魔王城へ



 そんなわけで俺達は一旦皆で町の方にまで戻り、魔王城へ向かうことになった。


 黒バニーについてはアラクナさん達が見張っていてくれることになった。

 俺を誘拐した小屋に今度は黒バニーが監禁される。尚、捕虜の味見ぴょんぴょんはOKとする。少しでも俺へのダメージを減らす方針で。



 町に戻ってきた頃にはもう昼をだいぶ過ぎていた。

 これから魔王城に行けば、夕方には前線へと3人を送れるだろう。


「残りMP的に、節約したいから転移はしないでいこうね」

「ちょっといいですか」


 そう言うイロニムに、恐る恐る手を挙げて質問するツーシさん。


「どったの? ツーシさん」

「……あの、イロニムさん? 私が言うのもなんですが、魔王城に私達が入ってももいいものでしょうか?」

「え、なんで?」

「なんで、って。機密とかあるじゃないですか」

「私が仲間になる時点で今更だよね?」

「……それもそうですね」

「まぁ隠し通路とか使うのは流石にやらないけど。じゃ、行こうか」


 やれやれ、と肩をすくめるツーシさん。

 追加でサナチ様が小さく手を挙げて発言する。


「ねぇ、別にコガネはついてくる必要なくない? 帰るのって私達だけでしょ?」

「何言ってるんですかサナチ。コガネさんに見送りしてもらわなきゃ私頑張れませんよ?」

「……ならもうここで見送りしてもらえばよくない?」

「よくないです。ギリギリまで一緒に居たいです」


 よくないようなので、俺もついて行ってお見送りさせていただくぜ!

 ……というか、さもなくば今からアラクナさん達の相手させられることになるから。本当にもう、少しでもぴょんぴょんを抑えるための措置である。


 俺の気力体力精神力等々は無限ではないので……満月の今夜、どうなるかホントわからないので。今は少しでも色々温存すべきだ。


「コガネさん。そういえばなんかこう、精力のつくニンジンとか出せたりしないんですか? マンドラゴラとか」

「マンドラゴラは行けそうな気もする……あっ。そういえば高麗人参ってのがあったな。高麗人参入りの栄養ドリンクとか出せるかも」

「異世界のポーションですか? 試しに出してもらっても?」


 今出してもすぐ使うわけではないけれど、思い立ったら検証せざるを得ないのがナミミ様である。俺は勿論了承し、栄養ドリンクをニンジン召喚した。

 ……出せたので、これはナミミ様に預けておく。


「再会したときに、これ飲んでぴょんぴょんです……!」

「コガネ、私とツーシの分も頂戴よそれ」

「今は飲まないでくださいねー? 多分普通に栄養ドリンクだけど、うっかりぴょんぴょんおっぱじめて歯止め効かなくならないとも限らないので……」

「……一理あるわね」


 サナチ様とツーシさんの分も栄養ドリンクを出して渡しておいた。

 今日は使わないでくださいね、ホント。満月だしバニーのお二人がどうなるかマジで分からないんで。


「さて、それじゃみんな。改めて魔王城に潜入しようねー、私についてきて!」


 俺達は魔王城へと向かった。

 ……そして、正門前では入場名簿に名前書いたら普通に入れてくれた。まぁ、代表がイロニムだからね。城に入るまでくらいはね。


―――――――――――――――――――――――――――――――――

(ここまで読んでいただいてありがとうございます!


 あ、そういえば1月24日に#コンパス のノベライズ、

 「ラヴィ 吸血鬼王の華麗なる伝説」が出ます。私が書きました。

 https://www.compass-media-mix.com/book/novel/post-lovey


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