合流



 アラクナさんが全力で走り、8本の足が精密機械のようにシャカシャカ動いている。そしてほとんど揺れない。


「すげぇ……こんなに早いのに足絡まったりしないんですねぇ。」

「そ、そんなに凄いかしらぁ? もっともっと速度上げちゃえるわよ、うふふ」


 得意げに笑うアラクナさん。

 と、それに食らいついて並走するツーシさん。こちらも人間の出せる速度とは思えない走りだ。ワンチャン馬かもしれない。……いやバニーガールか。


「ぐ、まだ上があるんですか!? コガネさん、私にも声援を!」

「ツーシさんがオリンピック出たら優勝間違いないですね! ファイトー!」

「おりんぴっく……? ま、まぁ頑張りますっ」


 おっと、こっちの世界じゃさすがにオリンピックは通じないか。

 ……バニーの場合、脱いでも早くはなれないだろうしな。


「おちびちゃん、あとどれくらいかしらぁ?」

「う、あ、あ、あっち、あと8キロくらい……っ」

「ならそろそろ見えるわねぇ。お、あれかしら?」


 サナチ様が簀巻きのまま頭を向けた方をみて、アラクナさんがぎゅんっと曲がっる。ジェットコースターのようなGがかかるが、俺は糸で固定されてる上にオーガバニーの2人がそっと優しく支えてくれるので問題ない。


 俺から正面を見るとアラクナさんの後頭部しか見えないのでどのくらい近いか遠いかは俺にはわからないが。

 今の速度が時速80キロとして、8km先ならあと6分くらいで着く距離だ。


「ん、どうやらイロニムが戦ってるみたいねぇ。でも攻めあぐねてるみたい。たかが2人相手に手こずるようじゃ、やっぱり四天王の面汚しねぇ」


 四天王の面汚しとか本当に言う人初めて見た……!

 そして相手は2人。おそらくバニラとラビア、黒バニーの二人だ。


「相手のバニーも精鋭らしいですけど」

「四天王たるもの、その程度蹴散らして然るべきよ? だからこその四天王なんだから、圧倒しないとねぇ――そう、わたくしみたいに!!」

「ちょ、突っ込む気ですか!? せめてコガネさんを下ろして!」

「ああ。坊や、しっかり捕まってなさぁい? 突貫ーッ!!」


 ツーシさんからの制止を振り切って、突っ込むべく速度がぐんと上がる。

 ……俺はアラクナさんの蜘蛛背中に固定されてるわけだけど、どこに捕まればいいの? えーっと。まぁ蜘蛛背中にしがみついとこう。跳び箱の上に乗っかってる感あるけどこれでいいのか?

 あ、オーガバニーさんは慣れてるのね。アラクナさんの背中に乗っての突貫。アラクナさん直属部隊にとっては基本戦術なんだ、へー。


「……っ!? 四天王のアラクナがどうしてここに――うぐッ」

「あ、アラクナ!? しかもなんでコガネが乗ってんの!?――うわわっ」

「え、あ、コガネさん!?……ッ!?」

「ああ。金髪のヒバメス。このヒバメスがナミって子でいいの? ふふっ、縛りが甘いわねぇ!」


 アラクナさんが糸を飛ばし、なんかすごく縛られてるナミミ様を釣り上げた。



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