困惑魔王様


 そしてナミミ様は計画をアッサリ魔王様にバラす。

 いや、元々説得のために魔王様にはいずれ話さねばならなかったことだ。イロニムだけに説得を任せるより、ナミミ様も一緒に説得する方がマシだともいえる。


「……というわけで、第三勢力として独立したいんです!」

「お、おう。……まぁその、バニムーンにもキントキを卸すということか。……でも妾達が勝ったらちゃんと従うってことなのじゃな?」

「ええ、その時は剥いでいいですよ。私達はコガネさんとイチャイチャしたいだけなので。別にバニーでなくてもぴょんぴょんできますからね!」

「身も蓋もねぇのじゃ……!」


 全力で頭ぴょんぴょんなナミミ様に、魔王もたじたじ!

 まぁその、敵対すると言ってるわけではないしな……とはいえ、ちゃんと話を聞いてくれる当たりこの魔王様ってば人が良いというかなんというか。娘の恋人イイヒトだからか?


「……まー、うん、話は分かったのじゃ。妾としては、イロニムが通いでも働いてくれるならいい、としておこう」

「本当!? ありがとうママ!!」

「……裏切られたらいつでも帰ってきて良いからの」

「は? それ私がロニーを裏切るって言ってます? ぶちぎれますよ?」

「おぬし、魔王相手にそれ言えるのすごい性根じゃのぉ」


 魔王様がやや呆れてため息をついた。俺の飼い主様は本当に大物だなとしか言いようがない。


「じゃが、問題が残っておるぞ? ムーンフォールの首狩り領主、ハサミの説得じゃ。そちらの説得が成功せねば、当然この話は無しじゃよ」

「魔王が同意してくれているならなんとか説得しますよ」

「バニーでない状態でこの口の回り様じゃしの、まぁ期待して待っとるよ」


 がしっと握手を交わすナミミ様と魔王様。

 ……まさか本当に交渉成功するとは思わなかったけど。


「では送ってやろうかの。……できればサナチとはもっと語らいたいところじゃが」

「ぴぃ……あの、えと、お、畏れ多いので……」

「いつでも遊びに来てよいからの。サナチ」


 なでなでと頭を撫でられるサナチ様。ギリギリ漏らしてないな、ヨシ!

 そうして、サナチ様とツーシさん、そしてナミミ様は魔王様に前線へ送ってもらうことになった。


「じゃ、行ってくるわ……はぁ」

「結局行く前にできませんでしたね……はぁ」


 ため息をつくサナチ様とツーシさん。そして。


「……コガネさん。絶対合流してくださいね」

「ああ。ナミもハサミ様の説得、頼んだぞ」

「はい。コガネさんも、アラクナ達とのぴょんぴょん報告忘れないでくださいね……?」


 そう言ってナミミ様達は魔王に送られていった。

 ねぇ、お別れの挨拶それでいいの?? あの、一応その、恋人だよね俺達??




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(ここまで読んでいただいてありがとうございます!

 クリスマス……ですね……(遠い目)


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