イロニムと相談
一旦サナチ様とツーシさんは宿に戻った。
一応ムーンフォールに帰るまでの猶予として明日一日もらえたわけだが……
大きな問題が山ほどある気がしてならない。本当に1日でなんとかなるのか?
まずは第一の問題、この家の主、イロニムに話をするところからだった。
「ロニー。私、やっぱりムーンフォールに帰ることにしました。なんかバニーにも戻れるらしいです。で、今日迎えが来て、すぐ帰るという話になりました」
「ええええ!? 急に言われても困るよ!?」
そしてナミミ様は夕方に帰ってきたイロニムに一息で全部ぶちまけた。
「私もうナミとコガネ抜きの生活とか考えられないんだけど!? あとニンジン屋はどうするのさ!?」
「それなんですが、私に考えがあります」
「え? さすがナミ! 何々聞かせて!?」
にこっと笑みを浮かべるナミミ様。
「全部ほっぽり出して、ロニーもウチに来てください。私、コガネさんの次にロニーの事を愛してるので、私の隣にいて欲しいです」
「私四天王だけど!? 魔王軍の四天王なんだけど!!」
「え? その前に、私の愛するロニーですよね?」
「行くぅ!!!」
ひしっと抱き合うナミミ様とイロニム。この四天王完全に篭絡されてやがる。
立場的にはナミミ様よりも姫兼四天王なイロニムの方が上な気がするけど……いいのかそれで。
「……それで、ニンジン屋はどうするの?」
「ムーンフォールに帰るとして、魔王国で暴動を引き起こすのはむしろ手柄では?」
「自分勝手がすぎるよッ!? でも確かにそう……!」
敵の損害は味方の利益。単純な計算だった。
「けど、私の領地だから、しっかりカタ付けて行きたいなぁ……」
「む。じゃあロニーのために何か考えないとですね。時間が足りなさすぎる……」
「なぁ。そもそもイロニムの引き抜きなんて、魔王様が見逃してくれるのか?」
「……それは確かに難問です。迎えに来た2人にロニーが加わっても、私とコガネさんというお荷物を抱えて魔王から逃げられるとは思えません」
「四天王のあと3人もいるからねぇ。あ。いっそ満月まで待ってくれたら、普通に3人でムーンフォール転移行けるよ?」
そういえば、元々俺達はイロニムの転移魔法でここまで攫われてきたのだ。
そして、ムーンフォールまで逃げてしまえばあとは普通に今まで通りのムーンフォールVS魔王国だ。何とかなるに違いない。
「……あと2人、いけますか?」
「5人かぁ……片道だけなら、ギリギリ、かな?」
「なら、すぐに帰るというのは交渉次第で満月まで延期できるかもしれません」
そもそもここまで来るのに2週間かかっているのだから、帰るのにも2週間かかるはず。であれば2週間後に転移魔法で帰っても同じはずである。
むしろ道中の移動がない分危険もないし、楽ができる――という交渉だ。
「問題の先送りかぁ……」
「すぐにいい案が浮かばないですから、仕方ないですね」
そして交渉に成功すれば、あと2週間ここでの生活が続けられる。
それだけあればニンジン屋も暴動を起こさず円満になんとかできる案が浮かぶかもしれない。
「……もう一押しするのであれば、コガネさんの存在でしょうか」
「ん、俺?」
「あの2人、コガネさんとぴょんぴょんしたいと思ってるでしょう? だからそれを餌にすれば交渉は確実に成功するかと」
「あー……なるほど?」
でも俺、ナミミ様とイロニムの相手で手一杯なんだが?
むしろナミミ様一人で手一杯なんだが?
なんだろう、ちょっと前なら「ヒャッハー! ハーレムだぁー!」とかはしゃげてたと思うんだけど……俺もこの生活で贅沢になってしまったのだろうか。
極上美少女のナミミ様と褐色ギャルバニーなイロニムとぴょんぴょんし放題とか頭ぴょんぴょんにもなるよ。マジで。
「俺の意見としては……あの2人なら別に嫌じゃないけど、ナミミ様が嫌ならしたくない。かなぁ」
「あ。じゃあついでにNTRの検証もしてみたいので……申し訳ありませんがお願いしますね? その分私とロニーもガマンしますので」
ついでの理由ーーー!!! ナミミ様の頭の中どうなってんの……!?
……そうえいばそもそもバニムーン王国における常識で、ヒバニンは「物」という考えがあったわ。あー、バニムーン基準だと人権ないからなー、つれーわー。
「というか、そろそろガマンを思い出さないと今後に差支えます」
「……それはあるね。私もお仕事が手につかなくて大変だよ」
「それはそう」
まぁナミミ様がやれっていうなら従いますよ? 俺は従順なペットですからね!
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「代わりといってはなんですが、後日私にえっぐいぴょんぴょんなんでもしていいですからね!!」
「(それナミミ様がしたいだけでは?)」
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