交渉



 協力してくれるということになったので、黒尻尾に聞こえないようにアラクナさんに計画を話すナミミ様。


「というわけで、第三勢力になって両方の陣営に良い顔しようと思っているのです。あとロニーの転移魔法で一旦国に送ってもらう予定だったのですが……」

「なるほどねぇ。キントキを輸出する第三陣営……魔王様に敵対しないならわたくしは思いっきり輸入したいですわ!」


 アラクナさん、ものすごく乗り気なんだが。

 ちなみに俺のパワーは、一旦ナミミ様から補充したので1か月くらいは大丈夫と言う設定である。


「なら魔王国側の窓口となっていただけるなら素晴らしいかと」

「あ。その時は是非坊やから直接受け渡しをしてほしいですわね……じゅる……」

「……」


 なぜ今、俺指定で、じゅるって。

 キントキの味を想像して、じゃないよなぁ……


 もしかして俺、またなにかやっちゃいました? ってやつなんだろうな。うん、御機嫌取りも兼ねて蜘蛛ボディ褒めたあたりかなぁ。しかも今日は満月だし、そういうのがぴょん欲に直結しておかしくない……!


 あと背中からいまだに下ろしてもらえてないの! アラクネライダー状態継続中ですぜ?


「コガネさんをぴょんぴょんに差し出せ、ということですか……?」

「命を取るようなことはしないわよ? 可愛い坊やだもの、危ないコトはナシナシ。……でも、危なくないコトは色々したいわぁ?」

「くっ……し、しかしその代わり全面的に協力してもらいますよ! あと、コガネさんが本気で嫌がることはしないと約束してください!」

「うふふ、立場を弁えているようねぇ? 賢い子は嫌いじゃないわぁ」


 と、ナミミ様は悔しそうにアラクナさんの全面協力をとりつけた。

 ……ナミミ様、演技がお上手!

 そして俺、人身御供! まぁいいんだけどね、アラクナさん美女だし、ナミミ様の管理なら。忠実なペットなので。わんわーん。



「でも、イロニムの転移魔法でしょぉ? 話は簡単じゃないの? 次の満月まで待ちなさいな。そうすればまたイロニムの魔力も足りるでしょうし」

「この黒バニーみたいなのがまた来ると厄介なので……早く帰って、早く勢力化したいんですよね」

「ああ。次はもっと多く来るという可能性もありますわねぇ。……前線まで送るとなると、わたくしでも4日はかかりますわね」


 普通なら1週間かかるらしい距離だ。移動力1.5倍以上か、すごいな。


「そこの黒バニーを血統スキルで剥いじゃえば魔力回復もするんじゃないのぉ?」

「それすると、第三勢力になった時に明確に敵対しちゃうことになるからちょっとね」

「む、それは、そうねぇ」


 ふむ、と顎に手を当てて考えるアラクナさん。


「というかイロニムぅ? 別に今の状態でも魔力足りるでしょう? あなたはいつもどうやって前線まで魔物送ってるのかしらぁ?」

「……あ! そういえばそうだよ! お城のヤツを使えば3人を前線に送るくらいはいける!! 黒バニーもあわせて送りつけられるよ!」


 転移魔法は、魔法陣等の補助があれば魔力を節約できるらしい。そして、前線に送るための魔法陣が魔王城に用意されているらしい。


 ……どうやら、今日の作戦はまだ継続できそうだな。



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