第15話 【勅使河原 詩】は作戦を受け入れる
「...あの...どっちかはあっちに座ってほしいんだけど」
「いやよ」「いやです!」
生徒会室にある二つのソファ...。
一つは勅使河原さんが座っており、もう一つに3人が座っているのだが...さすがに少し狭いのである。
「...じゃあ、俺があっち行くよ」
「それはだめよ」「それはだめです!」
「...じゃあ、二人でじゃんけんしてよ」
「...わかったわ」「わかりました!」
そうして、じゃんけんの結果、仙道が勝利したものの相変わらずものすごく近い距離に座るのであった。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093084307246240
「...それで本題についてだけど...二人はぶっちゃけどうするべきだと思う?」
「私の時みたいに...その安生先輩?に奪ってもらうのはダメなんですか?」
「おそらく無理じゃないかな。安生先輩にその気があっても、佐山先輩にはその気はないと思うし」
「じゃあ、私の時のように脅しをかけてみるとか?」
「それも逆効果...下手すればよろこんで子供を産んでとか言いそうだもんな。万が一にでもそんなことになれば、むしろ離れられない要因が一つ増えたくらいに考えそうだし」
「...相当厄介ですね!その先輩!てか、女の子に手をあげるとか...股間ちょん切っちゃいますか!」
「その場合、捕まるのは仙道だぞ」
「Oh!日本...なぜあなたはそんなに法治国家なの...?」
「そんなロミオとジュリエットはごめんだ」
「相手を冷めさせる言動や行動はむしろ怒りを買いかねないし...。まぁ、無難なのは暴力ふるっているところを動画に撮るとかそういうのになるんだろうけど...。彼の場合はむしろ悪化しかねない気がするんだよね...」
「そう。星矢としても打つ手がなくて困っていると」
「...まぁ、そうだね。ぶっちゃけ」
「...」「...」「...」「...」
全員が押し黙り色々と作戦を考える。
「ちなみに勅使河原先輩はもう、彼のことを好きじゃないんですか?」
「...わからない。これが...執着とかからくる感情なのか...好きっていう感情なのか...。でも、これ以上一緒にいたら...お互いにとっていいことはないのはわかってるから」
「なるほど。そうですね。問題はいくつかありますが...まずは現在の環境の改善が最優先だと思います。彼のストレスの多くは彼の現在の家庭にあると思いますので。それと...過去の清算。つまりはお父さんとの関係についても中途半端にしておくべきではないと思います。きっと、この二つを取り除けば何か変わるきっかけになるかもしれません」
「...取り除くって具体的にどうするんだ?」
「まずは、その家庭の事情に詳しい人に会いに行くべきね。確かいたはずでしょ?彼をいじめていた兄弟が」
「...あってどうするつもりなんだ?」
「決まってるじゃない。まずは彼に謝るように説得するのよ。至って...優しくね?」と、不敵にほほ笑む雪花であった。
◇翌日
彼の家の前で待ち伏せを行っていると、おそらく兄弟と思われる人が現れる。
そして、愛想のいい仙道を向かわせ、見事カフェに誘導することに成功する。
「いやぁ、佐山先輩に兄弟が居たなんて知りませんでした!」
「俺もあいつにこんなかわいい後輩が居たなんて知らなかったよ」と、気持ち悪く笑う。
「かわいいだなんてそんなそんな!でも、佐山先輩はなんで兄弟のこと話してくれなかったんでしょうかね?」
「...それは...まぁ、わからないけど」
「もしかして、あまり仲良くないんですか?」
「いや!そんなことないよ?俺たちは至って仲のいい兄弟だよ!」
「じゃあ、ここに呼んでもいいですか?」
「...それはダメかな。あ、そうだ!じゃあ、あいつが返ってくるまで家で待ってようよ!ね!」と、仙道の手を無理やり触る。
「あっ、そういうのはちょっと」
「もったいつけなくてもいいのに...ね!ね!」
その瞬間、俺と雪花と勅使河原先輩...と、雪花の家で雇っているムキムキのボディーガードとともに席に向かう。
「...佐山誠一さんですよね。少し話いいですか?」と、声をかける。
一瞬、怪訝そうな顔でにらみつけてきたが、ボディガードの姿を確認すると、すぐにペコペコし始める。
わかりやすい奴だ。
そうして、場所を公園に移して話を始める。
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