帰宅部には女子が多すぎる!

@chen-hirai

第1話 陰キャ、高城巧の目標

4月。4月になれば皆、環境が変わる。学生は進級したり、入学したり、はたまた入社したり…! ちなみに俺は入学の方だ。


高城 巧(たかしろ たくみ)。俺の名前だ。この4月から高校1年生。そんな俺にはとある目標がある。それは…『アニメみたいな青春を謳歌する』ことだ! 中学の時は陰キャすぎて部活にも入っていなかったし、女子とも会話できなかったし、友達あまりできなかったし…! だがら俺は高校に入って、人生を変えるんだ! 高校デビューして、彼女を作って、友達いっぱい作って……。あゝ妄想が膨らむ。

俺が選んだ高校は家から家から自転車で20分くらいのところにある公立高校だ。偏差値は一般的、学校の立地も構造も悪くはない。そして今日は始業式だ。高1の1学期が始まる! 可愛い子いるかな〜。ウキウキしながら自転車を漕ぐ。

学校につくと、そそくさと自分の教室へ向かう。自分のクラスは1年Bクラス。出席番号は17番。自分の席を確認し、スクールバッグを机の横に引っ掛ける。そして、辺りをチラチラと見渡す。


「あれ……?」


真後ろから、なにか聞き覚えのある声が…。後ろを振り返った瞬間、1人の男と目がバッチリ合う。


「……ゲッ!」

「あ、お前って確か…中3の頃2組だった…高井だ!」

「高城です」

「あれっ?」


なに名前間違えとんじゃ!! てか、こいつなんでいんだよ!! 同じクラスなのかよ!


「俺のこと覚えてるー?」

「え、え〜と…笹園(ささぞの)さんだっけ…?」

「そ! てかさん付けすんなって! 友達だろ!!」


友達なんだ。こいつの名前は笹園敬太郎。中3の頃、隣のクラスだった陽キャだ。なぜかよく俺に話してくるのであまり好きではなかった。陽キャは敵敵! 


「ま、同じクラスなんだか仲良くしようぜ〜」

「お、おう…」


俺は笹園に向かってグッドサインを出し、変な笑みを浮かべる。笹園は軽く手を振りながらどこかへ行く。

ポケットからスマホを取り出し、ゲームを起動する。学校まで行ってなんで俺はゲームなんてしてるんだ? どうせなら女子に話しかければいいのに…! スマホの画面を暗くし、自分の顔をじっと見つめる。前髪を少しいじってみたり、表情を変えてみたり。


「俺、何やってるんだろ……」


ふと、右斜め上を見る。そこにはちょうど今来た1人の少女が…。


「かわ…いい…!」


ーーーつづくーーー

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