救出始動(イロニム視点)
「どうしよう」
イロニムが考える。
「黒尻尾が動いてるってことは、少なくともナミはムーンフォールに連れ去られている最中ってことだろうね。急がないと更生施設ってとこに送られちゃう……けど、コガネもどこかに連れ去られてて、こっちは命の保証がない……!」
コガネを助けに向かえば、ナミミは助からないかもしれない。
ナミミを助けに向かえば、コガネは助からないかもしれない。
どうしよう、どちらから手を付けるべきか、とイロニムは悩む。
それをみて、サナチはやれやれとため息をついて肩を叩いた。
「何言ってんのよロニム! 当然手分けするわよ、手分け!」
「そうですね。消去法で私たちはコガネさんを助けに向かいます。イロニムさんはナミミ様を。我々は黒尻尾相手に手を出しにくいので……」
「!!」
そう。救助対象は2人、こちらは3人。手分けして事に当たれるのだ。
自分は一人じゃなかった。と、イロニムは目から鱗を落とす。
「恐らく相手は黒尻尾。手練れですが、四天王、嘆きのイロニムなら余裕でしょう? そっちは任せますね」
「う、うん。私四天王最弱だからちょっと自信ないけど……」
「ロニムってばタイマンでナミミを制圧したんでしょ? もっと自信持ちなさいよ」
ツーシに任され、サナチに励まされ、イロニムは立ち上がる。
「相手は黒尻尾。なんなら足手まといのヒバニンがナミミ含め2人居るんじゃない?」
「そっか、ママに剥がれた黒尻尾もいるかもだね」
「そちらは魔王国に置き去りと言う可能性もありますけどね」
「だとしてもバニー1人なら……負けないよ」
ぐっと拳を握るイロニム。
「ナミミの持ち物、何か残ってる? ロニム、あんたも魔法向きのバニーなんだから追跡魔法使えるでしょ」
「う、うん! 使えるよ!……ただ、ナミの持ち物……昨日の洗濯物でいけるかな……」
「精度は落ちるけど、どうせムーンフォールに向かってるんでしょ? 大まかに分かればいけるでしょ。急いで向かえば途中の平原で走ってるバニーを見つけられるんじゃないの」
「とにかく急げ、ってことだね」
こくり、と頷きあうイロニムとサナチ。
「コガネのことは任せるよ、サナチたん。ツーシさん」
「ロニムも、ナミミを頼んだわよ。あいつがいないと第三勢力の起ち上げも箔が付かないんだから」
「それを言ったら、コガネさんを助けないとそもそもが成り立たないので私達の責任は結構重大ですけどね」
「ともかく、事は一刻を争う! 急ごう!」
そうして、3人は二手に分かれて動き出した。
イロニムは、ナミミの洗濯物を手に転移魔法を使い一気に平原へと飛ぶ。
そして探知魔法をかけると、その反応は割と近かった。そして、魔王国側にあった。
「あっち……ってことは、どうやら先回りできたみたい?」
黒尻尾相手に、イロニムはどこまで本気を出すべきだろうか考える。
あまり魔力を使いすぎると、サナチやツーシを帰すための魔力がなくなってしまう。
であれば隠れて奇襲の一撃でなんとか――いや、転移で先回りした時点でバレてると考えるべきだろう。相手は暗部、黒尻尾。その手の情報戦で後れを取るとは思えない。
ならば正面から迎え撃つ方が良い。
そう思い、仁王立ちして待ち構えるイロニムの視界に、3人の姿が見える。
「――っ、敵は2匹かっ!」
どうやらもう一人仲間がいたのだろう。ナミミを担いだ黒バニーの他にもう一人バニーが居た。
2対1。どうやら手加減している余裕は、ないかもしれない。
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(ここまで読んでいただいてありがとうございます!
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