生活崩壊編
大繁盛
「落ち着いてください! 落ち着いて! 整理札を配っています、割り込まないで!」
やぁ、俺は
バニーガールの支配するバニガルドに召喚されたのち魔王四天王に拉致されたヒバニン(バニーガールじゃない人)の異世界転移者さ。
今俺は何の因果か魔王のお膝元、城下町でニンジン屋をやっているのだけど――一言で言って大繁盛している。
店は魔王国中のバニーガールが集まったかのような大騒ぎだ。普通に暮らしてるヒバニンご近所さんは遠巻きに見るしかない。
列の中にはエナメル網タイツのバニーさんも混じっている。
いやぁ壮観壮観。バニーさん一人一人に手渡しで木札を渡していく。
「1人1本! キントキは1人1本です、ご了承ください!」
「ねぇ、こっちは朝から並んでるんだけど! 10本くらい売ってよ!」
「ダメです! 他のお客様の買う分が無くなってしまいます! はいここまで、キントキはここまでになります!」
「ええー!!」
目の前で整理券が配り終えられた不幸なバニーさんが涙目になる。
あと10人くらい並んでるんだが、それでも50本用意してんだぞこっちは。
「すみません。キントキが目当てなら明日またお越しください」
「1本くらいどうにかならないの!? 私、これでも結構有名バニーなんだよ!?」
「申し訳ありません、キントキ目当てなら明日また来てください!」
「そこをなんとか!!」
なるけど、それやったら際限なくなっちゃうでしょーがっ!
「コガネさん! ニンジンの在庫をもってきてください!」
「了解! っとぉ、では失礼しますお客様!」
「ああっ! ちょっとぉー!!」
丁度いいタイミングでナミから声をかけられて列を離れる。
「助かったよナミ。ナイスタイミング」
「いえ。それより本当にニンジンの在庫が切れそうなので」
「おっと、すぐ持ってくるよ」
キントキを買ったついでに10本くらいのニンジンも普通に買っていく太客がバニーガール達である。当初の60本在庫とかではとうに対応しきれず、最初から500本用意していたのだが……
「ここのニンジンは安いし美味い」
「キントキを大事に食べたいから、折角だし10本くらい買うかぁ」
「キントキじゃなくてこっちが目的でもいいかも」
と、通常のニンジンもガンガン売れているようだ。
ニンジン屋始めた時は「なんならドデカ白ニンジンとかも売ろうかなぁ」とか思ってたんだけど、こうなるともう売り物がキントキとニンジンの2種類だけで正解だったまである。
2種類だけで手一杯だし忙しすぎる!
というか誰だよ魔王国にバニーが少ないって言ってたヤツ!……これで全員だとしたら確かにムーンフォールの兵士バニーと同数くらいだから少ないっちゃ少ないんだけど。
しっかし本当に魔王国のバニーガールが全員集まってんじゃないだろうか。
そのせいか、最近はイロニムの威光があってもトラブルが発生しつつある。
イロニムはノーバニー状態で冒険者もしており、民に親しまれている分、舐められることも多いらしい。
バニーガールが少なく諫める人も少ない為にワガママに育った魔王国のバニーガール達を抑えるには、四天王とはいえイロニムでは足りないらしい。
なので現在その対策としても考えているところだ。
……まぁ上手く行かなくてもあと3週間でムーンフォールに帰るしな。なんとでもやりようはありそうだ。
と、在庫のニンジンを補充していると店の外でざわつく声が聞こえてきた。
なんだよまたトラブルか?
イロニムの威光でカタがつくヤツならいいんだけど……
「おい、お前! ナミミ・ムーンフォールだろ!?」
……ちょーっと難しいお客様のようですね!!
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