満月の日(3)
「完売でーーーす!! ありがとうございましたー!!」
「ああああああああああああー!!」
「普通のニンジンすら買えなかったぁあああーーー!!!」
バニーたちの悲鳴を聞きつつ、完売にして店を閉める。店の外で「おのれイロニム、てめぇのせいだ!!」「自業自得でしょ!?」と言い争いをしつつまた暴れる音が聞こえてきた。
「コガネさん。お疲れさまでした」
「あ、ナミ。調子の方は大丈夫?」
「はい。やはりバニーでないからでしょうか、普段通りの気分です」
……普段からムラムラしてるから、とかじゃないよね?
「ところで一つ気になったんですが、ロニーは暴動の鎮圧に魔力使っちゃったら転移用の魔力が足りなくなったりしませんかね?」
「……確かに!? サナチ様ー! イロニムの援護をしてくださーい!」
「えぇ……私これからコガネとぴょんぴょんする気満々だったんだけど」
「サナチ様。私も手伝いましょう。私だけクイパシするというのも気が引けますし」
というわけで、心なしか顔の火照っているバニー二人が暴徒の鎮圧に向かう。
拠点の中は、俺とナミミ様だけになった。
「……我慢、我慢ですよ私……!」
「ああうん。イロニムのためにも我慢してくれ?」
「はい、ロニーのために私も我慢しますとも……うう、でもしばらくコガネさんとぴょんぴょんできないんですよね……」
はぁぁ、と深いため息をつくナミミ様。
と、そこでガチャリと扉が開く。
「お、サナチ様早かったで……ナミ様、下がって」
拠点に入ってきたのは、サナチ様達ではなかった。黒尻尾の黒バニー……バニラだ。そして、もう一人黒尻尾のバニーが居た。薄茶色のボブカットの黒バニーだ。
「……バニラ殿? 何しに来たのですか?」
「迎えにきたのですよ、ナミミ嬢。……ラビス。私はナミミ様を。予定通りに」
「はいバニラ様」
と、バニラの部下らしいラビスという黒バニーが俺を見る。
……って、ちょっと待て。
「ラビス、っていうと。魔王にバニーを剥がれたって言ってなかったか?」
「おや。ヒバニンなのになかなかの記憶力ではありませんか。魔王との会話を覚えていたのですね。ええ、そのラビスですよ」
にこり、と笑って答えるバニラ。
「それが、どうして、バニーガールに戻ってるんだ?」
「それ、言う必要ありませんよね」
「……ナミミ様がバニーに戻れるのと関係してるかもしれないじゃないか」
「! 確かに。私がバニーに戻れるのと関係しているんでしょうか?」
「だとしても、今言う必要はありませんよ」
と、ラビスの方がピクリと耳を揺らす。
「バニラ様。暴動がもう鎮圧されそうです。時間がありません」
「チッ、使えない平民バニー共ですね……では、行きましょうかナミミ嬢」
「あ、あの。コガネさんも一緒、でしょうか?」
「いえ。そちらのヒバニンは時間稼ぎに使いますので」
え、時間稼ぎ? と、次の瞬間俺の目の前にラビスが立ち、俺の意識を奪った。
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