第8話 パパ活女子のネットニュースを見る。

 私がツイッターのタイムラインを見ていたときのこと。


『目も当てられない! パパ活女子の悲惨な末路』


 そんなタイトルのネットニュースが目に飛び込んできた。


「ん、パパ活女子?? 悲惨な末路??」


 普段、ネットニュースなんてどうでもいいが、興味をひかれタップしてみる。


「なになに」


『――若さを引きかえに金銭を得てきたパパ活女子たちであるが、その武器もやがては通用しなくなる。下に見ていたはずの男たちからソッポを向かれ、パパ活から足を洗わざるをえなくなる時がくるのだ。だが、焦燥感を覚えたところでもう遅い。社会の基礎など碌に学んでこなかったパパ活女子に、一般社会で生きていく手立てなど残されているはずもない。低収入だと嘲笑ってきた同世代の女性たちは、コツコツと地道にキャリアを積み重ね、相応のステータスを手に入れている。それを羨ましがったところで、今更、同じ舞台に立つことはできない。残された道はただ一つ。ひとり虚しく路頭に迷うことだけだ。その様はまさに“悲惨”の一言に尽きるだろう』


 やや身に覚えがあり、苛立ちを感じた。


「なんだこれ!?!? ボロクソ言いやがって!!! こんなのネットで垂れ流してんじゃねぇぞ!? 本人が見たらどうすんだ!!」


 どうせ書いたのジジイだろ。文章がクセェんだよ。顔でも見せろや。そう思った私は記事を下の方までスクロールした。


 やがて執筆者のプロフィールが現れる。名前、経歴、顔写真。


「ふん、思った通りだな。ん? ××大学名誉教授? くそがっ! 自分の人生安泰あんたいだからって調子にノってんな!?」


 髪を野暮ったく伸ばした眼鏡のおっさんが、年季の感じるブラウンのスーツに身を包みながら、安楽椅子に体を預けて微笑ほほえんでいる。


「なんだこの『ボク全てを見通してますぅ〜』みたいなツラは。舐めてんじゃねーぞ」


 有名大の名誉教授というたいそうな肩書きをたずさえ、余裕の表情だ。


「てかコイツ、よく見たら、時々ふらっといてくる説教おぢみたいな身なりしてんな。アイツらはマジでなんなん? 説教されるべきはお前の間違った人生だろ。何をすれば娘ぐらいの女に手を出すルートになる? このお偉いジジイはそっちを研究しろよ。私が手作りノーベ×賞手渡ししてやるよ。取りに来い」


 それにしても自分の発言にSNSなどで文句が来たとしても一切受け付けなそうな雰囲気をしている。


 バリバリの上級シールドで分厚く心を保護していそうだ。


「おい、タツオ。顔と名前は割れてんだからな。余裕ぶっても無駄だゾ。とりあえずムカつくからお前は丑の刻参りコース決定っなッ⭐︎」

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