迎え
もしかして、『ナミミ様』にとってバニーガールとは拘束服で、いまの『ナミ』こそ解放された真の姿なのでは?
そんな疑惑も深まってきたある日の朝。
「らっしゃっせー。キントキ1本銀貨1枚でーす」
「コガネ……!」
「ん?」
流れでキントキを売っていた俺の名前を呼ばれてふと目の前を見れば、そこには青いバニースーツを着たサナチ様がいた。
でもこのサナチ様、布の青スーツに素足である。
「あれ。サナチさ……んんっ、あー、えっと」
もしかしてあの後貴族籍を剥奪されて平民になってしまったのだろうか。
「あ、あとでまた」
「あ、はい。まいどあり?」
と、サナチ様はキントキを買って離れる。そっちを見れば、ツーシさんも居た。こちらはバニーどころかヒバニン服であった。
……一体何があったというのだろう? そう思いつつ、俺は列を捌き、そしていつも通り完売御礼の札を出して店を閉めた。
「コガネさん、今日はオイルを使いたいのでお風呂場に行きましょう!」
「あ。まってナミ。お客さん来てるから。検証は一旦おいといて」
いつも通りに俺を引っ張っていこうとするナミミ様を止める。
「客? 先ほど列を捌いて閉店したところですよね?」
「なんかサナチ様とツーシさんが居てね」
「え?」
ぴたり、と動きを止めたナミミ様。俺は勝手口から外に出てサナチ様とツーシさんを探す。……すぐに家の近くで待っていた2人を見つけ、家の中に招いた。
イロニムの拠点であるため、一応応接室があり、そこで話す。
「コガネ! ナミミ! 無事だった……のかしら?」
「ナミミ様、そのお姿は……」
「お久しぶりですね。お二人とも」
ワンピースの、バニースーツでないナミミ様を見て心配する二人。
そして、それを軽くスルーして、さも当然という顔で俺の横に座り、腕に抱き着きながら話すナミミ様。
「ナミミ様。……しました? ぴょんぴょん」
「しました」
「納得の距離感です。ハサミ様とバルオウさんそっくりですね」
「したの!? コガネ、私ともしましょう!? 次はぴょんぴょんするってあの満月の夜に約束したわよね!?」
「いやそれはサナチ様の妄想ですね?」
間違いなくしてないぞ、その約束。してたら流石に覚えてるはずだからな。
「ま、まぁいいわ。ナミミ。あなた、バニーを剥がれたというのは本当?」
「はい。ロニーに奪われましたが? それがどうかしましたか?」
「ロニー?」
「あ、イロニムの事です。魔王軍四天王の。ここの家主で」
「おのれイロニム――え、家主? え、どういうこと?」
訳が分からない、とハテナマークを浮かべるサナチ様。うん、まぁ、バニーを剥がれて誘拐されて拠点でお店開かせてもらってるとかワケわからないよなぁ……
とりあえず俺は、この半月ほどの間にあった事を二人に説明することにした。
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