第2話 仕事に応募する。
私はベッドの上に寝転がり、スマホで求人サイトを閲覧していた。
それが優良サイトなのかは分からない。
ただ検索で『正社員』『就職』と打ち込んで出てきたものをテキトウに開いただけ。
全てが行き当たりばったりな私にはちょうどいい。
「まずは勤務地選択かぁ。手っ取り早く現在地周辺から探すかな。――いや、いっそのこと東京出るか? どうせゴミみたいな思い出しかねぇし。金かかるし。部屋代とかフツーにバグだもんなぁ」
私は頭の中でアレコレと考えた。
(東京の次に都会といえばやっぱ大阪かな。……でも帰りたくないな。いろいろあったし。その次ならたしか名古屋、福岡あたりか? それ以降はよく分からん。知名度ないのが悪い)
私はそれなりに都会だからというアバウトな理由で、名古屋で仕事を探してみる事にした。
「は? 地方を選択しろ? 名古屋って何地方だよ。てか何県? なんでいきなりクイズさせられてんだよ」
私は新しいタブを開いて軽く名古屋について調べてみた。
「愛知かよ。存在感なさすぎて分からなかったじゃねーか。名古屋以外の地域はちゃんと息しとけ」
それから私は雇用形態を選択する欄で『正社員』にチェックを入れて検索ボタンを押した。
――48,5783件の求人が見つかりました。
「なんかとんでもない数字出てきてね? えーと? いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん……48万!?」
何十万もの企業の群れがワラワラと手を伸ばしてくる様子を私は想像した。
「3番手の地方でこれなら東京は100万とかいくのか? 東京ドーム何杯分だよ」
とにかく、よりどりみどり。
私はお菓子の掴み取りを前にした時のような気分で求人に目を通し始めた。
◆
「あーくそっ! 多すぎて何がなんだかわかんねぇ!」
選択肢がありすぎるのも考えものだ。
私がスマホを投げようとしたその時――。
『人材コーディネーター/未経験OK!/頑張り次第で高収入も可能!』
(ん? なんかかっこ良い響きのやつあるじゃん。ファッションコーディネーターの人バージョン的な? いや意味わからんな)
ひとまず応募してみるか。他に探すのも面倒くさくなってきたし。私は軽い気持ちで応募画面に進んだ。
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