魔王の誘惑




「うう、どうしよう……」

「あら。どうしたのですかロニー? ぴょんぴょんします?」


 仕事から帰ってきたイロニムが難しい顔をしていた。

 事情を聴けば、魔王に「このまま全員で魔王国に住めば良い」と提案されたらしい。


「……くっ! まさか仕事の斡旋までしてくれるというのですか!? なんて魅力的な提案……恐るべし魔王! まさか先手を打って我々を篭絡しにくるとは!」

「あらあら。ナミミ様? まさか今更帰るのやめたとか言いませんよね?」

「……」

「ナミミ様?」

「だ、だってツーシ! 仕事を斡旋してもらえばヒモでもなくなるんですよ!? それにきっと魔王城での事務仕事。となればロニーとも同僚で一緒の職場に通いですよ!?」

「うわぁいいねそれ。ナミ、帰るのやめない? みんなで魔王国で暮らそ?」

「ちょちょちょ、待ちなさいよナミミ、ロニム!? 私達はどーすんのよっ」


 と、ここでサナチ様が口をはさむ。


「もちろん、サナチたんもツーシもみーんなママが守ってくれるし、仕事も斡旋してくれるよ。だって魔王だし、そのくらいできるよ?」

「……私には、面倒を見なきゃいけない3匹のバニーが居るのよ!」


 そう言われて取り巻きの黒バニーの3人を思い出す。

 居たなぁそういえば。


「じゃあその子たちも連れてくればいいんじゃないかな。3人増えたところで変わらないと思うし」

「あの子たちはあの子たちで地元に家族が居て仕送りとかしてんのよ! ダメよダメ!」

「じゃあその家族もみーんな魔王国に連れてきて、みんなで一緒に暮らせばいいよ。私が連れてきてあげる。ママが手伝ってくれたらいくらでも転移できると思うし」

「待ってくださいロニー。流石にそこまでいくと現実的ではなくなります」


 と、ここでナミミ様がストップをかけた。

 いくらなんでもそこまでいくとこの家に入りきらないし、家族が友達がとか言い出したらそれこそサナチ様の実家ルナライズ領丸ごと、いや、バニムーン全部を魔王の庇護下に入れろという話になってしまう。


 そして、それは絶対に受け入れられない。受け入れられないからこそ、今バニムーンと魔王国は戦争をしているのだから。


「……じゃあ、サナチたんだけ帰るとか?」

「うぐ。……ナミミもコガネも連れ帰れずにおめおめと帰るわけにもいかないわ」

「あっ。ナミミ様、サナチ様。現実的かどうかはさておいて、一つ全てを解決できる案を思いつきましたわ」

「なによツーシ。勿体つけずに教えなさいよ」


 ニコリと笑うツーシさん。


「逆に、魔王を討伐してしまうんですよ」

「……ママを?」

「はい。魔王がいなくなれば我々の国が争う理由は無くなりますよね?」


 つまり戦争は終結だ。

 あとはイロニムが王位を継いで平和な付き合いをする隣国となってもよし、バニムーンに下って一領地となってもよし、領地をほっぽりだして一匹のバニーとしてナミミの部下になるもよし、野に下って薬師になるもよしだ。


「こちらも、完璧な案でしょう?」

「……ママを、倒す?」

「あら。ここがバニムーンになれば私も大手を振ってあの子たちを呼べるわね。いや、ロニムがウチに遊びに来ればいいのかしら?」

「む、無理無理無理無理! ママに勝てるわけないよ!? 私なんか転移魔法が得意なだけで、ママの足元にも及ばないんだから! 魔王なんだよ!?」


 慌てて拒否するイロニム。当然の反応だ。

 転移魔法が得意、というのだけでもかなり強いと思うけどね。相手を突然空に飛ばしたりしたら落下死もできる。……魔王様は飛べるから効かないけど。


「まぁ現実的ではないですよね。私も言ってみただけです」

「そうだよ。ママに勝てるとしたら、それこそ勇者しかいないって」

「勇者ねぇ……ん? あれ、そういや俺って」

「あ、そうですね。コガネさんは勇者でしたっけ。まぁバニーではないので勝てないでしょうけど」


 そうだね、魔王様に勝てる気はしないけどね。そもそもバニーじゃないし。





―――――――――――――――――――――――――――――――――

(ここまで読んでいただいてありがとうございます!

 展開について悩み中……なので、1日お休みしつつアンケートをとろうと思いますわ!


 感想で

  1.バニムーン帰還ルート

  2.魔王国永住ルート

  3.魔王討伐ルート

  4.その他提案

 のいずれかを入れてコメントくださいまし!!

 べ、別に新作作りたくなってきたとかいうわけじゃありませんわ!


 ★★★、フォロー、レビュー、❤で応援、感想等も頂けたら嬉しいです!

 X(旧Twitter)ボタン等で広めてくださると喜びます! ボタン↓↓)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る