第30話 スク水の夢

「...そう。一件落着したのね」


「...悪い。その...報告が遅れて」


「別にいいわ。怒っていないと言えば嘘になるけど」


「...それで?その格好は何?」


「...何って...スク水よ。てことで、お風呂に入るわよ」


 そこに立っていたのは俺の部屋でスク水になっている雪花だった。


「いや、意味がわからないんだが!なんで、雪花がスク水を着ていて、尚且つ俺と風呂に入るんだよ!」


「...意味?そう、意味ね。そんなものはないわ。それにあなたに拒否権はない」


 そうして、お風呂場に連れて行かれる。


 そのまま流れで服を脱がされる。


「...なんでこんなことに」


「いいじゃない。どうせ、私や莉来のことを想像しながら毎日してるんでしょ。この変態」


「いや!してないから!」


「しなさいよ」と言って、タオルで強めに背中を擦られる。


「いったぁ!!」


「あら、いい声で鳴くじゃない。豚のくせに。これから私がもっと気持ちいことをしてあげるからね?」


「なぁ!?//や、やめろー!!」



 ◇


 目を覚ますと...土曜日の朝でした。


 はい、残念。先ほどのは全て夢です。

いや、そりゃ分かってたよ?雪花がそんなことするわけないし...。

とはいえ...あの後のことを想像して、ちょっとだけ興奮する。


 が、夢というのは経験していないことを見れないというのがある。

なので、死にそうになった瞬間、目を覚ますのはその感覚を知らないからであり...童貞の俺は少なくても相手がいる場合の性の快感を知らないため、あそこで強制終了させられたということだろう。あぁ、情けない。


 そうして、ダラダラしながらカーテンを開ける。


 はぁ...眩し。

...でも雪花にはちゃんと話さないとだよな。


 ということで、連絡してみることにした。


『今日暇だったりする?』7:30


『えぇ。偶然暇よ。何かしら?』7:31


 相変わらずの返信の速さだ。

一回未読無視されたかもと思ってから、返信速度が明らかに早くなってる気がする。


『遊ばない?』7:33


『いいわよ』7:33


 そうして、うちで遊ぶこととなった。

ちなみに今日見た夢の話をすると『馬鹿じゃないの?』と、言われた。


 朝から浴びる罵倒は堪らないぜ。



 ◇13:00


「時間丁度。流石だな」


「えぇ、まぁ。お邪魔するわ」


 そうして、俺の部屋に入る。


「...それで?遊ぶって何するの?」


「いやー、特に決まってないんだけどね...。なんか映画で見る?俺、名作洋画集めるの好きでさー」と、棚からいくつかの映画を取り出す。


「...本当に名作ばっかね。流石に全部見たことあるわ」


「これは?」


「...あぁ、それは見たことないわ。ホラー系はあんまり見ないのよ」


「もしかして苦手とか?」


「決して得意ではないわね。見れないほどではないけど」


「...怪しいな。本当は『きゃー!』とか言っちゃうタイプとか?」


「そんな風に見える?」


「...見えないな」


 そうして、そのままホラー映画を見始める。


 まぁ、家で見るホラー映画なんて、音量も調節できるし、小さいスクリーンでは怖さ半減だもんな。


 そう思っていたのだが...。


『...ぎゃー!!』という女性の悲鳴で、ビクンと体が反応している雪花。


 ...もしかして無理してる?

本当は怖いの苦手なのか?


「...見るのやめとく?」


「な、何の話?私は...別にどっちでもいいけど」


 明らかに無理してるな...。

そんな彼女をちょっといじめたくなったわけだが、「...そっか。じゃあ、やめとくか」と、お世話になっていることもあったので、そのまま止める。


 こういう時に素直になれないのはかわいいなと思った。


「...トイレ行ってくるわ」


「うん。トイレは2階にないから1階に降りて、玄関近くにあるから」


「...分かったわ」


 そうして、部屋を出て、階段を降りていく音が聞こえる。


 そんなタイミングで何となく彼女のカバンを見ると、何かひもらしきものが飛び出ていた。


 何だあれ?


 ちょっと近づくと、何となくそれが何かを察する。


「...嘘だろ?」


 そう思っていると、急いで階段を上がる音が聞こえてきて、カバンから目を逸らす。


 そうして、勢いよく扉が開く。


「い、今!く、く、く、黒い影が!!いたの!!」と、少し幼稚な言葉遣いになるほどに焦っていた。


「...黒い影?」


「だから、と、トイレ行けなかったの!」


「...ちょっと落ち着こうか。まぁ、あれならトイレまで着いて行くよ」


「あ...う、うん...お、お願い...」と、ようやく自分を取り戻す。


 そうして、一緒にトイレに向かい、俺は扉の前で待つ。


 すると、5秒に1回くらいのペースで「...いる?ちゃんとそこに居る?」と聞いてくる。


「おう。居るぞ」


「...そう。ねぇ、やっぱ中に入ってくれない?」


「入らねーよ!//」


「...そ、そう。でも、なかなか...出なくて」


「安心しろ。1時間でもここで待っててやるから」


「...うん」


 それから結局15分ほどその場所に居座るのであった。


 そうして、俺の服の裾を掴みながら階段を登る。

どんだけ怖がりなんだよ。


 それから部屋に戻るとお笑いの動画を見ることで、何とか雰囲気を変えることに成功した。


 まさか、雪花にこんな可愛い弱点があるとはな。


 そういえば...。


「...なぁ、カバンの中に何入ってるんだ?」


「え!?//...べ、別に...何も...//」


「...さっき、紐みたいなのが出ていたんだが」


「見たの!?//」


「...まぁ、見てはないけど。何となく何かは分かった。けど...どういうこと?」


「ど、どういうことって...//だって...夢で見たって言うから...//着ろってことかと思って...//」


 そう、カバンの中に入っていたのはおそらくスク水だった。


 夢でそんなのを見たとは言ったが、本当に持ってくるとは...。


「...着てくれって言ったら...そ、それは...//」


「...じゃあ、お願いします」


「...わ、分かったわ。じゃぁ...後ろを向いてなさい」


 え?ここで着替えるの?


 言われるがまま後ろを向く。

すると、服を後が聞こえてくる。

布が擦れる音、スカートが落ちる音...。

生々しい。


「...い、いいわよ//」


 振り返るとそこにいたのは夢より最高に可愛い雪花だった。


「ど、どう...??//」


「最高にエロい」


「エロ!?...//ま、まぁ...喜んでもらえるなら..,良かったわ...//」



【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093084917766615

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