あっさり勝利


 黒尻尾とのバトルは苛烈を極める――かと思いきや、あっさりとこちらが勝利した。


「オーッホッホッホッホ! わたくし、捕縛術には自信アリでしてよ?」

「ぐっ……」


 というわけで黒尻尾の二人はアラクナさんにぐるぐるに簀巻きにされていた。

 色気のない縛り方だが、実用性重視なのだろうな。



 そりゃあ考えてみれば魔王国の四天王が2人いて、オーガバニーも2人いて、サナチ様は簀巻き状態で不参加だし、ツーシさんもサナチ様を人質にとられている体裁テイで黒尻尾に手伝えと言われても動けない。


 人質にできるナミミ様は奪還済み。改めて俺を人質にしようとしてもアラクナさんの背中にガッチリ縛り付けられてて奪えない。


 あれ、何気にアラクナさんファインプレーしまくりなのでは?

 これは四天王筆頭も納得の有能っぷりですわ。イロニムはちょっと見習ってくれ。


「さぁ坊や。それじゃあキントキを出して頂戴?」

「あ。はい。ナミ、手伝ってくれ」

「ひゃいっ」


 俺はいつもこうやってますよー、と言わんばかりに、アラクナさんの背中に乗ったままナミの手を取る。そしてニンジン召喚! キントキを10本出した。皿籠付きで。


「どうぞ、キントキ10本です」

「!! これよこれぇ!! これが欲しかったの!! ふぁぁ……じゅっぽんもあるぅ……」

「お、おい! 姐さん、アタシらにも分けてくれって!」

「独り占めは良くない! 良くないよな!?」

「まぁまぁ。はい、こちら追加の20本です」

「「きたぁああーーーーー!!!」」


 追加でニンジン召喚したキントキをオーガバニーズに渡す。


「ああ、うめ、うめ……しかもおかわりもあるとか最高じゃんか……」

「いつも、1日1本だけだったからなぁ……! 豪遊! キントキ豪遊!」


 涙を流しつつキントキを齧るオーガバニーズ。

 そこまで気に入ってくれてると、生産者としては嬉しい限りだねぇ。


「……コガネさん」

「あ。はい。どうぞキントキです」

「はいっ、ありがとうございます!」


 と、ナミミ様にもキントキを渡すと、イロニムもやってきた。


「私もキントキ食べたい! 色々と疲れたの、ねぎらって!」

「はいはい、お疲れ様。ありがとうなイロニム」

「わーい!!」


 イロニムにもキントキを渡す。うーん、キントキ祭り。


「……ねぇ、そろそろほどいてくれない?」

「……まだ黒尻尾の手前あるので我慢しましょうサナチ様。私もキントキ我慢しますから」


 うん、まぁサナチ様とツーシさんにもあとでちゃんとあげるからね。今はね。



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