大事な忠告
ツーシさんの説得であっさりバニー復帰に意欲的になったナミミ様。
「ちょっろ。間違いなくハサミ様の血筋ですね」
「言わないでください、お父様が関わってるときの母様に似てたなってちょっと自覚ありますから……」
「ふふっ。これでナミミ様もひとつ大人になった、ということです」
にっこりと笑顔のツーシさん。
えーっと。俺も一緒に帰るってことでいいんだよね。
「ちなみにコガネさん。ぴょんぴょんを覚えたばかりのバニーによくある事なんですよ。ハマって生活に支障が出るのって」
「へぇ? そんなによくあるんですか?」
「ええ。ナミミ様みたく元が真面目だと余計に。例えば、娼館に通い詰めて借金を負ったり、誰彼構わずぴょんぴょんしようとして逮捕されたり、愛しの相手を監禁して餓死寸前までぴょんぴょんし続けたり……ムーンフォールの兵士に聞けば、3人に2人はそういうエピソードがありますね」
なにそれ終わってんなムーンフォール兵士。
ところでナミミ様は今バニーじゃないんだけど……あ、血筋? 血筋かぁ。
「あ、私は3人に1人側の常識バニーですよ? サナチは……ああ、そういえばコガネさんを拉致してぴょんぴょんしようとしてましたっけ。じゃあギリギリ2人側ですね。ナミミ様も今回のこれなので、あら、丁度比率が合いますわね」
「「うぐっ」」
そう言われて、さっきまで熱い友情を交わしていたナミミ様とサナチ様がおずおずと座りが悪そうに椅子に座りなおす。
「そうだナミミ様。こちらはハサミ様からのお手紙となります」
ツーシさんはどこからともなく――多分インベントリから――手紙を一枚取り出した。
「条件を満たしていたら読め、とのことで……今から読むので、コガネさんも是非お聞きくださいね」
「はい? 母様から? なんですか一体?」
「『おめでとうナミミ。この手紙を聞いているということは、お前もベターハーフを見つけたのだな。母は嬉しい。だが、それが男であるなら忠告をしておく。……ぴょんぴょんは1日3回までにせよ。そして限界を超えてぴょんぴょんするのは月に3日までとし、最低限翌日は休ませよ。枯れるぞ』」
「え?」
想像していなかった内容に、ナミミ様が固まる。
ちょっとまて何だその手紙。まさに今のナミミ様にクリティカルヒットじゃないか……!?
「『大事な事なのでもう一度言う。連続で限界突破一週間とか、男が枯れるぞ。母の母はそれでダンナサマと二度とぴょんぴょん出来なくなってしまった』」
「……なっ!?」
「『また、歳を重ねると枯れやすくなってしまうそうだ。ゆめゆめ気を付けよ。そしてぶっちゃけ母は待機時間が暇だからその時間で領主をしている』」
おい、ここぞとぶっちゃけてんな領主様。
「『あとこれは男女関係ないが、相手にちゃんと水を取らせよ。脱水症状で死ぬ。……ちゃんと水だぞ。水分なら汁飲ませあってるから大丈夫、は大丈夫じゃないからダメだ。ナミミも水飲めよ、うっかりすると動けなくなってるからな。母は何度かやらかした』……以上です」
「!?!?」
以上って、というかぴょんぴょん事情の事しか話してねぇよハサミ様!?
「あの、ツーシさん、なんですかこの手紙……?」
「すみません。ナミミ様が無事で幸せそうだったら一刻も早くこれを読め、と言われて渡されただけで、私も今初めて内容を知りました」
しかしその内容には心当たりしかない。
どうやらナミミ様の行動は、ハサミ様の掌の上だったようである。
これが領主の思慮遠望……!
「えっ、まず、その、か、枯れるのですか!? 本当ですかツーシ!?」
「はい。なんでも赤い玉がポロっと出て、以降はポーションでも回復魔法でも治せなくなるそうですわね?」
「わ、私はなんてことを! コガネさんを枯らしてしまうところでした!」
バニーがうっかりパートナーを潰しちゃうのはたまにある事故で。パートナーを潰しちゃったがために世をはかなんで自決、は割と多いバニーの死因らしい。
……ウサギは寂しいと死んでしまうんですね?
「ちょっとナミミ!? コガネを枯らすとかあってはならないでしょ!?」
「こ、コガネさん! 今日はもう休養です! しっかり休んでください!」
「あ、はい」
なんか、そういうことになった。
……正直ありがたかった。ハサミ様に感謝……!
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