検証結果のまとめ(1)


「そういえばニンジンスピアを出すときもMP多く消費したりしてませんでしたか?」

「あ、言われてみればあの後『ニンジン召喚』練習してて空振りしたような……」

「大事な事なんですからちゃんと調べてくださいよ! 検証舐めてます!?」


 ナミミ様、きっと血液型はA型だな。……俺もA型だけど。



 さて、そんなこんなで俺のLvは7になっていた。

 ステータスは相変わらずの82均一だが、『ニンジン召喚』の基本消費MPは4。最初に比べて倍以上のニンジンを出せるようになっていた。



 今日は色々とナミミ様による検証を行ったおさらいである。


「はい、それでは今のところ判明している『ニンジン召喚』の事についてまとめです」

「わー、ぱちぱちぱちー」


 黒板にチョーク、そして眼鏡をかけたナミミ様が教壇に立つ。

 バニーガール女教師! そういうのもあるのか! ……いやガールと女で意味が重複してるな。バニー女教師、バニーガール教師……まぁどっちでもいいか。


「コガネ。真面目に聞きなさい」

「ハッ! すみませんナミミ先生!」

「……先生ってのもいいですね。よろしい、では続けます」


 カッカッカッと黒板に文字を書く――あ、読める。ちゃんと読めるぞ。『異世界言語(バニガルド)』のおかげだな。


「まず召喚できるもの。こちらは、コガネが『ニンジンである』と認識しているものであれば召喚できるようです」

「まぁ、『ニンジン召喚』ですからね」

「そしてその幅は非常に広く、ニンジン以外もニンジンという認識であれば召喚できます」

「えっ?」


 ここでナミミ様はそっと頭を下げる。


「すみません。実はこの『白玉臭ニンジン』――これだけ・・は他と違って、ただのニンニクを検証のためにニンジンっぽい名前をつけて紛れさせたんです」

「えっ!?……召喚できてましたけど、ニンニクだったんですか!?」

「そうなんです。召喚できてたんです。……試しに今、もう一度お願いします」

「はい。……『ニンジン召喚』!」


 そして俺の手の中にはニンニクが……無かった。普通のニンジンが出てきた。


「あ、あれ!? おかしいな、昨日はできたのに」

「やはりそうなりましたか。……『ニンジン召喚』は、コガネの認識が非常に重要であるようですね」


 カカカッと黒板に追記するナミミ様。『ニンジンと思っていなければ召喚できない』と。

 そして不意に頭をある考えがよぎる。


「……あの、もしかして他にも『ニンジン』と言い張ってるものってあったりします? 『ゴロゴロ茶色玉ニンジン』……ジャガイモとか……」

「いえ。あれは『ゴロゴロ茶色玉ニンジン』です。間違いなくそう呼ばれている野菜ですよ。……私を信じてください、コガネ」

「アイ、マム! 信じますナミミ様!」

「ありがとうございます。素直ないい子は大好きですよ」


 くっ!……何の回答もえられませんでしたァアアア!!

 まぁ、折角召喚できているものをわざわざ削るよりは、ナミミ様を信じて騙されてた方がいいか。トラストナミミー。




――――――――――――――――――――

(検証まとめはもう1回だけ続くんじゃよ)

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