第23話 突然の来訪
てっしーさんから連絡が来て、電話で少し話をした。
俺が言いたいこと、てっしーさんがいいたいことをお互いに言い合って、そうして一旦てっしーさんの一件については解決したわけだが...。
その話は少し後にするとしよう。
◇11月20日 アルバイト先にて
いつものように制服に着替えて、バックヤードからお店を出ようとしていると、シフト表を睨んでいる仙道が目に入る。
「何してるんだ?」
「え!?//あぁ...いや...先輩のお休みを確認してました...//」
「なんで?」
「なんでって...それは...その...デ...デ...デ...//」
「大王?」
「ちがいます!その...デー...「あっ、国見くんちょうどいいところにいた」と、後ろから店長に声を掛けられる。
「あっ、おはようございます、店長」
「おう、おはよう。それでなんだけど、今日から新人さんが入ってくることになってだな...。教育係を国見くんに任せたいと思って」
「え?俺ですか?」
「うん。ほら、もう結構長いし、国見くんは教えるのもうまいし、仕事もできるし。どうかな?もちろんちょっとだけだけど時給にもプラスしてあげるからさ?」
「わかりました。いいですよ」
「おー、ありがとう!」
すると、後ろから仙道が睨んでいる気がして振り返る。
「...どうしたんだよ」
「いえ。店長...その子は女の子ですか?」
「え?うん...そうだけど?」
「ふーん...?」
「てか、どうやら国見くんのこと知ってるみたいだったけど...」
「「...え?」」
そうして、女子更衣室が開くとそこにいたのは...。
「「...雪花!?」先輩!?」と、仙道とハモる。
「よろしくお願いしますね...せんぱい」と、悪そうな笑みで言われる。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093084839982869
◇
「せんぱい、これはどうすればいいですか?」
「...その喋り方やめてくれよ...」
「なんでですか?このお仕事では1年以上後輩なわけですし、せんぱいは私の教育係でもありますから。そりゃ敬語になりますよ」
「...そう」
明らかに楽しんでやっていることは分かっている。
そうして、仕事を軽く教えながら接客のいろはを教える。
そのまま、在庫チェックを二人で始めると...その様子を遠くから睨む仙道...。
「...生徒会はいいのか?」
「えぇ。文化祭も体育祭も終わったし、しばらく仕事はないから。あるとすれば討論会くらいかしらね。というか、そんな私のことが心配なの?何?私のこと好きなの?」
「...敬語はどうしたよ」
「いえ、今のは学校の話だから、生徒会長として回答しただけよ」
「その切り替えいるか?」
「さぁ、どうでしょうね。それで?私のこと好きなの?」
あえてスルーした箇所をもう一度質問される。
「まぁ...そりゃ、特別に思ってるよ。仙道もてっしーさんもな」
「何?三股かけるつもり?」
「そんなつもりねーよ。そもそも、全員俺なんかにはもったいないほど魅力的な女の子だからな。釣り合わないことくらい誰に言われなくてもわかってるから」
「...なにそれ。釣り合うって何?」
「まぁ...女性経験なんてほとんどないし、いい彼氏になれる自信もないんだよ」
「...そう。けど、私ならあなたをいい彼氏にする自信があるわよ」と、そっと手を握りながらそんなこと言ってくる。
今日は妙に...積極的だな。
「そりゃ頼もしいな」
「...相変わらず冷たいわね。私は結構本気なんだけど」
すると、ものすごい勢いで走ってくる仙道。
「な、なにしてるんですか!!//なんで手を握ってるんですか!!//」
「あら、ごめんなさい。かわいい後輩からのかわいいセクハラをしてしまったわ」
「ぐぬぬ!!店長に相談してきます!雪花先輩の教育係は私にしてもらうように!!」と、フンスカ言いながらバックヤードに入っていく。
そんな姿を少しほほえましく見ていると、制服の袖を少しひっぱられる。
「ん?どうした?」
「...ああいう...かわいい後輩みたいな子が好きなんですか?//」と、いつもとは違うかわいい声で上目遣いで聞いてくる。
流石にそのギャップにドキッとしてしまう。
「...いや...//」
「...私だって...かわいい...後輩ではないですか...?//」
「まぁ...かわいい...と思うぞ...//」
すると、また片方の口角を挙げて馬鹿にするように「うわ...童貞ってちょろ」と煽ってくる。
「う、うるせ!!...非モテ男子なんて...ちょっとかわいい女の子に揶揄われるだけで一生の思い出になったりするんだよ...ったく...//」
「...へぇ、そうなの。じゃあ、私と元カレのしていた姿は一生の思い出になったのかしら?」
「おまっ...//それ自分から言うか!?//」
「私だってそりゃ恥ずかしいわよ。けど、今ではいい思い出になってるわ。自分の好きな人に自分の恥ずかしい姿を見られるなんて...興奮するもの」
「ちょ!?//まじどうしたんだよ!?//」
「別に?私は生まれてこの方ほしいと思ったものが手に入らなかったことがないの。それだけ。それと気づいていると思うけど、フェアに行きたいから敢えて言わせてもらうわ。莉来もあなたのことが好きなのよ」
「!?//そ、そんなこと...//」
「まぁ、そういうことだから。ここでアルバイトを始めたのもあなたと一分、一秒でも長く居たいから」と、少し赤くなった顔を接近させてくる。
まじでいきなりどうしたんだよ...。
「あ、あのなぁ...//雪花が俺を好きとか...莉来が俺を好きとか...そ、そんなの...ありえないだろ...//」
「そう?へぇ...。あなたが鈍感系主人公を演じるとは思ってなかったわ」と、少し冷めたような表情になり、そのまま在庫のチェックを続ける。
「...あんまり童貞を揶揄うと痛い目見るぞ...」
「そう?どんな目に遭うのかしら?楽しみにしてるわね」
「...」
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