レベルアップの恩恵
そしてLv3になった俺のステータスがこちらだ。
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【名前】
【種族】人(奴隷 所有者:ナミミ・ムーンフォール)
【ステータス】
LV 3
HP 82/82
MP 82/82
STR 82
VIT 82
INT 82
MND 82
AGI 82
LUC 82
【スキル】『ニンジン召喚』『異世界言語(バニガルド)』
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「……MP増えてませんね」
「それどころか全ステータス上がってませんよナミミ様」
「うーん。Lv2で何も変わっていなかったようなので、Lv3まで上げてみましたが……まさかステータス固定の呪いがかかっているんでしょうか? それとも私がスライムを押さえて倒させるだけだったから?」
ブツブツと考えを巡らせるナミミ様。
「とりあえずキントキを」
「あ、はい」
俺はニンジン係の職務を忠実にこなし、金時ニンジンを召喚して差し出した。
と、ここで開きっぱなしだったステータスを見ていたナミミ様が何かに気付く。
「あら。……ほほーう? なるほどそういうことですか」
「どうかしましたか?」
「MPを見てくださいコガネ。素晴らしいことが起きてますよ」
ナミミ様に言われてMPをみれば『74/82』になっていた。
……ん? 『ニンジン召喚』をしたのに、8しか減ってないぞ?
「どうやらLvで『ニンジン召喚』の消費MPが減るようです。これは実質MPが増えたのと同じですね! おめでとうございますコガネ!」
「おお! ありがとうございますナミミ様!」
今までは一度の最大が8回だったのが、10回になったのだ。
回復も考えると、1日18回はイケる。
「Lv1ごとに1減るのであればLv11以降がどうなるか気になりますね! 消費が無くなる? Lv12になったら使えば使うほど回復……はさすがに無いでしょうか? ふふふ」
口に手を当てつつ考察するナミミ様。あーかも、こーかも、ああでもでも、と首をかしげるたびに楽しそうにぴこぴことバニー耳が揺れる。
「なんか俺より楽しそうですねナミミ様?」
「え? 未知のスキルの検証って楽しくないですか? コガネは自分のスキルなのですから、もっと興味を持つべきでしょう」
言われてみれば確かにそうだ。俺のスキルなんだよな。
「俺はどちらかといえばスキルじゃなくて魔法を覚えて使ってみたいです」
「魔法ですか? うーん、『ニンジン召喚』以外でMP消費するのはもったいなくないですか? 折角の稀少スキルなんですよ?」
うちのご主人様、珍しいスキルを前に知識欲高すぎひん?
「……でも、魔法がスキルに影響を及ぼす可能性もあるかもしれませんよ!」
「確かに! あと仮に回復するのであれば、先にMP使っておかないと回復したか検証できませんものね! あ。では私の魔法をひとつ見せましょう」
ナミミ様は森の木を一本標的として指し示す。
「ごにょごにょ……ファイアニンジン!!」
そこに現れたのは、円錐形の火の槍。いや火のニンジンらしいけど。そしてそいつはぴゅんと木に飛んでばごぉ! と大きく穿ち、焦がした。
ファイアランスとかそういう魔法じゃんこれ。しかし……
「……そうか、魔法もニンジンなんですねぇ?」
「あの、あの、コガネ。先ほどふと思ったのですが……『ニンジン召喚』って、今のような『ニンジン系魔法』も召喚できちゃったりします?」
ちょっとナミミ様! そんなキラキラした瞳の上目遣いで胸元チラ見せは……えっちすぎますよ、正直ズルいと思うの! そんな風に検証おねだりされたら断れるわけないじゃないですかぁ!
「うぉおお! いきます! 『ニンジン召喚』ッ!!」
結論から言うと、成功した。先に穿たれていた木はさらに抉られ、バキバキと音を立てて倒れた。
そして『ニンジン召喚』にファイアニンジン相当のMP15が上乗せされての発動だった。現状だと1発MP23消費。MP最大から3発は打てる計算だ。
ちゃんと魔法を覚えたら『ニンジン召喚』分はいらなくなるだろうけど、レベルを上げていったら『ニンジン召喚』のMP消費も減っていく。覚える手間を考えると、ちゃんと覚えるべきか否か悩ましいな……!
「ファイアニンジンが使えるならLv上げももっと捗りますね! 明日はトレントあたりいってみましょうか? 怖い? 大丈夫、コガネは目をつぶって『ニンジン召喚』するだけでいいです。私が当てさせてあげますから。怖くない怖くないです……!」
「わー、パワーレベリング始まっちゃう」
やっぱりうちのご主人様、珍スキルを前に好奇心旺盛すぎひん?
好奇心猫をも殺すというが……バニーガールはきっと無事なんだろうな。強いし。
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