第34話 勅使河原先輩からのアドバイス
「...もしもし?」
恐る恐る電話をとる。
それは勅使河原先輩からの電話だった。
『...もしもし』
か細いその声に耳を傾ける。
まさかの突然の電話に心がざわつかないわけがない。
正直、怖い方が勝っているが...。
少しの沈黙が流れて、勅使河原先輩はこう言った。
『ごめん、国見。嫌なこと言って。本当は...国見が悪いなんて全然思ってなかった。けど、ああいう態度を取れば...国見が私のことを見捨てずに...ずっとそばにいてくれると思ったから。国見の罪悪感を利用した。私は...私は最低...なの。本当にごめん』
突然のそんな言葉に俺は驚きを隠せなかった。
「いや、俺は全然大丈夫です...。けど、俺が悪くないなんてことないです。でしゃばって、調子に乗って...結局...勅使河原先輩を傷つける結果になったのは間違いないですから。それでも...もし勅使河原先輩が許してくれると言うなら...俺はもちろん嬉しいです。何か俺にできることがあればなんでも言ってください」
そういうと、電話の奥から少し啜り泣くような声が聞こえた。
「...ごめっん...ッ...」
「謝らないでください」
それからたくさん話をした。
最近あった面白いこととか、学校での出来事とか、できるだけ明るい話をたくさんした。
すると、勅使河原さんも楽しそうに相槌を打ってくれた。
『...そっか、国見は元気にやってるんだね。安心した。学校に行くとかはすぐには難しそうだから...しばらくは様子見って感じだけど。私なりに何か見つけられたらなって思ってるから。だから、少し待ってて』
その言葉を聞いて俺は安心した。
勅使河原先輩が前を向こうとしていたことが嬉しかった。
「はい。待ってます」
◇
「...ふーん?そっか。てっきりどっちかと付き合ってるかと思った」
「...ごめんなさい」
「謝らなくていいから。別に私も付き合えると思ってなかったから。あくまであれは私にとっての儀式みたいなもの。気にしなくていいよ」
勅使河原先輩の告白を俺は断ってしまった。
俺の中ではやっぱりあの2人の存在が大きかった。
そう思うなら早く決めるべきというのは重々承知なのだが、なかなか決められずに居た。
断った後のこととか、いろいろ考えて...。
「どっちとエッチしたいと思うの?」
「...はぁ!?//いや!?//そ、それは...//」
「大事なことだと思うよ。理性より本能。判断基準の一つとしてはありありのありだと思うけど」
「...ほ、本能って...」
そんなことを言われたせいで頭の中がピンク色に染まる。
「...あの、私の前でそんな間抜けな顔しないでくれる?」
「...ごめんなさい」
「...性格とか相性とか気持ちが五分だと思うなら、そういうので判断するしかないと思うけどね。ちなみに私の見立てでは雪花は隠れど変態だと思うよ。付き合ったら大変だけど、そういうのは好きだと思う」
年上の女子からそんなことをアドバイスされる俺って...。
それからも勅使河原先輩からありがたいアドバイスを受けるのであった。
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