閑話 猫ちゃんず①ショコラ(ココア)

チョコレート色の猫のココアの棲家は、住宅地にある一軒家。

ここでは、「ショコラ」と呼ばれている。

チョコレート色だから。

本人はどうでもいいと思ってる。


朝、ショコラはご主人様が起きてもまだ寝てる。ご主人様がジョギングから帰って来るころにゆっくりおきてご飯の催促をする。


「にゃ〜ん」「ショコラぁ〜」ショコラにご主人様はメロメロだ。


「はーい。朝ご飯はカリカリブレンドだよー。」

ショコラは「ニャゴニャゴ」と食べる。

「カリカリ変えてから食べるようになったね。美味しいかい?」そう言いながら頭をなでる。


「さてと、時間だ。お留守番たのんだよ。行ってくるねぇー。」「にゃーん。」ご主人様は名残り惜しそうに出掛けて行った。ショコラは玄関までお見送りをする。バタンとドアが閉まると、ショコラの時間の始まりだ。


今日は、この間見つけた鳥の巣を見に行こう。

卵はもう孵ったかな?


2階の小窓から外に出る。

ご主人様が換気の為にいつも開けているが

ショコラが出入りしているとは思っていない。


天気いいなぁ。

あの森は涼しいから行ったらお昼寝したいな。


道を歩いていくと向こうから黒猫が歩いて来る。

「こんにちはー黒いのさん。」

「こんにちはー茶色いのさん。」

「どこ行くのー?」

「僕は川の方に行くんだー。」

「僕は森の方。」

「暑い日は涼しいところはいいよね。」

「そうだよねー。じぁー行くね。またねー」

「またねー。」

そう挨拶をして別れる。

これを人間が聞いていたら「にゃーんにゃーん」としか聞こえない。


森の奥、この間見つけた鳥の巣が見えるところまでやって来た。

親鳥らしき鳥がエサを運んでいる。


あーツバメさんだー。卵孵ったんだね。

ツバメさん、雛ちゃん達をみーせーてー。

おねがーい。絶対に食べないからさー。


ショコラはいつもご主人様からご飯をもらっている為、「野生の食料」は食べない。


ちっちゃいねー元気だねー可愛いねー

ツバメさん、時々会いに来てもいい?


食べない約束で了承してもらった。

そして、雛達の巣立ちまで通い続けた。


後日、このお気に入りの森でショコラは紫色の羽がついた小さな人間?に会う。

これが、初めて虹の妖精との出会いとなる。


森でたくさん遊んで棲家に帰る。

家に入る前には入念に身体を舐めて毛を整える。


そろそろお腹減ったなー今日も遅いのかなぁ。

リビングのソファで帰りを待つ。

鍵のガチャガチャの音の後、ドアが開く。

ご主人様だ!

ショコラはご主人様の所へ走って行く。


「ただいま〜ショコラぁ〜お出迎えありがとうねぇ〜寂しかったかい?」


ぜんせん寂しくなかったよ。

森で雛達とお話してー

散歩して遊んでいたからね。

それよりご飯まぁだ〜。


「にゃーん。にゃーん。」

「そうかそうかー寂しかったのかー。今日はジュール買ってきたからねぇ。後であげるぇ〜。」そう言いながら抱き上げる。


ご主人様はソファでショコラを膝に乗せナデナデしながら今日の出来事や仕事の愚痴を話す。

「いつも話しをきいてくれるのはショコラぐらいだよぉ〜。」そう言いながら顔を近づけてスリスリする。


「はぁ〜仕事辞めたい。辞めたらどんなに楽だろう。でも...仕事辞めたらショコラの為に買ったこの家のローン払えないし、ショコラにご飯買ってあげれなくなるな。そうしたらショコラと一緒に暮らせなくなっちゃう。」


それはマズイ。非常にマズイ。

こういう時のご主人様には.....。

「にゃーん。にゃーん。」「ゴロゴロ」「スリスリ」


「そうだよねぇ〜一緒にいたいよねぇ〜。僕はショコラの為に仕事頑張るよぉ〜。」


そうだよそうだよ。仕事は行かなきゃ。

そして僕にご飯買ってよね。


そして夜はご主人様とベッドで寝る。

「ショコラだーい好き。おやすみ。」


ショコラは思う。

ご主人様は「特別な人間」といわれている人間ではない。普通の人間。

でも僕にとっては「特別」さ。


仲良しの一人と一匹の一日が終わる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ショコラのご主人様


普通の家庭の三男末っ子。甘えん坊だが、

外では某会社のバリバリの営業マン。

ショコラにメロメロ

もうすぐ係長になる予定 

同居人無し 独身


[ココア]……紫の妖精の加護をもつ

チョコレート色の毛、グリーンの目 男の子

・ゆめちゃんがつけた名前…チョコレート色だから「ココア」

・本当は「ショコラ」…チョコレート色だから ご主人様がつけた

・お気に入りの場所…森で遊ぶのが好き

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