戦う前から降伏宣言。
勇者、魔王相手に戦う前から降伏宣言。
仕方ないね。だって俺、バニーガールじゃないもん。
とはいえ、俺のレベルが上がるに越したことはないため翌日以降もレベル上げをすることになった。
その分疲労で夜の検証が捗らないと少しだけナミミ様は不満げだったけど。いい加減ぴょんぴょんしてる場合じゃないと思うのでしっかりしていただきたい。
「おそらく鍵は【ニンジン召喚】だと思います」
「まぁ普通に俺のスキルの中で一番役に立ってるもんなぁ」
と、今日も今日とてレベリング。
ナミミ様&サナチ様の両手に花。血生臭いのを除けば3人実質デートだね。
そうこうしているうちに俺のレベルは15になった。
レベル11からステータスの数値は同じまま。テキスト上での変化はみられない。
が、確実に変化はあった。
俺の手元からかなり離れた場所にも出せるようになったのだ。
「……【ニンジン召喚】!」
ぽてん、ころんころん、と離れた場所に立っていたナミミ様とサナチ様の間に落ちるニンジン。
土がついてしまうが、元々ニンジンは土に育つモノなので洗えば問題ない。
「やるじゃないコガネ! 順調に成長してるわね」
「遠距離で出せるようになったのは大きな進歩ですね」
「前からニンジン系魔法は離れたところに出せてたけど、今は目視できる場所から出せるって感じだな。……さすがに遠くの山のてっぺんに出す、とかは無理だけど」
ナミミ様計測で、レベル×1mという計測結果が出ている。
つまり今は俺の視界内15mなら、どこからでも召喚できるわけだ。今のニンジンも、最大限離れた場所を狙って出してみたものである。
15mといっても侮るなかれ。何もない空間、後頭部の真後ろからいきなりアイスニンジンが飛んできてみろ、普通に熊も死ぬ。
「きっと見えない場所からも出せますよ。ほら、ニンジン系魔法とか背後にふよふよ待機させたりしてたでしょう?」
「そうだな。ナミの言う通りだ。慣れればいける気がする」
「熊の体内に直接ニンジン出せたら即死ですよ即死」
「なにそれ怖い。けど強い」
もしそんなことが出来たら、魔王だって一撃で……? あ、流石に魔法を抵抗されるから無理。はい。
「ほっほっほ、今日もやっておるのぉ」
と、上空から声が聞こえてきた。
「あ。魔王様。また見に来たんですか」
「うむ。立派な向上心のあるヒバニンが好ましくてついつい、な」
そう、魔王である。
……なんで魔王が俺達のレベリングを見に来ているかと言えば、偵察……いや、確認及び牽制だろう。
イロニムが魔王様から提案を受けてから、こうして見に来るようになった。
レベリングのお供、護衛のバニー役がサナチ様なのはこれが理由でもある。
ツーシさんがバニーであることは、まだ知られていないかもしれないからだ。
……希望的観測だけど。
「ぴぃ……」
「おお、サナチや。どうか怯えないでたもれ? そろそろ慣れてくれんかのぉ。またハンケチで股を拭かれたいと言うのであればやぶさかではないのじゃが」
「け、結構ですっ」
「ふふふ、サナチは可愛いのぉ? ほれ、替えのレオタァドもあるでな? 漏らしても一向に構わんよ」
と、濃紫のエナメルバニースーツ、それもサナチ様サイズのものを取り出して見せる魔王様。
作ったのか。いや、自分のお古か? 体型似てるもんなぁ。
ちなみに魔王様にサナチ様への性欲は一切ない。そういう欲求は今は亡き夫に捧げており、その結果漏れ出すようになったのが黒
魔王様は、しいて言えば、孫を可愛がるお婆ちゃんだった。「その体型からするに、妾か親戚の血が入っとると思うんじゃよなぁ。家名も『ルナ』の方じゃろ?」とも言っていた。
……魔王に名前も家もしっかり把握されている件。サナチ様は泣いていい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(ここまで読んでいただいてありがとうございます!
★★★、フォロー、レビュー、❤で応援、感想等も頂けたら嬉しいです!
アンケートにご協力ありがとうございました!
「4:その他」で第三勢力化がめちゃ多かったな……!?)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます