第3話 カイザーとキャロライン 来世でも一緒

今日から連休じゃぁー。

とはいえ2日だけなんだけどね。

私の仕事はサービス業。どんなお客様にも大嫌いな上司にも嘘つきな同僚にも笑顔で対応していますぅ。心の中では罵詈雑言の嵐が吹き荒れる。我慢我慢。この我慢は我慢手当として給料に入ってるはずだから?割り増ししてほしー。

そして我慢と共にストレスは溜まっていく。そして身体にも精神にも余裕はなくなった。

そろそろ癒しがほしい。


夏の日差しが強い。暑いなー。

今日はどの癒しが来てくれるかな?

白猫のミルクだ。ミルクは真っ白で少し毛が長い。目はブルー。お鼻がピンクでとってもキュート。性別は不明。


ミルクの後ろには今日も白いモヤの塊が。

また連れてきた。

何やら桜の下でモヤとお話をしているようだ。

するとモヤが光った。だんだん人の形になっていく。これには慣れた。今回は男の人だ。

少し長めの金色の髪を青い紐で後ろでしばって、赤い瞳だ。目鼻立ちはよろしく背が高くガッチリした体型の美丈夫だ。20代半ばぐらいかな?白い正装?騎士服?耳にはブルーのピアスをしている。腰には長いシルバーの剣を携えて。剣の柄にはブルーとレッドの宝石らしき物が着いている。

それって銃刀法違反じゃないですかね?

手に赤いバラの花束を持ってる。

騎士様はミルクちゃんを抱いてこちらにゆっくり歩いて来る。

私は緊張した。だって剣持ってるし。


「少しこちらで待たせてもらえないだろうか?」

「ど、どうぞこちらに掛けてお待ち下さい。」

テーブルセットへ促した。

「お茶お持ちしますね。」

「ありがとう。」

この間買った紅茶をだそう。お菓子はーそうだクッキーがあった。ミルクは煮干しでいいね。

お茶とお菓子を出すと美味しそうにモグモグ食べた。男の人のモグモグは以外とかわいい。

これも癒しだわ。


「貴方も虹を渡るのですか?」

「そうです。約束ですから。」

「無事に虹がでるといいですね。」

こんなに晴れてるから虹出ないんじゃない?

「虹は必ず出るとこの猫が言っています。」

「猫が言ってるんですか?」ミルク話せるの?

「申し遅れました。私はカイザーといいます。」

「私はゆめといいます。」

「ええ、存じ上げています。」

わぁ...この人も名前知ってるぅ〜なんか怖い。


このカイザーさんは騎士として活躍した人。生まれは平民で苦労して聖騎士団長にまでなった。うんうん見た目そんな感じ。

持っている剣は聖剣で教会から与えられた由緒ある剣。聖剣をもつ聖騎士は未婚でないといけない。どうしても結婚するときは聖騎士を辞めないといけない。それは、結婚したら聖剣が使えなくなるから。

厄介なヤツ与えられたもんだね。

カイザーさんは好きな人がいたんだけど聖騎士になる前にその人が亡くなってしまった。相手の人は修道院でシスターをしていたキャロラインという人。彼女はとても美しく優しい人なんだって。 顔赤いよカイザーさん。

キャロラインさんが病気で亡くなったときは、とても悲しかった。亡くなる時、二人が天国に行ったら結婚する約束をした。カイザーさんは寿命が尽きるまでキャロラインさんのことを忘れずに生涯独身を貫いた。

ふーんこの話ってなんか知ってるなー?


急にミルクが「にゃーん。にゃーん。」と鳴いた。雨がザーッと降ってすぐにやんだ。

それから、お日様が差してきて、桜から空に向かって虹が出た。

すると桜の横で白いモヤの塊が現れて人の形になった。今度は女の人だ。パールのような艶のある白く長い髪、ブルーの瞳で大きな目。女神のような微笑みをたたえた綺麗な人。金色に光るドレスを着て胸元には赤い宝石がついた金のネックレスをしている。

うぉっ!眩しい!


「カイザー。やっと逢えた。」

「待たせてごめんね。キャロライン。」

「私たちやっと一緒になれるのね。」

「そうだよ。愛してる結婚しよう。指輪を用意してきたんだ。」ポケットから赤いケースと手に持っていた花束を差し出した。 

「わぁ嬉しい。ありがとう。私も愛してる。」

わぉ。プロポーズや!!

「すぐに結婚式をしよう。」

「はい。」

「さあ、行こう。」

二人は手を繋いで桜に向かって歩く。

「お世話になりました。」そう言って微笑みあいながら空に向かって虹を渡って行く。


「お幸せにー」私は手を振って見送った。

ミルクも「にゃーん。にゃーん。」と鳴いた。

虹が消えるまで。


今度は忘れ物は無いよね?椅子の方を見て確かめた。無かったー。よしよし。

虹が消えるとミルクは行ってしまった。


夕方、パートナーが帰ってきた。

今日のご飯はーそうめん大盛りで。

デザートはりんご。

食後のお茶はつめたい麦茶。

お茶を飲みながら一日の話をする。日課だ。


忘れ物は無かったことやあの剣は少しビビったとか白い髪の人初めて見たとか。

「あれは、絶対に銃刀法違反だわ。」

「剣抜いたの?カッコよかった?」

「抜いたら逃げるっす。」

「いつも思うんだけど逃げ足だけは速いよね。」

「あーそれ良く言われる。普段はゆっくりだけど逃げる時は俊足だって。」

「普段は豚足とか?あっ違った。鈍足ってこと?」「....,」わざとだろそれ。返事はしない。

気を取り直して話を変える

「そういえば結婚式するっていってたよ。」

「ふぅーん。僕たちは?」

「しなくていいよ。」

「なんでよ?」

「こんなじゃドレス着れないしぃー。面倒くさそうだし。」

「僕ね、そろそろ真剣に言おうと思ってたんだー。」

えっ!ドキドキ!!なんだろ顔が熱くなる。

「痩せなさいって。」

「チッ!」舌打ちが出てしまった。


また夢を見た。

あの二人が白いチャペルで結婚式をしていた。

指輪の交換はあの指輪だ。赤い石がついた指輪はキャロラインに。青い石がついた指輪はカイザーに。お互いの色だね。

式が終わって外に出る。チャペルの外は雲の上だ。羽がつい小さな天使が飛んでいる。

おぉ天国や!ここは天国や!

私はなぜか持っていた花びらを二人にかけた。

「おめでとう。」

「ありがとう」

「よかったね。」

「私たち来世も一緒になるの。また、約束したのよ。」

「そっかぁ。幸せになってね。」

「ゆめちゃんも幸せになってね。」

「うん。頑張る。」何をって?

まずはダイエットかな?


そこで目が覚めた。

今日も休みだから二度寝しちゃおう。

ムニャムニャ.....。

午後からパートナーと買い物行ってー

パンケーキとアイス食べてー。

あっ!!ダイエット!!

まっいいかー明日からで。

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