平和にレベル上げ(2)
で。ナミミ様だけでなく俺もレベルを一つ上げた。
ただし例によってステータスはレベル以外に一切変化が見られない。【ニンジン召喚】スキルがどう変化したのかは、調べてみないと分からないな。
と、俺のステータスを覗き見る3人。
「へぇ。コガネってばMPだけ赤バニー並みなのね。私には劣るけど、やるじゃないの」
「サナチ様魔法タイプでしょう。82134は普通にありますから比べちゃだめですよコガネさん」
「あ。ロニーは823315くらいあります。勝ちましたね」
「ダークエルフのバニーなんだからMP高くて当然でしょ……って、なんでナミミがロニムのMPで自慢げなのよ?」
「だってロニーは私の片割れですから」
えへん、と本気で自分の事のように自慢しているナミミ様。
イロニムってば一応敵なんだけどね? こっちについてくれるみたいだけど。
「コガネさん。なにかこういうのができるようになったとか、効率が上がったとかそういうものがないか探しましょう。とりあえずキントキを5本出して下さい」
「食べたいだけじゃないよね? まぁはい、【ニンジン召喚】っと」
纏めて5本のニンジンが皿籠に乗った状態で現れた。……ん? あれ、今『1回』だったな。しかも籠つきだけどMPは5だけ消費していた。
「……コガネさん? この籠は?」
「なんかオマケっぽいかな? 纏めて一度に出せた感じもしたよ」
まぁニンジンブタの肉串を出すときも串が付いてくるし、そういうこともあるだろう。
「……ふむ。一度に5本出せて、オマケが付いてくるなんてお得ですね。さすが私の愛するコガネさんです。ちゅっ」
「いやナミミ。そこはもうちょっと考えなさいよ! 違和感あるでしょ!?」
「そうですよ。本領発揮すべき部分で何してんですか。絶対何かあるでしょうナミミ様、ぴょんぴょんしか能が無くなってますか?」
「し、失礼な。ちゃんと考えてます、まず褒めるのが大事でしょうこういうのはっ」
こほん、と咳払いをして改めて籠を見るナミミ様。
「シダの一般的な編み込み皿籠ですね。なぜこの籠が?……店で在庫管理して見せる時にこういう籠をつかっていましたっけ。それで意識が引っ張られたのでしょうか」
「あー、言われてみれば……店で使ってるのと同じ籠だ」
棚にニンジンを直に置くわけにもいかないので、籠に載せているのだ。
普通に籠の存在を見て受け入れてたのはそういう事もあって自然とセットに考えられたからだろう。むしろ、自然だと思えたからこそ出せたということも考えられる。
「ということは、お店にある籠が呼び出されたか、籠も併せて生成したかのどちらかですね。詳しくは帰ってみないと分からないでしょうか。コガネさん。もしお店の籠だとして、送還したらニンジンが載った状態でお店に現れる、とか、できますか?」
もしそれができたらいきなり問題解決っぽいが……
「……ううん、少なくとも今はできる気がしないな。それにたぶん普通に生成した籠だよ、コレ」
「レベルを上げたら、籠を呼び出してニンジンを載せて戻す、ニンジンデリバリーができるかも、ということでしょうか?」
「可能性はなくはない、かなぁ」
「ということは行けるはずです。直前にツーシが提案していた方向に伸びるとは、まるで私たちの話をスキルが聞いているようですね」
そう言ってナミミ様はにこっと微笑む。
あ、なんか久々に普通の笑顔見た気がする。最近は色ボケしまくってて常に艶がのってたからなぁ……
……というか、ナミミ様のこの「普通の笑顔」って、わりと作り笑顔なんだよね。本人がそう言ってた。
「……ナミ。何か企んでる?」
「はい。騙されてください。多分その方が良いので」
「わかった。じゃあしっかり騙してね」
「はいっ! 愛してます、コガネさん」
と、今度は艶の乗った笑み。
そういうことになった。何を企んでるのかはしらないけど、信じるだけだ。
――ドデカ白ニンジンのようにね。
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