誘拐発覚(イロニム視点)
「ふぅ、やっと落ち着いたよ……手伝ってくれてありがとサナチたん、ツーシさん」
「いいのよロニム。丁度ムズムズしてたし」
「はい、私も身体を動かしたいと思っていましたし」
と、暴動を鎮圧してまとめて縛り上げ、衛兵に預けて拠点に帰宅する3人。
「ただいまー……あれ?」
「さーて、しばらく出来なくなっちゃうしおもいっきりぴょんぴょんするわよー……って、コガネ? どこー?」
「ナミミ様も居ませんね……? ん? これは」
と、玄関すぐの廊下に落ちていた布を拾うツーシ。よく見なくてもそれはコガネの下着だった。流れるように自然な動作でくんくん、と匂いを嗅ぐ。
「……私達が出てすぐに脱いだ感じですね」
「え、なんでそんなの解るの? 怖っ……でも、なんでコガネの下着が廊下に落ちてるのよ?」
「あれー? ナミもいないっぽい? 隠れてるのかな」
「……ハッ、もしや二人でシケこんで……!?」
「ちょ! ゆるされざるわよ!? ロニム、ツーシ、探しましょう!」
「ナミならあり得るね。とりあえず寝室には居なかったけど」
そうして拠点内を、倉庫の方までしっかり探す三人。
だが二人の姿は見つからない。
「……外に行ったのかな?」
「我々に何も言わずに、ですか?」
「こっそり隠れて後ろめたいから?……うーん、ナミミがそんな事するかしら?」
「するね。ナミなら我慢できずにコガネを襲っちゃってもおかしくないよ」
「しますね。ナミミ様は抑えきれず押し倒すタイプです」
「信用ないわね……いや、ある意味信用されてるのかしら?」
やれやれ、と肩をすくめるサナチ。
「でも、だとしてもよ? 私の知ってるナミミなら、廊下で襲ってたらそのまま私達が帰ってきて目撃するまで廊下でぴょんぴょんしてると思うんだけど」
「……それは確かにそうだね!」
「あー、ですね。隠れてコッソリはナミミ様はそんなしませんか」
魔王国に来てから何度も『私の知るナミミ』が打ち壊されたサナチだったが、これについては同意を得られた模様。
「というかサナチ様、探知魔法使って探せないんですか?」
「あっ。そうね、何か痕跡が無いか探してみるわ」
前線の後衛を務めることもあるサナチは、索敵のための魔法も習得している。
少なくとも拠点内に隠れていれば見つけられないことはない。本気を出せばその探知範囲は半径1km以上にもなる。
そこまで力を入れて探索魔法を放てば敏感なバニーには探知をかけたことがバレるが、今は別に前線で戦闘中というわけでもない。サナチはぐっと力を込めて魔法を放った。
「サーチ!……ん、ん、ん……うん、少なくとも821m以内にはいないわね」
「え、それってちょっとおかしくない?」
「そうですね。隠れてするにしても、ここで下着を脱いでいる以上そんなに遠くまではいかないはず……」
ここにきてようやく、3人は異変を異変として認識する。
「これ、もしかして……ナミとコガネが誘拐された、とか?」
「! なら使うのは探知魔法じゃなくて、追跡魔法よ!」
追跡魔法。物品にかけると、その持ち主がどこにいるかを探ることができる魔法だ。
ただし、その物品が持ち主から半日以上離れている場合は精度が一気に悪くなる。
「まって。追跡魔法……うん、そうだよ。なんで追跡魔法を使えるバニーがいるのに、わざわざコガネのパンツを残していったの?」
「……確かに、ひっかかりますね」
「あ。分かった。ってか普通にバニー遁走術のひとつでしょ? わざと手がかりを残して、本命を隠すやつ」
満月の日の、通常の頭ぴょんぴょん間際な状態なら引っかかっていただろう。
しかし、3人は丁度暴動を鎮圧することで少しだけスッキリした状態だった。
「てっ、まさか、ナミミとコガネは別々に連れ攫われたってこと!?」
「! 黒尻尾の仕業ですか!?」
故に、この結論にまでたどり着いた。
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