もうキントキ売ってれば一生安泰じゃないか?



「というわけで、ニンジンの入荷数を増やすわ。ごめんなおっちゃん」

「ああうん。ま、バニー様達に目ぇ付けられたなら仕方ないな」


 八百屋のおっちゃんとも話をつけておく。


「というか、イロニム様以外のバニーってこの町に居たんだな」

「この地区のバニー様はイロニム様含めて3人だけだ。他の地区から来たんだろ」

「そうなのか」


 魔王国はバニーガールが少ない。まぁいずれバニーガールを滅ぼす魔王様に味方する奇特なバニーガールがそんな多くいるわけないものな。


 でもいないわけではない。かつ、もれなくその高い能力値を生かして冒険者として活躍しているので皆お金持ち。

 当初イロニムが言っていたように、ニンジンが1本銀貨1枚でも平気で買う。そんな太客層だ。


「お前さ、もうキントキ売ってれば一生安泰じゃないか?」

「それはそう」


 キントキを売り続けている限り、くいっぱぐれることはないだろう。ニンジン召喚で出すから入荷が滞ることもない。

 スローライフ完成しちまったな……?

 でもナミとムーンフォールに帰らないといけないよなぁ。うん。


 あ。バニーガールが遠くから買いに来てる分には八百屋の方も商売あがったりになるわけではないので、入荷量を増やすのは好きにしていいとのこと。

 そして引き続き30本はニンジン買ってくれるらしい。まぁそれはある意味罰だから当然だね。




「あれ、コガネさん。お店は良いのですか?」

「もう全部売り切れたよ。完売御礼だ」

「……私が家の掃除で目を離していた隙に? まだ開店から30分も経っていませんよね?」


 うん、正味5分で1日分をカンペキに売り上げてしまったんだよね。

 さすがに入荷数を増やさないとマズいだろうなコレは。今日の様子を見るに、倍の20本は用意しておかないと暴動が起きかねない。

 値段は……そのままでいいか。下手に安くしても問題だしな。


「……50本くらい用意しておいた方が良いかもしれませんね」

「えっ。キントキだけで?」

「それと、警備の依頼も出した方が良いかと。実際はコガネが出すので在庫はありませんが、そうと知らない者が盗みにやって来る可能性もあります」

「おおぅ」


 そうすると痛くなくもない腹を探られることになる、と。

 うっかりムーンフォールについて話してるトコを聞かれて、ナミの正体がバレるかもしれないのを考えると……警備頼んだ方が良いかなぁ。お金もあるし。

 でもそうなると今度は警備の人にバレる可能性も出てくるので変わらないか?


「あ。今うっかり呼び捨てしてしまっていました。ペナルティお願いします」

「……はいはい。えい」


 ぽこん、とナミの頭を軽く叩く。


「ぁんっ……もっと強く叩いてくれなきゃペナルティにならないのですけど」


 そう言いつつ、ナミはちょっと嬉しそうなのである。


「……なんかナミ、たまにわざと呼び捨てしてない? もしかして叩かれたい、とか?」

「そっ、そそそ、そんなことないですが!? あ、お洗濯しないとですね! 今日も午後はレベリングと検証に行きましょうね!」


 そう言ってナミはそそくさと離れていった。

 なんか無理矢理押し倒しても許してくれそうな気がしてきたよ? いやしないけどさ。



―――――――――――――――――――――――――――――――――

(ここまで読んでいただいてありがとうございます!

 そろそろアレな展開になるので、次々回から学生がすぐに見づらい朝の8:21更新にしようかなぁと思います。

 まぁ実質1回だけ半日繰上りですわ!


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