第三勢力になりたいけどいけんのか?編
満月の日(1)
そして、満月の日がやってきた。
今日でキントキ販売は一旦終了。今後はのんびり普通のニンジンを売りつつ、第三勢力を目指す形になるだろう――
――そう、思っていた。店を開けるまでは。
「おい! 本当はまだまだあるんだろ!?」
「そうだそうだ! キントキを売れー! お金なら払うし!」
「独り占め反対ー!!」
店を開けると、表には常連のバニーたちが詰めかけていた。
列もなにもない。色とりどりのバニーガールが、とにかく集まっている。
ある意味天国のような光景。だが、それぞれ少なからず怒りの感情をもっていて目が怖いので、地獄ともいえそうだ。
「ちょ、お、お客様方!? と、とりあえず並んでくれないと売れる物も売れませんけど!?」
「隠し持ってるんでしょ!? 聞いたんだから!」
「そうだぞ! イロニムのやつが怪しいバニー連れ込んで独占してるんだろ!?」
「許すまじ! 本当はまだ売れるのに、品切れのフリとか!」
なんだその情報は。色々とどこから漏れた? それとも当てずっぽうか?
ともかく、一歩対応を間違えば暴動になりかねない。そんな熱量を感じる。
「大人しくして頂かなければキントキは売れませんよ!! それとも売らないで閉店でいいんですか?」
「在庫見せろ在庫! そうだ、倉庫に置いてあるんだろ!?」
「キントキの在庫は今日店頭にあるやつで全部です! 倉庫見たいならあとで見せてあげますよ、連日大盛況なおかげですっからかんですけどね!」
一応この拠点にも倉庫はある。使ってないからすっからかんなのは本当だ、いくらでも見せてやろうじゃないか。
と、全然列を作ってくれないバニーガール達に、俺はここでイロニムを呼ぶことにした。
「イロニム様ー! ちょっときてください、店頭が大変なことになってまーーーす!」
「ふえ、なぁに? うわっ。あんたらちゃんと並びなよ」
イロニムが、四天王自らが顔を出せば大人しくなるだろう。と思っていたのだが、
「てめぇイロニムッ! キントキを独占しようって話聞いたぞ!?」
「おもてにでろー! 四天王最弱!」
「そのヒバオスとぴょんぴょんしたのかブサイクバニー! 身の程知らず!」
むしろヒートアップしてきた。満月か? 満月の日だからか?
「コガネ。ちょっと私喧嘩売られたから買ってくるね」
「あ、うん。……えーっと、とりあえずキントキの販売するんで列作ってくださーい。列作らないと販売はできませーん」
「アタシが先頭だよッ! ほら、銀貨1枚ッ!」
「うるせえどけっ!」
「邪魔しないでくださいまし、わたくしが先頭ですから! なんなら大銀貨出しますから!」
「銀貨を投げないでくださーい。受け取れませーん。大人しくなるまで販売は出来ません、大人しくしてくださーい」
「さっさと売ってください! 買ったらすぐ退きますんで!」
「後ろの人達がうるさいのでそっちが静かになってからですね」
「おらぁテメェら静かにしやがれ!! 販売が始まらねぇだろうが!!」
ああもう、大変だよ。カオス。
後ろの方ではイロニムとその他バニーが乱闘してるし、手が付けられない。
……ん? あの黒バニー……あ。バニムーンからお迎えにきた黒尻尾か?
でも今は尻尾白いな。流石にいつも黒い尻尾はつけてはいないか。スパイが『私はスパイです』ってタスキをかけてたりしないように。
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