量がずっしんとな? 物理的に潰れるかと思った。というか潰されかけてオーガバニー達に助けてもらったわ……

 その後2人のオーガバニーにホットサンドされて改めて潰れるところだったのをイロニムに助けてもらったわ……

 んで、イロニムにも口をふさがれたりで窒息しかけて、アラクナさんに助けてもらったわ……


 うん、あとはループだね。ルナティック症候群のせいで思考がぴょんってたから、同じことを繰り返しちゃって。……無限ループってこわくね?(震え声)


 まぁ黒バニーは縛られてて見せびらかすだけだったから助かったけど。


 これはナミミ様もニッコリぐへへな報告ができるだろうな。忘れないうちに報告書に纏めとこ……



「ふぅ……じゃ、坊や。わたくし達は黒バニーを送ってきますわ」

「キントキもたっぷり貰ったしな!」

「またな、コガネ! ちゅ!」

「おう、よろしくお願いしますねぇー……げふぅ」


 ナミミ様救出の報酬であるキントキもたっぷり渡し、三人と黒バニーを見送り倒れる俺を、イロニムがそっと支えてくれた。


「お疲れ様、コガネ」

「ああ。イロニムの薬が無かったら途中で死んでたな……でも根本を糸で縛られたときはどうなるかと。破裂しちゃうかと」

「回数制限対策に仕方なかったんだよ……!」


 まぁそれはいい。

 そんな済んだ事よりも、これから俺達はどうするか、なわけだが。


「……よく考えたら俺達、魔王様を説得するのが役割だったよな?」

「あれ? そういえばそうだね。……ナミがやってったね?」

「俺、残る必要あった?」

「私は残ってくれて嬉しいよ。ナミがいなくなると寂しいし」


 今からでも魔王様に頼んでナミミ様を追いかけた方が良いんだろうか?

 ……いや、ナミミ様を信じて待つとしよう。

 合流予定の、第三勢力の拠点になる予定の地を、イロニムと一緒に先に整備しておくのもアリだな。


「……とりあえず今日は休むとして、明日はレベル上げでもしとこうか?」

「そうだな。なにするにしてもレベル上げといて損はないだろうし」


 高麗人参ドリンクが出せたくらいだし、そろそろ地球でのアレコレをもっと呼び出せるようにするべきだ。レベルを上げてニンジン召喚の機能をどんどん調べていくとしよう。


 ……ちなみに高麗人参単体で出せるかどうかを試してみたのだが、そもそも高麗人参がどういう形のニンジンか全く知らなかったせいか、イメージが全然固まらずうまくいかなかった。


 もしかしたらレベルを上げたらそこらへんが曖昧でも出せるようになるのかもしれないな。頑張るぞー、ナミミ様の為に!



―――――――――――――――――――――――――――――――――

(ここまで読んでいただいてありがとうございます!

 すまん、ストック無くて実質不定期のんびり更新ですわ……!


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