(地雷系&メンヘラ)パパ活女子。何も知らずに人材派遣会社の営業になる。

雪屋敷はじめ

第1話 パパ活を卒業する。

「なんだよ、ぴゅあぴゅあ銀行券って!!! 舐めてんのかテメー!!!」


 グシャ。


 少しラグジュアリー感のあるラブホテルの一室。


 私は力任せに”ぴゅあぴゅあ銀行券(10000)”を握り潰した。


 どう見てもおもちゃ。


 それと一緒に茶封筒に入れらていた紙切れを開く。


『ばーか。お前みたいなババアが本当に10万も貰えると思ったか? 少しはおかしいと思え。お前みたいなピュッア()にはお似合いだろ笑笑。これからも底辺這いつくばって生きてけよバ×女』


「くそが!!! 冷やかしガキとドタキャン野郎の次は詐欺おぢじかよ!!! マジで×ねよ!!!」


 大人ありの高額案件のパパ活でカモられた私は、イライラしながらベッドの上に全力で背中から倒れ込んだ。


「しかもわざわざ後払いの高い部屋連れてきやがって。ホテル代どうすんだよ」


 やはり場末ばすえ臭のぷんぷんする底辺パパ活掲示板など手を出すものではなかった。


「化け物としかカチ合わねーってどうなってんだよ。ブチ×すぞ管理人。お前がお手当補償しろ」


 その時、おもちゃの1万円札に印刷された肖像画のおっさんと目が合う。


 徳川家康のパチモノのような顔で微笑んでいる。


「誰だよこのタヌキ。偽札にふさわしい顔しやがって。見てるだけで金運落るだろうがアホンダラ。代わりに諭吉か渋沢なんとか(?)呼んでこい」


 私はイライラがおさまらない。


(そういや渋沢なんとかもウサンクセー顔してたな。そもそも何者だ?


 ま、私みたいな一般人が知らない時点でどうせ大した奴じゃねーだろ。秀吉あたりのレベルになって出直してこい)


 はぁ。私をため息をつきながら6灯のシャンデリアを見上げた。


「やっぱり諭吉しか勝たん! 意外とイケオジだしアイツ。いやイケ爺か?」


 これまで私はお金持ちが多いと評判の質の高いパパ活アプリを主戦場に、パパ連中からお手当を巻き上げてきた。


 しかし、ここのところ受けが悪い。なかなかマッチングが上手くいかない。


 そうなれば当然、お手当が減る。


 ただでさえ何をするにもお金がかかる東京という街で、パパ活頼みの生活を送っている私にとってそれは死活問題。


 ランクの低い場所に移れば無双できると思っていたのに――。


「もういいわボケ! どうせパパ活なんていつまでもやるもンじゃねェんだよ。安定した昼にでもいってやる。フウも2度とやるか。なにが悲しくて性病ジジィや勘違いクソガキの×××、××なきゃいけねーんだよ。こっちは繊細な乙女だぞ。ぶっ壊れるだろーが」

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