休日のんびり町探索(2)
引き続き町を散策する俺。
お腹も膨れたし、次はどうしようかなー。やっぱり娯楽関係をチェックしたいよね。
……ぶっちゃけ、ナミミ様のおそばでお仕えしてるとナミミ様割と無防備なところがあって色々と辛抱たまらなかったりするのだ。
そういうの発散できる娯楽はないだろうか?
やっぱり前線ともなればそういうエッチなお店だってあるもんだと思うんだけど。
そういうエッチなお店ってのは当然表通りは避けて作られるだろう。俺は裏通りへと足を運んだ。
うぉっと、なんか酔いつぶれたバニーガールのおばちゃんが地べたで寝てる。
……日本だと酔っ払いのオジサンが寝てる感じかなぁ。気持ち距離を取って通り抜ける。
「ん? 露店?」
こんな人通りのない所にゴザを敷いて商品を並べているローブ姿のバニーガールを見つけた。濃紫のエナメルバニー耳がローブの頭のとこに空いた耳用の穴からぴょこっと生えていた。
ローブを深くかぶって顔を隠しているのは怪しいが、こういうの嫌いじゃない。俺は商品をよく見させてもらうことにする。
「おっとヒバニンじゃないか。買えないだろ、商品には触らないでおくれよ」
「いや、金なら少し持ってるよ。ウチのご主人様は良いバニーガールなんでね」
「ん? 私物を許容してくれるご主人様なのか。ならいいけど」
ああ、金持ってねぇだろ、じゃなくて、私物を持てないだろ、って心配だったのか。
ヒバニンの人権ねぇなぁ。
よいしょ、と腰を下ろしてじっくり見る。
おや、これは……透明なガラスビンに透き通った青や緑、赤色の液体が入っている。いわゆるポーションってやつかな? 赤は一本しかない。
こっちは本だ。何の本だろう。……値段高いな。うーん、手持ちじゃ足りない。
おや、こっちは野菜の干物のようだ。お値段は……高っ! 本より高いぞ!?
「それはマンドラゴラの干物だよ。1本銀貨40枚ね」
「流石に高すぎて買えないや。……マンドラゴラって何?」
「魔法生物だよ。引っこ抜くときに死を巻き散らす悲鳴を上げるんだ。そんで逃げたりもする。これはもう処理して干してあるから安全だけどね」
よく見ると、その干物には干したニンジンっぽさがあった。
……マンドラゴラ、歩くニンジンって事だな。
うん、いやこれは……普通にニンジン召喚出来そうだなぁ。あとで試そう。
「どうかなヒバニンのお兄さん。なんか買えそう?」
「こっちの小瓶なら何本か……かなぁ。これ何?」
「飲めばたちどころに回復するポーションだね。効果はこの耳に誓って保証するよ?」
そんな凄い物がこんな裏通りで売ってるもんだろうか? と思わなくもないけど。
前線であるこの砦中町だと、ポーションってのは需要も価値も高いに違いない。
「そんなら普通に表で売れそうなもんだけど」
「生憎とアタシはモグリでね。免許がないのさ」
「うーんと、あと色の違いはどういう意味があるんだ?」
「なんだ素人か。緑はHP、青はMP。赤はいっぺんに両方回復する一番いいヤツだ、値段は3倍だけどね」
俺のお財布には丁度、赤青緑を一本ずつ買えるお金が残っていた。
……万一のために、欲しくはあるなぁ。でも、万一の場面でこんな怪しい露店から買ったポーションに命運を任せられるかっていうと、また別なんだけど。
でも買っちゃう! アレコレ発散する娯楽なんてまた今度でいい、この一期一会しかないかもしれない機会に全ツッパだぜぇ!!
っていうか、よく考えたらバニーガール中心の世界なら、エッチなお店もバニーガール向けのそういうお店ってことになるじゃん? 俺、よくて働く側になっちゃうじゃん。
お客が全員ナミミ様レベルの美少女なら大歓迎だが、ヒバニンは人権すらない最下層民。客が選べるはずが無い。さっき道端で寝てたオバちゃんバニーみたいなの相手にしたくねぇからやめとくわ……
自分がやるかもしれない側になって思ったが、無差別に相手できるプロの人、ホント尊敬しちゃうね。覚悟すごい。
というわけで、今日のところはポーションに全部使って未練を断ち切る!!
「赤青緑、一本ずつ貰おうか」
「お! まいど! いやぁ、初めて売れたよ」
「……ホントに大丈夫だよね? ピンチの時に使ってダメでしたとかは嫌だよ?」
「だからこの耳に誓って効果は保証するって。使用期限は1年だけど」
ポーションと代金を交換しながら、濃紫のバニー耳を突き出して主張する店主。
と、その時ぶわっと風が吹いて、ローブがめくれた。
「あっ!」
そこには、銀髪褐色エルフバニーが居た。……うん、美女!
あと一瞬だったけど白網タイツがしっかり目に焼き付いてるぜ! 100点!
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