レベリング準備
「え? ドデカ白ニンジンの召喚に成功したんですか?」
「はい。……『ニンジン召喚』!」
早速俺はナミミ様に大根、ではなくドデカ白ニンジンの召喚をお披露目した。
お渡しすると、ナミミ様はがぶっと一口齧る。赤いバニー耳を揺らしつつふわりと微笑んだ。
「……間違いありません、ドデカ白ニンジンですね。なるほど、なるほど」
「? ナミミ様?」
「ああ、失礼しました。まさか一回見ただけでもう召喚できるようになるとは思っていなかったもので」
まぁ大根なら召喚される前の世界でたっぷり見覚えありましたからね、大根だけど。とは言わないでおく。
「他にも色々見せたくなりました。召喚できる種類が増えると有用性が高まりますね。レベル上げも急ぎましょう」
「承知しました。俺としても、思ってた以上に召喚の幅が広がりそうだと思ったところです」
なにせ大根が召喚できるのだから。いや、この世界ではドデカ白ニンジンだけど。
「まだ見ぬニンジン、楽しみですね!」
笑顔が大変素敵なナミミ様によって、モンスターを相手にレベリングをすることが決まった。
そういやこの世界、バニーなだけでなくLvとかもあるファンタジーな世界だし、俺もニンジンを出す以外の魔法が使えたりするんだろうか?
「コガネは召喚前はどのようなモンスターを狩っていましたか?」
「……いや、そういうのいない世界でしたね。そしてウチの国は一般人が野生動物と会うことも
「ああ、だからLv1だったんですね」
そういう話なんだろうか? この世界に来た時点でLvとかのシステムを付与されたのなら、日本で猟師だったとしてもLv1の可能性は高いはずだ。
……ああ、違う。逆か。Lvシステムのあるこの世界しか知らないナミミ様から見れば、日本にもLvシステムがあると思ってもおかしくない。
断じて俺が怠けてたからではないという弁明と共に説明しておくと、やっぱりナミミ様は日本にもLvやステータスがあるものだと思っていたらしい。
「ってかんじで、ウチの世界はLvとかステータスがなかったんですよ」
「……Lvやステータスがなくてどうやって就職とかするんですか?」
「なんかこう……面接や試験とかで、人柄とかを見て判断、みたいな?」
「毎回ですか? 不便ですねぇ」
こちらはステータスである程度判別できるので、数値で向いてるかどうかとかがある程度分かるらしい。便利だねぇ異世界。
「じゃあレベル上げのための獲物は虫系のモンスターがいいですか? 少しでも慣れている方が良いでしょうし」
「いえ! デカい虫とか多分近づきたくない……あ、でも殺すのは確かにそっちの方が抵抗はないかも……? いや、釣りとかで魚の方がいいかも……?」
うう、どちらにせよ現代っ子には殺生はキツいぞ?
「……槍を用意しますので、頑張りましょうねコガネ!」
「が、頑張ります……」
この世界で生きるために、覚悟を決めよう……!
「ちなみにこちら、兵士の標準装備のひとつ。ニンジンスピアです。これは召喚できますか?」
「ええと……試してみますね。『ニンジン召喚』!」
そして俺の手元に、ニンジンモチーフの鉄製出刃包丁を先端に括り付けたような少しファンシーな槍が現れた。ナミミ様の手にもっているものと寸分同じ槍だ。
もうニンジンって付いてればなんでもいいのかよ
「出せちゃうんですねぇ……なるほど、なるほど」
「もう訳が分からないんですけどこのスキル」
まぁでも、面白いものが見れたとナミミ様が上機嫌に笑っていたのでヨシ!
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(ComicREXで別作品「あとはご自由にどうぞ!」のコミカライズがスタートしました!(絵:かんむり先生)
紙の雑誌にコミカライズが連載されるのは初めてですわ!!
おにまい と一緒に雑誌に載ってるとか感動ですわね……!
レビューコメントいただきました!! 嬉しいです、ありがとうございます!)
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