交渉
「ロニーの転移魔法でパパっと帰れるので、満月までの2週間だけここで暮らしませんか?」
今日はサナチ様もヒバニン服で、イロニムも信用を得るためにバニーを脱いで同席している。
イロニムを紹介したときは流石に二人の顔が引きつっていた。が、ナミミ様にナデナデよしよしモミモミちゅっちゅされるがままのイロニムに困惑するしかなかった。初対面の人の前でそれをされるイロニムが一番困惑していたと思う。
「……ナミミ、あんたそこにいる魔王軍四天王を信用しろって言ってるわけ?」
「そうですが? あ。今ならコガネさんと1回ぴょんぴょんする権利が付いてきます」
「本当に信用できるか、2週間で見極めてやるわ!」
予想通り、サナチ様はあっさり落ちた。
残るはツーシさんだが……
「おや、1回だけですか。では私は魔王国で運よく見つけたコガネさんを救出しますね。ナミミ様の捜索はサナチ様にお任せします」
「……ツーシ? 強欲は身を滅ぼしますよ?」
「それはこちらの台詞ですナミミ様。2週間もあって1回だけとか生殺しですよ? 私も3分の2の側になってしまうやもしれませんね」
「ハッ!? 確かにそうね!? 強欲なのはナミミの方じゃないの!」
「はぁ、バレましたか。わかりました、コガネさんの意思と体調を尊重してであれば、滞在中に複数回は認めましょう」
……と、結局そういうことになった。
というか、ツーシさんは良いんだろうかそれで。大人がどうとかいう点で。
「私だって好き放題何も考えずに2週間ぴょんぴょんしてクイパシして働かずに過ごせるなら一度くらいしてみたいです。当然じゃないですか、バニーですよ?」
「なるほど?」
ツーシさんもバニーなので当然かぁ。……うん、説得成功してしまった。
あとは俺が身体張るだけかー。
かーっ、人権ないヒバニンはつれーわー。俺の前世きっと世界2、3個救ってるわー。
「あと元々時間がかかるのは想定内ですし。最悪『イロニムに囚われたお二人を探し出して救出するまでに1ヶ月かかった』で良いでしょう。……流石に2週間までですからね? それ以上は職務放棄になってしまいます」
その辺をしっかり考えているツーシさんは、一応ちゃんと大人だった。
さすがツーシ先生である。
……あ。ツーシ先生で思い出した。これいよいよクイパシとかモグペロとかアシコタとかの謎が解けるのでは?
もしかしたらナミミ様達ともうやってたかもしれないけど、そこんとこ正式に詳しく実技を交えて教えてくださいね、ツーシ先生!
「で。結局その魔王軍四天王は無害ってことでいいのかしら?」
「う、うん! 私悪い四天王じゃないよ!?」
「まぁこっちもナミミ様同様INT8.2みたいなので、今のうちに取り返しがつかないくらいこちらに取り込むのが得策でしょうね。バニムーンの未来はコガネさんにかかっていますよ」
「それについては、どちらかというとナミミ様の方が……ですかね?」
ちらりとイロニムを見ると、ナミミ様にぷるぷるモニモニはむはむカリカリされていた。もうこれどっちが上かっていうと完全にナミミ様だよ。
イロニム自身、多分俺よりナミミ様の方が好きだと思う。愛されるのがイロニムの癖だって検証結果が出てから、ナミミ様に毎秒溺愛されまくってるから。
もちろんこれは演技などではなく、ナミミ様も本気だ。
ナミミ様は俺と違ってこの世界のバニーの美醜感を知っているが、本人がこの世界基準でも天然最高級美少女であるため、他の人の美醜など『些細な問題』だった。
そのおかげというか、せいというか……うん。ご覧のあり様だよ。イロニムには男の俺と違って回数制限もないし。
俺から見ると、イロニムは共にナミミ様に挑む戦友というイメージだね。主に囮で。
「……であれば、コガネさんには心置きなく我々の相手をしてもらえますね?」
「そ、そうねっ! よろしくねっ!? あ、でもそのあと私達もナミミ達の相手しないとダメなのかしら。私、バニーとぴょんぴょんする趣味はないわよ」
「あら。サナチ様は男だけが対象のタイプですか?」
「比較されんの嫌なのよ……っていうか兵舎で私の事狙ってるヤツ多すぎだしッ! おかげで共同風呂に入れないのよッ!」
「あー。子供好き、一定数いますからね。サナチ様の取り巻きの3人とか」
「え?」
ツーシさんに暴露された衝撃の事実に固まるサナチ様。そのお顔の青ブチ眼鏡がずるっと落ちた。
「……あー、その。まぁ、ナミミ様もきっとサナチ様とはしないでしょ。多分。だよね、ナミミ様?」
「あ。コガネが私も二人としていいって言うなら余裕でしますよ? イロニムと調べたアレコレをサナチやツーシでも検証したいです」
「わかりました。……頑張って正気を保ってくださいね、お二方」
ナミミ様このぴょんぴょんモンスターがよぉ……!
でもOK出してしまう。だって俺死にたくないもん!
イロニムのポーションがあるからって無茶しすぎなんですよナミミ様はぁッ!
あそこは何かをつっこむ穴じゃあないんですよッ!? がくがくぶるぶる。
「……ぴょんぴょん覚えたての小娘に、大人の余裕を見せつけてあげましょう」
「えー、気が乗らないんだけど。まぁそれでその分コガネが私としてくれるのよね? なら少しくらい我慢してあげるわ。……ナミミとならそれほど嫌じゃないし」
これ、ナミミ様に堕とされるフラグにしか聞こえないのは俺だけかな?
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(ここまで読んでいただいてありがとうございます!
★★★、フォロー、レビュー、❤で応援、感想等も頂けたら嬉しいです!
X(旧Twitter)ボタン等で広めてくださると喜びます! ボタン↓↓)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます