レベリング


 モンスター。人類共通の敵。魔物とも言う。

 Lvを上げるためにはコイツらを狩らなければならない。

 しかし俺に不安はない。なぜなら、可愛くて強いご主人様、ナミミ様が一緒だからだ!


「私がついていますからね。今日はコガネのレベルが上がるまで付き合いますよ」

「つまりナミミ様は勝利の女神ってことですね! いやぁ今日もお美しい」

「うにゃっ!? そ、そう、ですかっ……ね?」


 照れて顔を赤くするナミミ様。バニースーツの赤に負けず劣らずだ。

 謙遜しなくてもいいのに。実際可愛いんだから。網タイツの美脚撫でまわしてぇな……ペットになれたら毎日じゃれつきたいわ。今は人として扱われてるから自重してるけど!


 場所は砦近くの森。動物の直接的殺生と無縁の現代日本人の俺。

 そしてナミミ様が選んでくれた記念すべき俺の初獲物は、スライムだった。

 それもプルプルと丸くコアがあるタイプだ。ドロドロぐちゃぐちゃ物理無効の方ではないのでよかったよ。


「どうですか? これを潰すだけの簡単なレベリングです」

「おお……これなら、これなら行けそうです!」


 そしていよいよ実際に狩ることになった。

 俺の手にはニンジンスピアー!

 目の前には、スライムをぎゅっと網タイツのフトモモで押さえつけて刺しやすいようにしてくれているナミミ様。捕まっているスライムに「おいそこ代われ」と言いたくなるが、そこと代わったら槍で刺されるから言わないでおく。


「落ち着いてくださいね。ゆっくりで大丈夫ですよコガネ」

「まさかそんなガッツリ抑えてくださると思ってなかった……手元が滑ってナミミ様を傷つけたりしたら怖いですね……」

「……ふふん。コガネのSTRで私のDEFが抜けるとでも? 今は82ですよね? バニースーツに傷ひとつつけられません。試してもいいですよ?」


 俺が遠慮なく槍を振るえるよう軽く挑発すらしてくるナミミ様。

 ここでやらねば男が廃るというもの……いざ! と槍を振りかぶった瞬間、ぶしゅ! ぱちぃん……!

 ナミミ様におさえていただいていたスライムは、俺が槍を刺す前に破裂した。


「……すみません、私の方が少々緊張していたみたいです。力加減を誤りました」

「あ、いえ? お気遣いなく……」


 スライムの弾けたドロドロの体液がナミミ様のバニーレオタードの股間を中心ににべちょっと付着している。

 なんというサービス。さすがナミミ様です! 一生ついていきます!


「このスライムは夏の水遊びにもよく使われるモンスターで、体液は安全なものなんですよ。化粧品の素材にもなったりします」

「あ、そうなんですね」


 ナミミ様はさほど気にすることなく2匹目のスライムを股に挟み、今度こそ俺がつっついて倒す。ずぶっとな!

 突いたところが穴となり、今度はそこからプシャア! と噴水のようにスライム体液が噴出した。


「きゃっ!……ああもう、顔にかかってしまいました」

「す、すみませんナミミ様!」

「いえ、謝らなくていいですよコガネ。ちょっと強く抑え過ぎましたね。むむ、調整が難しい。次、どんどんいきましょう!」


 と、ナミミ様は次々スライムを捕まえては股下に抑え込み、俺に槍で突かせてくれた。 夕方、日が落ちる少し前くらいまで。

 最終的にはナミミ様も押さえつけるのに慣れたのか、赤いハイヒールで優しくぐりぐりっと踏みつける形になっていた。スライムはきっと満足に逝けただろう、だってバニーガールの踏み踏みだぜ?



 ……ふぅ、と額の汗をぬぐう。ナミミ様のおかげで、俺はこの日のうちにLv3になった。





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