第2話 美少女、荒川真昼の勧誘
俺は今日、美少女に出会った。まるでアニメのような…。
朝のHRが終わり、みんなの自己紹介が始まる。俺が1番最初じゃなくてよかった…!1番目の人は……あ、あの美少女だ。どんな名前なんだろう…! どんな趣味なんだろう…! どんな声なんだろう…‼
「荒川(あらかわ) 真昼(まひる)です。趣味は人間観察、ボードゲームです。よろしくお願いします」
彼女の自己紹介が終わった瞬間、辺りの男子が少しざわつき始める。
「めっちゃ可愛くね?」
「うおっ! どタイプだ!」
「狙っちゃおっかな…!」
みんな狙ってんのか…! まぁ可愛いから仕方ない。てか趣味人間観察ってなに!?
それから順番に自己紹介をしていき、次は俺の番だ。緊張する…。
「えと…高城巧です。……趣味はゲームです…。よろしくお願いします…」
他の人が自己紹介した時は賑やかになるのに、俺のときは拍手と先生の声のみ。やめてくれ。俺のメンタルはボロボロだ。
なんやかんやあって自己紹介は無事終わった。俺は心は無事ではないけどな。そして今日はこの後、部活見学がある。この学校、部活は自由制で入っても入らなくても大丈夫なのだ。ちなみに俺は部活に入ろうと思う! もちろん…文化部ではない。運動部だ! すごいだろう…。いいだろう! (運動は全くできない)
荷物をまとめ、席を立った瞬間、目の前に女性の姿が。長い黒髪にクールな目…あ、あの人か…!
「あなた…高城巧さん…でしたっけ?」
「え、あ、はい…」
何その目! 怖すぎるよ!
「その…もし良かったら部活入りません?」
「へ?……部活?? なんの…?」
「き、帰宅部…」
何言ってんだこいつ。帰宅部は入るもんじゃないだろう。
「帰宅部には入りません……俺は運動部にでも入ろうかと…」
「じゃあお金をあげますわ。それだったらどうです?」
金!? この女…金で人を釣ろうってかぁ…! いやまて、最近ゲームに課金したいと思っていたんだ…。入ってもいいかも! てか帰宅部に入るってなに? …でもお金貰えるんだよね……?
「は、はいります…」
「本当ですか!? では行きましょう!」
「うん。……行く?」
一瞬、彼女が不気味な笑みを浮かべているのを俺は見逃さなかった。俺は言われるがまま、彼女についていく。どこに行くんだ?
1年の教室がある2階から、4階の3年の教室の方まで向かう。そして着いたのは4階の端っこにある空き教室。
「…なんで4階まで?」
「ここが帰宅部の部室だからですわ」
え、マジで帰宅部があるの? 説明が足りないよ! 彼女は教室のドアを開き、中に入る。中は意外に綺麗で、机と椅子が真ん中に5つ向かい合わせに置いてあった。俺達は近くにある席に向かい合わせで座り、荷物を床に置く。
「あの、これどういうこと?」
「そういえば、説明がまだでしたわね。ここは帰宅部の部活ですわ」
「それは分かってる。俺が聞きたいのは…帰宅部ってなにってこと」
「あ、そうですよね! 帰宅部っていうのは…いわゆる遊ぶ部活です!」
何その部活。
「色々するらしいですわ。ババ抜きやオセロや鬼ごっことか」
なにそれ楽しそう。でも帰宅部って部活入ってない人のこと言うよね…? じゃあここは部活入っていない人みんな入ってるってことなのかな?
「帰宅部の部員って…」
「私たち以外に2人いますわ」
「じゃあ4人しかいないんだ! ……えっ私たち!?」
「なにか問題でも?」
大問題だよ!!
「そもそも…入るって……言って………!」
何分か前の俺…入るって言ってた。…そうだ! 俺は金で釣られたんだ…この人に……!!
不思議と彼女は満面の笑みである。やらかした…。今頃バスケ部の見学に行って先輩たちに「おい! こいつうますぎる!」「もうこいつがキャプテンだ!!」って周りから褒め称えられてたはずなのに……!!
しかも今更やっぱり辞めますなんて言えないよ…! 言ったら「ぶっ◯しますわ」って脅されるに違いない!!
「ねぇ…なんで俺なんかを誘ったの? しかもお金あげるなんか言って…」
「仕方なくですわ。だって他の人に勧誘しても逃げていくんですのよ? お金を出しても来てくれないし…」
「なるほど…」
汚いな、この女。でも、それほどまで帰宅部に勧誘する意味ってなんだろう。
「そのー勧誘する理由は?」
「この学校、部活は部員が5人以上いないと廃部になってしまうんですの。だから私が姉さんのために頑張って勧誘しているのです!」
「へ、へぇ〜。……姉?」
「あ、言ってませんでしたわね。私には1つ上の姉がいるんです。多分もう来ますわ」
「来る…?」
その瞬間、教室のドアが開く。俺はゆっくり振り返る…。小さな人影、それは……!
ーーーつづくーーー
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